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かつて「話し方がキツい、威圧的」と言われた自分が今コミュニケーションで気をつけていること

noteのデザイナーの松下です。PM業務を行うこともあり、基本的に、複数の職種がいるチームで仕事をしています。
チームでものを作る以上、避けるべくもないのがコミュニケーションです。

先日、同僚に「相手の話を聞く忍耐があるね」「物腰が柔らかいね」と言ってもらえたことがあり、「自分もちょっとは成長したんだな…」と遠い目になりました。かつてはマジでそんなことなかったからです。なんならキツい態度で、「こいつイヤな奴だな」ってムーブをかましてしまっていたと思います。

そこで、自分でも「何が変わったんだろう?」と振り返ってみました。

前半では「どんなコミュニケーションをしてしまっていたのか?なぜしちゃってたのか?」、後半で「コミュニケーションで何を気をつけてきたか」について書いていきます。
私の一例ではありますが、コミュニケーションで悩む誰かの参考になればうれしいです。

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「あれ…。私の話し方、キツすぎ…?」

前職のヤフーではいわゆる「360度評価」と呼ばれるような、無記名で複数名のチームメンバーから評価をしてもらえる制度がありました。
あるとき、その中に「言葉がキツイ。もっと気を使え」「自分が正しいと思って途中で話を遮るな」(意訳)といった内容のことが書かれていました。しかも複数名。
衝撃をうけました。実は、自分でもうすうすそんなところに気がついてはいたのです。見て見ぬふりをしていた自らのイヤなところを目の前に突きつけられた気持ちでした。

客観的に言われてみて思いましたが、自分だったらそんな奴と一緒に仕事したくない。これが「変わらなきゃ」と思ったきっかけでした。
(言ってもらえて感謝ですね。なにかと言ってもらえるうちが花…。

なぜそんなコミュニケーションをしてしまっていたのか?

思い返せば、当時「なにもない自分」に対する不安と焦りがありました。26~7歳、もうルーキーとはいえないし、「なにかがある自分」に見せないといけないんだと勝手に追い立てられるような日々でした。

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そのためには自分がいるメリット=能力を証明しなければいけない…。
「私は役に立つ!」と鼻息荒く主張せずにはいられない状態だったのです。それが態度やコミュニケーションに反映されてしまっていた。
「自分は正しい、役に立つ!だから自分はここにいていいんだ!」
そんなひとりよがりに周りを巻き込んでしまっていました。

具体的にどんな態度をとっていたか?

・声のトーンが硬くて強い、早口。口を挟ませない
・「あ、これは間違ってる!」と思ったら話の途中であっても意見をはさまずにいられない
・むしろ相手になにか間違ってる箇所はないか?(=自分の正しさを証明できる箇所はないか?)と考えながら話を聞き、
ストレートな言葉で間違いを指摘

う〜ん、これ、されたらイヤですね…。我ながら書いていてつらいです。
指摘してくれた人には感謝ですね(二度目)。

どう変えたのか?

年月をかけて少しずつ積み重ねて気をつけてきたのだと思いますが、改めて言語化してみます。

①マインドセットを変える

そもそもそんなコミュニケーションになっていた理由は「自分を評価してほしい」からでした。
しかし、「正しいことをただ強く伝える」ことがそのまま評価や「あなたが必要」につながるのでしょうか。
イナ。否。
当たり前ですが、チームがよりよい方向に向かえる確率が高まる行動をする人が会社では評価されるのです。

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コミュニケーションはその手段の一つです。

意見をただ強く言われただけでは多くの場合人は動きません。
むしろ納得いかないまま押し付けられると、モチベーションが下がったりもします。
また、誰かの意見を間違いだと切り捨てることで、見えていなかった可能性をつぶしているかもしれない。

間違いに気づいたり、よりよさそうな選択肢を思いつくの自体は良いことです。でもそれを最大化できる方法は「強く主張する」だけではない。むしろ、それはメリットがない場合もある。
まずはそれに気づくのが第一歩です。

