未熟なわたし〜10年目へ向けて〜
舞台に『役者』として初めて立ったのはいつのことだったろう、ふと思って自分の軌跡を辿ってみた。
私は演劇部に所属していた過去はないし、舞台俳優という存在をしっかり認知したのも専門学校に入学してからだった。
2022年“度”で芝居を学び始めて10年目に入る。
まるっと9年、大先輩方に比べたらまだまだひよっこもひよっこだが、時が経つのは早い。
私が進んだのは声優の専門学校だったが、入ろうと思ったきっかけも大したものではなく元々歌手になりたくて声優なら歌も歌えるし芝居もできるし(当時は芝居のしの字も本当に知らなかった)楽しそう!やってみよう、くらいの気持ち。
1年目は基礎として演劇中心に授業が組まれることは承知の上で母校である専門学校を選択し入学した。
最初は本当に右も左もわからなくて、発声練習も苦手な行の滑舌もダンスも舞台もなにもかもわからなすぎて悔しくてほぼ毎日朝練していた。
時には家の布団にくるまって声出ろー!声出ろー!って叫びまくり、苦手なダンスはガチ泣きしながらやっていた笑
興味がない状態から始めたのになんで諦めなかったんだろう、投げ出さなかったんだろう。
今でもこうして『役者』として活動しているんだろう。
多分、1番の影響は人生で舞台と認識して1発目にみたステージのおかげだと思う。
今は閉館してしまった青山円形劇場、四方八方から客に見られる中輝いていたInnocentSphere『ディス・ワンダーランド』。
入学して本当にすぐ観た作品、詳しい内容は思い出せないけどあの時感じた感覚はいまでも覚えている。
そこから舞台への沼にはまるのは早いもので、日本の有名な戯曲や海外のものも読んだ。
ありがたいことに当時の講師陣が本当に舞台を愛している方がたくさんいて知りたいことをなんでも教えてくれたし、この劇団がおすすめだよとか、本貸すよとか知識を蓄える上でもたくさん助けていただいた。
授業でそういった戯曲に触れることも多々あり、その中でも私が愛してやまない作品は清水邦夫 作『楽屋〜流れ去るものはやがてなつかしき〜』。
これだ、これが私を演劇の底なし沼へと落とした。
当時は今よりもぜんぜん、何言ってんだ?って思うことが本当に多かったけど、一つの戯曲に多数の戯曲が出てくることから資料としてちょうどよく何度も繰り返しては見、その作中に出てくる戯曲も読んだ。
そうすると何故だか、彼女たちの言葉が少しずつわかってきて「あ、やってみたい。」って思った。
今から約8年前の2014年6月、当時専門で集めた女優の卵4人で無料自主公演を打った。
これも今は閉館した、新宿ゴールデン街劇場で。
専門に入学して1年とちょっとのできごと、これが私の、お客様に観ていただいた初舞台となった。
自主公演だからもちろん、劇場代も稽古場代も衣装や道具費も自費かつチケットもないから完全赤字の公演。
それでも多くのものをもらった公演。
この公演が終わったあと当時お世話になっていた講師の方に「ようこそ」って言われたのが今でも心に残っている。
ずっとずっとその人は、舞台は一度立ったらやめられなくなるぞと言っていた。
本当、やめられなくなったなぁ。
初めて『役者』として生きた8年前の未熟なわたしよ、今でもまだまだ未熟者だがありがたいことに周りの人に支えられながら今でも板の上で生きているよ。
勇気を出して一歩踏み込んだその日から、毎年何かしらの形で表現を通して生きているよ。
一生かけても未熟なわたし。
あの頃から今まで、支えてくれている全ての皆さまに愛と感謝を込めて。
そして芝居人生10年目に間も無く入ります、1発目の舞台は『Polygamy 〜最期の告白〜』。
こちらへの想いはまた後日。
2022年3月27日(日)
たにかわ夕嬉
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