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ゼロから始める伊賀の米づくり〜新米兼業農家の記録〜

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2020年1月、三重県伊賀市の父の実家の田を継ぐことになった男の米作り1年目からの記録です。京都⇄伊賀の二拠点生活を送っている筆者が、家族の思い、地域の信頼に応えるべく、自然のま…
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#半農半X

ゼロから始める伊賀の米づくり37:祝!豊作出荷準備へ

今年の米の収穫量は、 30kg×93袋=2790kgでした〜! 合計6反弱(約6000㎡)の田んぼで2790kg、1反あたり465kgといったところでしょうか。 2020年、81袋(2430kg) 2021年、91袋(2730kg) 2022年、93袋(2790kg) と、初めて取り組んだ2020年から少しずつ増収しています。 今年に関しては台風も心配でしたが、無事に終えることができました。 毎年の増収…工夫していることは?何がこの増収を実現しているのかは、要

ゼロから始める伊賀の米づくり36:私(たち)の現在地

最後まで天気が気がかりだった今年の稲刈りも、家族3人体制で無事に終えることができました。 今回の稲刈りに際して、いくつも考えが浮かんできたので書き留めておこうと思います。 『家』のこと、『新しい兼業農家像と家族像』のこと、『人と自然の関わり』のこと、『これから』のことなどです。 家(イエ)田んぼに関わる際、兼業農家という立場上、どうしても『家』というものが気になります。兼業農家とは、必然的に家族も動員される家族経営の一種でもあるためです。 自分が長男として生まれた頃に

ゼロから始める伊賀の米づくり29:田植え直前、水取り

いよいよ5月連休ですね。 毎年、この時期は我が家は田植え週間となります。 田植えのためには、まず、田んぼに水を入れなければなりません。 今回は、その「水取り」の記録です。 快晴の空の下、耕された田んぼの土が乾燥し、やや白味がかった色になっています。 春になると、雨と晴れの日が代わる代わる訪れ、また、温度が高くなってくるため雑草が増えてきます。 田んぼの中に生える雑草は、稲にとっては土の栄養を取り合う競合相手になってしまいます。 また、収穫時には稲と同様に大きく成長し

ゼロから始める伊賀の米づくり24:真心込めて、手入れをする

農家の朝は早いとはよく言ったもので、自分も収穫期に合わせて早起きして作業することを続けていると、自然と早寝早起きの習慣が身につきました。 せっかく早起きが続くようになったので、最近は朝起きるとまずは散歩することにしています。 家の田んぼを見守るように佇む神社まで歩いて行き、 その後、田んぼの変化を一通り見て回ってみます。 稲の収穫後、田んぼに残っていた切り株からは新たに新しい芽が育とうとして、黄緑色に染まりつつあります。 空を見上げてみると、うろこ雲。すっかり、秋ら

ゼロから始める伊賀の米づくり23:稲刈りから籾摺り、袋詰めへ

さて、先日、田んぼで稲刈りを行った続きです。 稲は刈っただけでは私たちが普段食べているお米にはなりません。この作業場にある機械たちに手伝ってもらいます。 まず、コンバインで収穫された籾🌾は、上の画像右手の乾燥機の中に入れられます。 収穫したばかりの籾(米)は、水分量を多く含んでいます(約20〜30%程度)。 この水分量を14〜15%になるまで乾燥させていきます。乾燥させることで劣化したり味が落ちたり、また、発芽することなく保存もききやすくなります。 乾燥を終えると、

ゼロから始める伊賀の米づくり22:父から継いで2年目の収穫

見渡す限りの田園風景の景色。三重県伊賀市の実家の田んぼは、いよいよ収穫の時期となりました。 先述していたように、今年は8月に入って「災害級の豪雨」と報道された長く強い雨が続いていたため、例年に比べると収穫のタイミングが1週間弱遅れることとなりました。 それでも、こうして稲穂🌾をつけてくれているのを見ると、安心します。 (あぁ、よかった) 稲穂を確認してみると、すっかり色が黄緑色から変わってきているのがよくわかります。 あとは、圃場(ほじょう:田んぼのこと)の土の渇き

ゼロから始める伊賀の米づくり21:自然や、いのちの不確実性とどう折り合うか?

