比べる絵画@オルセー美術館①

もともとはパリとフランスの南西部(オルレアンなど)を結ぶ長距離列車用のターミナル&ホテルだった建物を改修して1986年に開館した美術館。

1848年(2月革命)から1914年(第一次世界大戦勃発)の作品はオルセー美術館へ、それ以前はルーブル美術館、それ以降は国立近代美術館(ポンピドゥーセンター)へ保管されることになっている。

印象派やポスト印象派のコレクションが有名。

私がオルセー美術館の好きなところは、同じテーマで描かれた絵画を比べて鑑賞出来るところ。たまたま同じテーマになったのではなく、実際画家達も、誰々が描いたテーマを自分も描いてみよう、という感じで、自分らしさを強調するように描いてる気がする。

同じテーマの複数の絵を見比べると、ただ一つの絵を観るだけではわからない特徴や、斬新さがわかって楽しい。ということで、何点か紹介。

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『落ち穂拾い Des glaneuses』(1857)
ジャン=フランソワ・ミレー Jean-François Millet(1814-1875)
@オルセー美術館(パリ)

日本でも有名なミレーの落ち穂拾い。そもそも落ち穂拾いとは、収穫が終わった後に、地面に落ちている穂を貧しい農民たちが拾うことをさしている。拾った穂は自分で持って帰ることができるので、仕事終わりに日没前の限られた時間で、疲れた農民達が必死に穂を拾っている様子を表現している。

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『落ち穂を拾う女たちの招集 Le Rappel des glaneuses』(1859)
ジュール・ブルトン Jules Aldolphe Aimé Louis Breton(1827-1906)
@オルセー美術館(パリ)

一方、ジュール・ブルトンが描いた落ち穂拾いは、ちょっと拾いすぎな気がする笑。農民達は疲れを見せずに、力強く、大量の穂を持って帰っている。

結局、成功を納めたのはブルトンの絵で、ミレーの絵は農民の生活の「過酷な厳格さや、禁欲的な簡略さ」を表しすぎているとされ、厳しい批評を受けたらしい。

個人的には、農民画家と呼ばれたミレーの絵の方が、当時の農民達の日々の苦労や生活が感じられて好きだけどなーと思う。

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『草上の昼食 Le Déjeuner sur l’herbe』(1863)
エドゥアール・マネ Édouard Manet(1832-1883)
@オルセー美術館(パリ)

現代では、そんなに違和感は感じないだろうけど、マネが描いたこの絵は「真ん中の女性が裸体で、何にもせず、こっちを向いてる」という状況がかなりショッキングな絵だったらしい。(別に裸の女の人をモチーフにした絵昔からあるやん、って突っ込みたくなるけど笑)

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『草上の昼食 Le Déjeuner sur l’herbe』(1865)
クロード・モネ Claude Monet(1840-1926)
@オルセー美術館(パリ)

その2年後にモネによって描かれた絵は、モネ自身によって分断された。こちらは裕福な人たちがピクニックを楽しんでいる様子が描かれたいる。

オルセー美術館では(2019年11月現在)、このマネとモネによって描かれた草上の昼食が対になって展示されている。

その100年後、ピカソもマネの草上の昼食からインスパイアされて何点かの絵を残している。

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『黄金の積み藁 Les meules jaunes』(1889)
ポール・ゴーギャン Eugène Henri Paul Gauguin(1848-1903)
@オルセー美術館(パリ)

もともとは印象派だったゴーギャンは、この絵を描いたあたりから作風を変え、アトリエでの制作を始めた (通常印象派の画家は戸外で絵を制作する)。そうすることで、自身の美的観点で色彩や形状を選べることを主張した。

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『積みわら、夏の終わり Meules, fin de l'été』(1891)
クロード・モネ Claude Monet(1840-1926)
@オルセー美術館(パリ)

1890年の夏に、モネは20点以上の積み藁の連作の制作を始め、日や時間や季節によって変化する光の効果を再現しようとした。

今日はここまで。オルセー美術館、まだまだ好きな作品あるから、ちょっとずつ紹介していきたいなーと思います。

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