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70点でいいよ、って心の中で唱えながら

永遠のように感じていた育休も、気づけばあと1か月を切った。
娘は無事保育園に内定し、10月から慣らし保育で泣きながらも頑張っていて、えらくてえらくてえらすぎる。

職場復帰が迫ってきた最近、よく心のなかでつぶやいていることがある。
【70点でいいよ、70点でじゅうぶんだよ。】

実はこれも旦那さんの受け売りである。
仕事が忙しそうなときに、「大変そうだねぇ」と声をかけると、「まあでも、70点でいいって思いながらやってる」と返ってきて ほう、と思ったのだ。

なんかその考え方、私も真似してみようかな。
そう思って、日々のなかで行き詰ったとき、思い出しては「70点でいいよ」を唱えるようにしてみたのだった。

ちょっと「70点」のとらえ方が変わったのが、先日のこと。
所属しているデザインのゼミで、結構ボリュームのあるポートフォリオの課題があった。
こういうの、これまでだったら細部にこだわりすぎて、いつのまにかハードル上げて苦しくつらくなってたんだけど、こういう時こそ「70点でいいよ」。
まずは自分の力量でできる、シンプルでおしゃれっぽいフォーマットを考えすぎず作って、細かい部分は目をつむりながら、必要な作品をリストアップして淡々と構成していった。
でも意外と、意識して力を入れずに作ったその案件が、すごく高評価だった。おしゃれで要素もちょうどよい、全体の構成がまとまっている、とか嬉しい講評を受けて、これまでに時間をかけてこだわりまくった案件よりも ほどよく力を抜いて作ったこれのほうが良い印象なんだ~!と少し驚いたのでした。

この件があって思った。「70点でいいよ」って唱えることは、妥協や手抜きじゃなくて、30点分の余分な力みを抜く作業だったのかも?
知らない間に入ってる肩の力とか、必要以上の完璧主義とか、そういうの。

【この仕事はぜったい受注しなくちゃ…】って思ったものほど、最初から100点を求めすぎて 全然手が動かない、ってことが前はよくあった。でも、最初は70点どころか30点を目指してラフに作業をはじめて、ゴールも7割で良しとすると、なんだか自由な気持ちになってスイスイ楽しく手が動くようになる。
そうして70点で良い、って思って作ったものが、きっちり70点のゴールになるわけでもなくって、推敲を重ねた結果 意外と自分でもお気に入りの100点みたいなものに仕上がったりもするんだよなぁ。


それから、この「70点でいいよ」を仕事だけじゃなくて色んなシーンで登場させてみた。

例えば、服を買うとき。
ファッションは楽しくて大好きなはずなのに、これまで服選びの途中で苦しくなることが多々あった。それは、知らず知らずのうちに【自分を完璧に素敵に見せてくれる、かつ機能性もじゅうぶんの、100点の服】を求めていて失敗できない!って力んでいたから。
でも、ちょっと毛玉になりやすかったり 裾が若干短めだったり、30点ぶんの粗があっても良いじゃん。この服素敵!っていう直感を大事にして、70点の買い物でも良しとしよう。って思うようになってから、服を買うのも自由に楽しくなってきた。

例えば、ビジネスチャットの返信を返すとき。
この言い方だと少しそっけなく伝わるかな?この言い回しだとまどろっこしくて伝わりにくいかな?
なんて、あれこれ悩みすぎてるうちに時間がかかってしまったり、悪いときは時間を置きすぎてそのまま返すのを忘れてしまったり。
これも100%欠けることなく自分の真意を伝えたい、って思ってるからこそのことなんだろうなと。
これも、自分の伝えたいことも気遣いも、70点で良しとする。なんか失礼だなって思われたり、勘違いされたり、そういうの30点分は許容する覚悟を持って割り切ると、前よりストレスなくコミュニケーションとれる気がした。勘違いされたら、その都度すり合わせていけば良いのさ。

それから、子育ても。
ああ、youtubeでしなぷしゅ見せすぎてるかな…とか
子どもと一緒にいるときスマホなんて見ないで、もっと声掛けして、絵本読んで、ってしないと悪影響あるかな…とか
はみがき上手にさせてあげられなかったな…とか
いつも小さな罪悪感とともに子育てをしてるけど、完璧にできずにくよくよしてるママでいるより、30点ぶんのダメさを笑いながらリラックスして笑って娘との時間を楽しもう、と思うようになった。
(まあ、子育てに関してだけは、そんなにきれいに70点で良し!ってわりきれることでもないから、泥臭く試行錯誤を重ねていくのかも。)

ちなみにこのnoteもそう。
noteをはじめたときは、自分のために文章を書く場、と決めていたはずなのに、無意識のうちに、何か立派な、面白いものを書こうとして筆をとるのがおっくうになってしまったりして。
ここは自分の自由帳なのだから、拙くたって、理想の7割の完成度になったって、自由に書いて良いんだった。と思って今回も書き始めた次第です。


こうしてみると、私はいかに日々色んなことで100点を求めようとしていたか気づかされた。
そして、なにかをしんどいなと思うタイミングの多くが、100点にしなければと気負っている時のことだった。

でも、「100点」ってなんか…幻だよな。
満点を目指そうとすると、自分のまだ見ぬ理想というか、自分の今の実力じゃできないことをしようとしてしまう。つらくなるのも当たり前だね。
「70点」って、自分が力まずに、等身大に今出来ることを淡々とスタートできる、自分にとってはベストなゴール設定なのかもしれない。

30歳をいくつか過ぎて思うけど、完璧主義や「べき」思考って私の悪癖みたいなものなのかも。付き合っていく人生のテーマだなぁ。


さて、1カ月後には 本業の育休復帰が始まって、新たな生活がはじまる。
最初はきっとあたふたすると思うけど、いつも心に30点ぶんの余白を持って、70点の自分を愛しながら進んでいけたらいいなぁと思っています。

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