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連盟、将棋会館をとうとう新たに建てる

日本将棋連盟が、対局や指導などに使うための将棋会館を新しく建てたという話を見かけた。

連盟はここ数年にわたってクラウドファンディングサイトを利用して資金を集めていたので、知っている人もあるかもしれない。このクラウドファンディング、一期目は目標の 1 億円に対して 1.45 億円を集めるも二期目以降は目標額を派手に下回りつづけていたため「こりゃ無理だわ、永遠にボロい建物でやっていろ」とゲラゲラ笑ったのだが、どうやら寄付の "返礼品" として色紙だの駒だの解説会だのファンミーティングだのをやり始めて巻き返したらしい。
しかしべつにそんな払わなくたって、現地に行けば棋士なんていくらでも歩いていると思うけどなぁ。だいたいこんなトートバッグだのハンカチだの鼻紙みたいな原価のもんですんげぇボッタク……んんっ(咳)、まあいいや。どうしても払いたいってやつまで僕が止める理由はない。もっとも、額のケタを見ると会社のカネを払っているやつがいる気がしてならないけどな。

そういえば、これ見た感じ目標額を 3 億円くらいは上回ってると思うけど余ったのはどうなるんでしょうか。書いてないところをみると、そんなことが起きるとは思わなかったんでしょうか。


現在使われている千駄ヶ谷の狭くて汚い建物をどうにかしたい!というこの計画あるいは願望は新しいものではなく、少なくとも米長邦雄が会長だったころにはさかのぼる。

そのときは推進派とその他で政争めいた対立が起こり、当初は推進派だった羽生善治が資金面から困難と判断して慎重派に鞍替えした影響が大きく建て替えは行われなかったとされているように思うが、実際はどうなのだろう。
実態は票をうまくまとめられなかったので放りだしたのだ、みたいな話をどこかで聞いたような気がしたけど、どこで聞いたか失念した。
ただ、棋力と権力が等号で結ばれる将棋村において理事にもなかなか就かず、同世代の佐藤康光が彼よりも先に会長を務めた事実はそれと矛盾がない。もしこれが正しければ、今回は彼の数十年越しの願望成就ということになる。一局 300 万円で指した甲斐もあろうというものだ。

ところで冒頭の記事で面白いのは「[...]対局者の体調に配慮して使われる椅子対局室もある。」のくだりで、これはつまり "こいつらは平素、わざわざしんどい座り方をしている" と指摘しているわけである。
誰だったか、下半身を悪くして「正座ができなくなったら引退しよう」と考える者もいたくらいだから、辛い姿勢であることは疑いがない。となると、合理的な理由なくわざわざ競技者にとって苦しい環境を用意しており、かつまた競技者自身もそれを他者に強いる圧力を加えているわけで、このへん日本らしさをまことにしたたか感じさせる仕種である。

そもそも「体調に配慮して使われる」とは、裏を返すと "体調が良いなら使うな" と解釈できる。そしてこの解釈が正しい可能性はかなり高い。「『も』ある」という表現は、それを主軸とは考えていない言葉だからだ。

しかし本来、ゲームの本質と関係ない部分はみんなが楽に簡単に使えるほうを主にするべきであろう。こんな雰囲気では、車椅子なんかが考慮に入っているかは怪しいものだ。
いうまでもなく人間の身体はそれぞれ違うし、椅子に座っても無理な場合だってありうる。せっかく身体の大小や反射神経に(強く)左右されずに戦えるゲームなのだから、もっと対応できる範囲を拡げてほしいと思う。「将棋界の総本山」なんてデカい名乗りをあげるなら、誰かを拒むようなシステムをいつまでも後生大事に崇め奉るのをまずやめるべきではなかろうか。


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