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『まだ東京で消耗してるの?(イケダハヤト/幻冬舎)』は、2016年に現代を予言していた。

率直に驚いた。この本の出版が2016年だったと知った時の感想だ。

現在でこそ、地方移住やリモートワークといった概念は市民権を得てきているが、コロナのはるか前に出版された同著は、まるでその潮流を予言していたかのような内容だ。

自分の読書記録では、2016年に紙の本を購入し、2022年にKindle版を購入していた。
そして今回、改めて3回目の読了を終えて、その先見性に唸るばかりだった。

これは、現代でこそ読むべき内容かもしれない。
むしろ、初版当時はまだ世間から理解されにくかったのではないか、とさえ思える。
実際に、私も今年に入ってからKindle版を追加購入したのは、「だいぶ前に、確か地方移住とか、リモートワークみたいなテーマの本を読んだことがあったな・・」と、ふとした時に記憶に引っかかったからだ。

「イケハヤ節」と呼ばれる、著者の痛快な語り口に目が行きがちになるが、同著内で語られている内容は、目からウロコ、それでいて、よく考えてみれば納得、というものが多い。

・被害が多すぎる35年ローンは、そろそろ「法規制」した方が良い。

・お金を稼ぎたいなら、田舎に行くべきなのです。地方は、都会なんかよりよっぽど「稼ぎやすい」んですよ。

・「仕事は誰かから与えられるものだ」と思っている人にとっては、田舎には仕事がないように見えるのです。確かに、リクナビを見ても高知の田舎には求人はありません。当たり前ですね。地方で「雇用」だけを探したら、そりゃ、悲観的になりますよ。

・能動的に価値を生み出していける人にとっては、地方は本当にパラダイスです。

・水道とガスなんて、なくても全然暮らせます。


個人的に、特に印象に残ったのはこの一節だ。

・僕らは「環境の奴隷」なのです。素晴らしいのは、この時代です。環境の奴隷たる僕らは、絶対的な存在であるその「環境」を、自らの意思で選ぶことができるようになったのです。


人間は「環境の生き物」とよく言われる。
そして、2016年当時と比べ、社会情勢の変化はもちろん、デジタルデバイスや高速インターネットの目覚ましい進化によって、我々は「環境」を選べるようになってきている。

日本に生まれ育った者にとって、これは大きな幸福であり、チャンスでもある。
(例えば海外では、デジタルテクノロジーや移動とは一生縁がない、と話す人に出会ったことがある)

それをどう活かすか、自分の人生をどうしていくべきなのか、改めて考えさせられる1冊でした。


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