②しゃべる速度とトーンを自覚する

いきなりすごく単純なことで恐縮です。
でも、ただでさえ「誰かに意見される」ってどうしても本能的にムカつくし、怖くも感じるんです。

いまはzoom会議も増え、自分の姿をみる機会もあるでしょう。録画した自分の姿ってキモくて見てられなかったりするのですが、一度客観的にみてみることをオススメします(たぶん大なり小なり「思ってたんと違うな…」となります)。

不機嫌、怒った声色になっていないか。早口でまくしたてるようになっていないか。あるいは、過度に遠慮がちになっていないか。確認してみましょう。実はそれだけでソンしてることもあります。

私自身は、かつての先輩が柔らかい口調で意見をしてくれたのが心地よかったので柔らかさを心がけています。
また、早口だと威圧的になりがちなのと、情報量が多すぎて内容の共通理解が追いつかないケースがあるので、なるべくフラットな速度で話すようにしています。

③そもそも話を遮らない

またも基本的なことで恐縮です。でも意外と、これができない人って少なくないんです。何か気づいた段階でつい言葉を挟みたくなってしまうんですよね。

基本的に、話を途中で遮るメリットはありません。
話の途中で遮って強制終了してしまうと、そもそも真意が伝わらない場合もあります。相手からしたら、途中でさえぎられたうえ、間違った解釈をされて意見される状態なので、かなり気分が悪いです。

相手の主張や話はまずは聞きとげて、なにか意見や改善点があるのならそのあとに伝えればいいでしょう。
仮に間違ってなかったとしても、自分の意見を言い切らないうちに反論されると、ないがしろにされた気持ちになって素直に受け入れづらくなります。
(心理学でも「自分が気に掛けられた」と感じると少し心が柔らかくなるので、ただ話を聞くという行為だけでもちょっと関係性がよくなります)

④言葉づかい、伝え方を工夫する

議論の際は、相手の正しい部分や主張は受け止めたうえで意見をのべたほうが通りがいいというのは有名な話ですね。

これはもちろん実践すると良いのですが、リモートが中心のワークスタイルになって、よりストレートに、言葉遣いも重要になったと感じています。
slackなどのテキストコミュニケーションだと、油断すると実際のテンション以上に冷たく感じたり、威圧的に感じてしまうのですよね。

note社でも、実際には顔をあわしたことのないメンバーも増えてきました。
そうすると、対面時のテンションを掴むことが難しい。slackでの振る舞いでしかその人の人格をとらえられない場面も多く、「え、めっちゃ怒ってる??」と不安になることもあります。
否定的な言葉を使いすぎないようにしたり、「!」や絵文字のリアクションを適度に交えるとよさそうです。

心理的安全性って言葉はちかごろよく言われるようになりましたが、「話しかけやすさ」「否定されないだろうという安心感」はチームワークにも影響すると感じています。

⑤要点と結論、次のステップを把握しやすいサポートを

これは態度というより、コミュニケーションを通してチームが効率的に次のステップにすすむための工夫です。

私の場合、この場にどういう意見がでていて、要点はなにか、何がこの場の結論なのか、を参加者が把握するサポートになるよう、その場に応じて適宜情報を補足するようなコミュニケーションを意識しています。

その議論にファシリテーターがいればその役割を果たしてくれたりもしますが、そうだとしてもサポートによってより効率的に次のステップに進めるのであれば、それはチームのメリットにもつながります。

slackでの議論の場合、長文だと相手が理解するのにもコストがかかるので、要点がつかみやすいテキストコミュニケーションを意識することで、効率的に話が進められたりもします。

おわりに

コミュニケーションの課題に直面してみて、改めて自分が尊敬できる人ってどんな人だろう?と考えました。
「経験や知識があったとしても、意見をフラットに伝えることができて、相手を尊重し受け入れる柔軟さがある」人。それに近づきたい…!と思ったのを覚えています。

結局、広い意味で人をリスペクトするってことかもしれません。
とはいえ仕事である以上、ただ優しいだけじゃだめで、ある程度のしたたかさも必要になります。

いまでも自覚している欠点はありますし、もっとこうすればよかったなとしょっちゅう思っています。「変わらなきゃ」と心がけたとしても人ってすぐに変わるわけではありません。
でも、「あ〜いまこうなってるな」と自覚できることだけでも価値だし進歩、そう思って日々積み重ねています。

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