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自分だけ、は虚しい

数年前に、宮城県仙台市にある児童養護施設、ラ・サールホームさんのお子さんたちにお菓子を渡す機会があった。
まだ僕が焼き菓子屋を営んでいたときだった。


夢は誰にも奪えない


それは先生や僕たち有志の大人と子供たちみんなで美味しい焼肉を食べようっていう会で、みんな楽しそうにたくさん食べていた。

虐待や、東日本大震災の影響で両親がいない(もしくは虐待の恐れがあるから一緒に住めない)という子ばかりで、抱っこしてもらったことがない子も中にはいる。2歳くらいの小さい子はずっと僕の膝の上に乗って甘えたりしていた。(とても可愛い…)

2年ではあるけど、人生の中で甘えたりしたことがないのです。疲れて眠るほど、誰かに思いっきり遊んでもらったりとか。
園長先生に聞いたところによると、小学校5年生くらいの子の中に和菓子職人になりたいという夢を持ってる子供もいるらしかった。

本当に夢とかやりたいことっていうのは環境に全く左右されないと僕は思っています。やりたいことはやれるし、欲しいものは手に入るし、行きたい場所にはいつでも行けるし、やりたくないことはやらなくていい。
僕は一人っ子で、兄弟がいないけど何かしら人として欠落してると思っていて、両親がいないっていうのは更に想像を絶する何かがあると思うけど、別にやりたいこととの間に因果関係はない。

adidasとPUMAの創業者は兄弟だけど、それはそれでお母さんも本人たちも色んな苦労がたくさんあったらしい。幸せだったのかといえばその3人はきっと顔を見合わせるに違いない。

どこから来たかじゃなくて、どこへ行くかなのだ。

夢は誰にも邪魔されない。やりたいことをやってほしいと感じる。

当時はまだそういう機会があまりなくちょっとした偏見がなかったかといえば嘘になる。「みんな暗いんでしょ?」みたいな。
全く違って、普通の子たちだった。
その施設の先生方の力もある。

偏見は愚かだと、恥ずかしい気持ちになった。

境遇もキャラクターも気にしているのは周りだけで本人たちにとってはそれが普通なのだ。

お金は諦めた時にお金になる


このような福祉活動やボランティアみたいなことを2020年まではさせてもらっていて、思うのは経済の行き着く先は福祉だということ。よく言われていることだけれども。

僕らは日々、モノを仕入れて、商品を作って、お金と交換して生きている。それを自分が欲しいものと交換して、それをまたお金と交換して、っていう経済活動をしていて、それは常に回り回って誰かのためになっている。

それをもっと意図してダイレクトに。
経済の行き着く先には目の前の誰かのために、っていうベストワークがあるのではないだろうか。

お金を自分のためじゃなくて誰かのために使う。
そうすると10年後くらいに自分に戻ってくる。
いわゆる使わないと自分に回ってこないというのは、あながちスピリチュアルなものではないと思っている。
お金を稼いで貯めて貯めてどうするかって、結局自分の生活水準が上がるだけで、そしてそれで生活が楽になることは無い。
「もっと!もっと!」「お金が欲しい!休みが欲しい!」「でも辛い仕事や苦手な仕事は嫌だ!」
そこにあるのは「全部自分のこと」だけ。

そんなつまんないことよりも、偽善っぽいけど世のため人のために使う方が意味がある気がする。個人の見解だけど。

お金は諦めた時に初めてお金になる。
長い目で見ると、流れがいつか逆流してきて再分配されるような未来が絶対に待っている。

やってることは小さくて、目の前のことから、にはなるけどそれで助かったり、喜んでくれる人がいるので。
まず目の前の出来ることから、っていうことを最近よく言うのだけど正にそれだと思う。

もしかしたら、その子が僕のお菓子を食べて「和菓子職人はやめてカフェをやりたい」って言ってくれるかもしれない。
この1年後にはクリスマスケーキを一緒につくるという会があってそのときは「いろんな職業がこの世にはある」「いろんな選択肢があることを教える」という目的だった。
選択肢の多さは必ず幸せに繋がっている。そうゆう小さいことが、その人の生きる道の何かに繋がっていく。

最初の線の交わりは小さい幅しか生まれないけどその線が伸びれば伸びるほどその間隔は広くなる。ボーリングのレーンのようにちょっとした角度の違いで結果が大きく変わることもある。

小さな違いが大きな変化にいつかなるかもしれない。



お店も人も仕事も人生も、何でもそんな感じがする。

「自分だけ」は虚しい。



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