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オーバーツーリズムを考える。ヨセミテの入場料、ニュージーランドのIVL、コペンハーゲンのCopenPey、ポルトガルのFUTOURISM…

2024年8月の後半、ほんの少しの間、仕事で日本に帰っていました。仕事の関係で東京、福岡にいたのですが、空港や新幹線駅では、多くの外国人を見かけました。同じタイミングで訪日していたポルトガル人の友人に会ったりしたこともあったのでしょう。世界の狭さなんかも感じました。

また、その1ヶ月前にニューヨークに出張していて感じたのは、本格的に人の移動がはじまっているなあ、という体感。仕事の人もですが、休暇、観光というカタチで、多くの人でマンハッタンやブルックリンは溢れかえり、東にある避暑地・ロングアイランドでも渋滞が起きていました(バケーションシーズンでもありました)。

コロナが明け、本格的な観光タームに。

そこで問題となるのは、やはりオーバーツーリズム、観光公害とも訳されるもの。異常なまでの人の移動に伴う環境の悪化、周辺住民が普段の生活をできないほどの交通渋滞、Airbnbなどの短期レンタルの部屋貸しをきっかけに地価高騰を引き起こし、元来の住民が住めなくなるという、根深い問題もあります。

ちょうど先月、僕の暮らす欧州では、オーバーツーリズムに反対するデモが数多く行われました。バルセロナでは、デモ参加者が観光客に水鉄砲で水をかけるという報道もありました(が、おそらくパフォーマンスではないかと推測しています)。

ベネチアでは、入場料制の導入に対し、地域住民がその金額への抗議もありました(安すぎた模様)。

今、世界各地では、オーバーツーリズム対策が急務となっています。

古くは、国立公園の有料化。アメリカ・ヨセミテ国立公園は、個人旅行の一般車両1台で35ドル、徒歩、自転車、馬などでの入場は、1人につき20ドル。15歳以下の子供は無料で入場可能です。

ニュージーランドの観光税もあります。これは2019年にNZeTA(電子入国許可)と一緒に始まったIVL(観光税)と呼ばれるもの。

ヨセミテの入場料、ニュージーランドの観光税いずれも、貴重な自然資産を守る取り組みで、徴収したお金は、登山道やキャンプ場の整備に充てられていて、現地に行くとわかるのですが、トイレや水場などの整備がすばらしく、納得の使い途だと感じられます。

最近でおもしろい取り組みだなと思ったのは、デンマーク・コペンハーゲンの「コペンペイ」。

政府統計によれば、2023年夏、人口約66万人の都市に、その20倍近い1200万人以上の観光客が滞在したと言います。

2024年7月15日から8月11日までの間に実施されたこの「コペンペイ」プログラムは、観光客のグリーンアクションを文化体験の通貨に変える新しい取り組み。観光客がごみ拾いや、公共交通機関や自転車の利用、都市農場でのボランティア活動などをすると、無料のガイド付き博物館ツアーやカヤックレンタル、地元の作物を使った無料のベジタリアンランチを利用することができるようです。

対して、僕の暮らすポルトガルの観光キャンペーンが「FUTOURISM」。

ポルトガルは2023年、観光史上最高の年で、3000万人以上の宿泊客、7700万泊の宿泊、約250億ユーロの収入という記録的な数字となりました。

コロナ前、首都リスボンのAirbnb(民泊)の数は世界で一、二を争い、観光客だけでなく移住者も殺到。地価も高騰し、リスボンっ子が住めなくなるほど、オーバーツーリズムとその弊害が進んでいました。同国は観光回復を祝福しつつも、次のステージを目指し、そのために掲げたのが「FUTOURISM」です。

主要都市だけでなく、ポルトガル全土への旅を促しつつ、「無関心ではなく深く関わること」など、ツーリストのマインド自体を変えていくことも提言。旅人自体が主体となり、積極的に人や地域と関わり、未開地へ旅することを勧める、新たなスタイルづくりともいえます。

データに基づいた具体的な施策と、マインドへの問いかけ。

日本には、どちらも参考になりそう。地域内での最適なツーリズムの規模感の共有、経済とのバランスなど、課題はたくさんありそうですが。

ポルトガルや海外のステキなことを取材したり、日本と繋げる活動費用に使わせていただきます。気になるトピックの取材もします。もしよろしければサポートのほう、どうぞよろしくお願いします🤗