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完ぺきな人生を送るために~13才の私へ~

なぜ、私たちの脳みそは良いことだけを記憶しておいてくれないのでしょうか。
過去の失敗やそこから生まれた感情は、忘れた頃に、いやまるでこちらが精神的に弱ったタイミングを見計らうかのようにやって来る。
私はその感情が、とてもとても嫌なのです。

だから、もしタイムマシーンがあったなら、大きな失敗をする前の私に会いに行って、私がこれまでに経験してきた失敗を回避するための方法を書いた手紙を渡し、「これで失敗のない人生を歩んでね」と伝えたいです。

完ぺきな人生を送るために~13才の私に宛てる手紙~

13才の私へ

こんにちは。
私は、2023年を生きている33才になったあなたです。
「新型コロナウイルス感染症」という病気が流行ってマスク生活になったり、ロシアとウクライナが戦争していたり、今あなたが住んでいる2003年からは想像もできなかった社会になりましたが、何とか元気に生きています。

さて、私があなたにこの手紙を書いているのは、これからあなたがしていくであろう失敗を回避してもらうためです。
あなたは、これから自分が犯す失敗を思い出しては、自分の決断を悔やみ、恥ずかしさや惨めさに苦しむ人生を送ることになります。
これから私が伝えることを肝に銘じ、どうか失敗のない人生を送ってください。

  • これからあなたは、小学校の頃に1,2回したバレーボールが楽しかったというスーパー単純な理由で、バレーボール部への入部を希望します。その後3年間、あなたのトロさが原因で同学年や先輩に強く当たられ、とても苦しむことになるので絶対にやめてください。ピアノを習っていたことを考えると、吹奏楽部が無難かと思います。

  • 中学校2年生のとき、あなたは友達をからかった男子が許せず、「いい加減にしろ」と下敷きを机に叩きつけて怒ります。相手を黙らせることはできますが、買ったばかりの下敷きが割れてしまうだけではなく、割れた下敷きを見て自分が笑ってしまって格好がつかなくなるので、下敷きを叩きつけるのはやめておきましょう。

  • 高校生になると、あなたはアメリカ人の男性に失恋します。ちゃんと断ってくれない相手の割り切りの悪さに腹を立て、自分から「ちゃんと振ってよ」と言って振られるという、かっこいいんだか、かっこ悪いんだかわからない振られ方をするのです。その後、ある事実が発覚し、好きになるのに値しない人物だったと気づくことになります。しかし、それからも「パートナーがほしい」という気持ちだけで同じような恋愛を繰り返すのです。お願いです。ちゃんと懲りて、相手を見る目を養ってください。

  • 大学生のとき、ルームメイトと大喧嘩し、きちんと向き合わなかったことをずっと後悔することになります。喧嘩になる前に話し合うか、住む場所を選ぶときに「一人暮らしをする」という選択肢も用意しておきましょう。

私が今思いつく大きな失敗は、こんなところです。
日々小さな失敗はあるとは思いますが、一生引きずるようなものにはならないことでしょう。
おめでとうございます。
これであなたは、あなたの人生に影を落としてしまうような大きな失敗を避け、完ぺきな人生を送ることができるでしょう。

しかし人生の先輩として、私はあなたに伝えておかなければいけないことがあります。
それは、私が伝えた方法を取ったからと言って、必ずしも失敗を避けられるわけではないということです。
例えば、バレーボール部ではなく吹奏楽部に入ったからといって、人間関係の悩みがゼロになるということではないかもしれません。
また、大学生のときに一人暮らしを選んだとしても、他の誰かと衝突することを完全に避けられるものではありません。

そう、失敗はゼロにはならないのです。

あなたが、過去の失敗を思い出しては恥ずかしくて惨めで仕方がないとき、「あの失敗さえなければ」と思うことでしょう。
しかし、完ぺきなものなんてこの世にないのです。

あなたも不完全で、周りの人も不完全で、そんな不完全な人間がつくる世界ももちろん不完全です。
あなたがすべきことは、完ぺきになろうとすることではなく、不完全を受け入れることです。
日々失敗をしては落ち込み、お酒を飲めない自分を呪いながらよわないウメッシュを飲み、ポテチを爆食いし、次の日お腹をこわして後悔するあなたを、「仕方ないなぁ」と笑ってくれる人たちの中に身を置いてください。
そしてどうか、そんな誰かの姿を見たときに、「仕方ないなぁ」と笑ってあげられる人でいてください。

これからの人生がどうなるのか、私にもわかりませんが、おばあちゃんになった私たちが、過去の失敗を「そんなこともあったのぅ」と笑い話にしていることを願って。

2023年1月吉日
33才の私より


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