ワインとわたし
ワインとの出会いがいつだった、何だったのかはあまり記憶が定かでありません。しかし、二十歳過ぎにすすめられて飲んだイタリアの甘口スパークリングワイン。アスティという、マスカットを使った爽やかな甘口ワインはなんども飲んだのでよく覚えています。
20歳を過ぎたばかりの私に飲みやすいからとすすめてくれたそのワインはお気に入りで、レストランで食事するたびによく飲んでいました。ジュースでなく、ワインを頼んでだいぶ背伸びをした女子大生のころのこと。当時、世間は「イタ飯ブーム」の真っただ中。イタリア料理のお店に行ってはよく飲んでいました。
今考えれば、甘いワインをよく食事時にのんでいたなと思うのですが、甘みと共に爽やかさをもつ口当たりの良いこのワインがグラスに注がれると大人になった気分を味わえました。また、食事時にワインを飲むという行為が一層食事にワクワク感を与えてくれ、その雰囲気が大好きでした。
そして、27の頃、語学留学で一年滞在したフィレンツエでの日々が私を一層ワイン好きにさせました。
ホームステイ先は毎晩、食卓にワインボトルが必ずあり、食事の準備段階から、グラスに注ぎながら飲み始めます。二人でおしゃべりをしながら、料理して、食卓についてからもまた当然飲む。こんな生活で飲むのが当たり前になっていました。
ステイ先のマダムは食にこだわりのある人で、ワインもスーパーでは買わない。車で40分ほどいくワイン銘醸地キアンティへ買い付けに行きます。ガソリンを入れる容器を持参し、ワイナリーで瓶詰めされていないワインをポリタンクに入れてもらい買ってきて自宅で瓶につめる作業する。そんなワインを毎晩飲んでいたので、いつの間にかワインが日常にくみこまれていきました。
そして忘れもしないある晩のこと。友人と市内の有名ワインバーに行ってみようと出かけた先で飲んだ一杯のワイン。
まあ、それがなんとも美味しかった。今まで飲んできたどんなワインとも違い、しっかりしつつもビロードのようななめらかさ。
柔らかさと強さを兼ね備え、飲んだ後にずっと下の上で存在を感じるワインでした。のちにワインを勉強するようになってそのワインがいかにイタリアワインの世界において重要なポジションのワインであるのかを知るのですが、当時全くワインの知識がなく、「ただ、ただ美味しい」ワインでした。
このことが私に「ワインの世界」の奥深さを教え、ワインの世界の扉をひらいてくれました。
その後、イタリア語で生きていきたいと思った時に、専門分野としてワインを選んだのはごく自然の出来事。
ワインスクールに通い始めた2004年から今日までワインがあってよかったとおもったこと、ワインに救われたことは数知れず。
最近は年齢的に沢山飲めないけれど、興味を持ったワインはついつい買ってしまう。趣味と実益を兼ね備えたワイン。
まさに私の人生の一部、それがワインです。
イタリアにいた1997年。そして「ソライア」というスーパータスカン。数年前に偶然お店で見つけて大枚をはたいて買ってしまいました。
セラーに眠っている「ソライア1997」は生涯の宝物です。
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