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リオパラリンピックの話

前回の記事の続きです↓

今回はリオパラリンピックのお話。

毎回思うけど、アイキャッチの画像って可愛いの多すぎるよなぁ。

新しいバタフライとリオパラリンピック選考

インチョンのアジアパラの後、転機が訪れました。

バタフライのルール上、左手は回さなくていいかもよ。とコーチからの助言があったのです。

元々左手を引きずって泳いでいた私は、そっちの方が速くない?と思って実践してみることにしました。

確か50mで1秒くらい速かったかな。

でもいきなり試合でなんかやれない、しかも次は世界選手権の選考。

ということで、「今回は両手で泳ぎます」とコーチには言いました…が、その選考会はすこぶる調子が悪い。

バタフライで世界選手権を狙えないのはわかっていたので、やけくそになってコーチに「バタフライ片手で泳ぎます」といきなり宣言しました。

試合数分前ですね多分。

普通に考えてアホだと思いますが、コーチは「やってみろ!」って言っていたような気がします。

片道しか練習してないので、ターンの方法もわからずアタフタ…笑

それでも2秒くらいベストを更新。

世界選手権のタイムまで0.07秒足りなかったらしいけど、そんなん知らんわ!ってくらい興奮していました。

ここから私の水泳人生は全く別のものに変わりました。

***

その後はずっと片手バタフライの研究。

ほとんどやってる選手がいないので、本当にお手本がありません。

だけどすごく楽しかったし、きついとか努力しているとかそんな感覚は全くありませんでした。

毎日練習する時間が待ち遠しくて、そのために生きていたと言っても過言ではありません。

コーチとあーでもないこーでもないって話をしながら、気づけばリオの標準記録を突破していました。

その前にライバルも突破していたので、その刺激も強かったと思います。

為末大さんが「努力は夢中に勝てない」という言葉を残しているのだけれど、本当にその通りだなと振り返ってみて実感しています。

夢中になることこそが大切。

***

まあでも、ルールのギリギリを攻めていたので色々課題はありました。

日本国外で失格を受けない、ということがリオパラリンピック選考の条件に課せられ、2015年にはアメリカのCanAm大会で泳ぎを公認してもらいに行きました。

その試合で無事公認をもらい、初出場した1500mの自由形にでアジア記録を更新させてもらうという、なかなか異様な経験をしました。

あと、隣の選手がフライングしたのに私が失格になるなど、ほんと色々ある試合だったなぁ笑

そして2016年のリオパラリンピックに、日本の派遣標準記録は切れなかったけれども乖離率(メダルの可能性のパーセンテージ)で選んで頂きました。


リオパラリンピック

2016年のリオパラリンピックに出場したのは、大学2年生で19歳の頃。若い笑

直前の合宿までは自分のコーチもいましたが、リオに入ってからスタッフは最小限に。

ブラインド(視覚障害)の選手も多いので私はほとんど単独行動。

まあ準備はこれでもかってくらいしてきたし、本番前に崩れなければ結果は残せると思っていました。

が、メインの100mバタフライの前日に感覚が全崩壊。別人かのような泳ぎになって焦ってメンタルも大崩壊。

そんな時に大先輩が、「調子どう?」と声をかけてくれて大号泣。

事情を丁寧に聞いてくれて、アドバイスもくれて、その日の夜に手紙まで書いてくれました。

先輩と話した後、さっきの泳ぎが嘘だったかのように調子が戻って。

なんて偉大なんだろう、あんな先輩になりたいと今でも思っています。

その時貰った手紙は、バタフライのレースにお守りとして持っていきました。本当に有難い。

毎回吐きそうになりながら、理由のわからない涙と戦いながらレースを待っている召集所にも慣れてきていたけれど、メインレースはやっぱり怖い。

それでも毎回プールの前に立つと、興奮と楽しさと自信でみなぎるのはパラリンピックの魅力でしょう。

俗に言うパラリンピックの魔物とは、仲良くなって一緒にレースをこなせた気がしています。

メインの100mバタフライは、当時の自己ベスト、日本新ではあったものの10位。決勝ラインには1秒足りず。

補欠制度があり、決勝進出者が揃っていることを見届けるまでは召集所に残ることができましたが、やっぱり決勝進出者は風格が違いました。

1番近くでその緊張感を味わえたのは、悔しくもあり幸せだったと感じています。

4×100mフリーリレー(6位)、4×100mメドレーリレー(7位、バタフライ担当)は決勝で泳ぐことができて、どちらも日本新。

一重に他のメンバーのお陰です。

リオパラリンピックはとってもとっても楽しかったし、得るものが本当にたくさんありました。

こんな簡単な感想で終わらせられないほど素晴らしい経験ができました。

…続く。


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