前回の記録からしばらく経ち、いよいよ収穫の時期が近づいてきました。 8月半ばのお盆休み。 毎年この時期になると、稲刈りのための準備も大詰めになってきます。 例年、5月連休に田植えを行い、8月末〜9月上旬に稲刈りを行うため、残すところ後2週間あまり。 このお盆休みのうちに、稲を刈る機械・コンバインの点検と整備、稲を乾燥させる乾燥機と精米機の点検と整備を行います。 昨年、初めて行ったときのおぼろげな記憶を辿りながら、また、分厚くわかりづらい説明書とにらめっこしながら、整備

ゼロから始める伊賀の米づくり20:晴天の田園風景と溝切ライダー

田植えが終わって一ヶ月半ほど。 5月末から突入してしまった梅雨にも負けず、苗も少しずつ着実に成長してきました。 そして6月中旬。 この、梅雨の中頃は中干し前の溝切りの季節です。 中干しとは、田んぼの水を一度すべて抜き、土を渇かすプロセスです。 米づくりにおいて、日本では基本的に水稲栽培……つまり、田んぼに水を張り、そこへ苗を植えていく方法で米を育てています。 そうすると土の中の酸素が不足すると同時に、温室効果ガスのメタンも発生します。 そんな中で、一度田んぼの水を抜

ゼロから始める伊賀の米づくり19:田植えと、これからの協同体、発信する意味

天気予報によれば、今日をおいて他に無いという晴天の元、無事に田植えを始めることができました。 とはいえ、始まりもやや波乱含み。 田んぼの水を堰き止めている畦道がモグラによって穴を開けられており、隣の田んぼに染み出しているのです。 朝からせっせと土を穴に突っ込んで埋め、一仕事を終えてからようやくスタートしました。 今年で田植え機に乗るのは2年目ですが、身体は操作を覚えてくれていたようです。 始めはゆっくり最低速度で田んぼに入り、調子が出てきたら一気に加速します。 ただ

ゼロから始める実家の米づくり18:田植え前、最後の準備へ

例年5月連休に行う田植え。その田植えが迫ってくる4月末は準備が大詰めとなってきます。 まず、田んぼに水を引き込みます。地域の決めた日程に従い、順次近隣の人々は水取りを始めていきます。 この水取り。上流と下流の関係がある為、好きなタイミングで水を田んぼに入れて良いわけではありません。 昨年は、その件で近隣でちょっとしたトラブルもありました。 水路の保全、水の管理は一戸だけではままならないものです。だからこそ、地域ぐるみの役を設け、1ヶ月に一度程度の頻度で草刈り等の役が発

ゼロから始める伊賀の米づくり17:春起こし終了〜代掻きへ

前回、トラクターのボンネットから白い煙を吹き出すという思わぬ形で中断してしまった春起こし。 どうにか、トラクターの部品交換により再開できることとなりました。 春起こしがどうして重要になるかと言えば、この時期は冬が終わり、温かくなってくることで雑草が多くなることが挙げられます。 極力、田んぼに生えてくる雑草は除去し、稲のための栄養が雑草にとられてしまわないように気をつけることが、慣行農法では求められます。 これら雑草もトラクターによって土中に鋤き込むことにより、栄養分と

ゼロから始める伊賀の米づくり16:田植え機のメンテナンスとトラクターの故障!?

3月。この時期になると、いよいよ田植えも近づいてきます。 田植えは例年、5月連休中に行います。それまでしばらく時間はありますが、いざ当日になって「田植え機が動かない!」では話になりません。 今回も、一度バッテリーを充電して燃料を入れ、エンジンを動かしてみることにしました。 バッテリー充電にはしばらく時間がかかるので、その間にこの時期のやること。春起こしを行います。 今回もトラクターに乗り込み、いざ耕します! 秋起こしの時から何度も何度も田んぼ(圃場)を耕していますが

ゼロから始める伊賀の米づくり15:機械化以前の米作り

前回、春が来る前の圃場の石拾いについての書いたのですが、その途中で祖父の作業場の整理も行っていました。 元々、大工であり木材の卸しも営んでいたらしい祖父の作業場は、祖父が亡くなって8年ほどですが手付かずのまま放置されていました。 祖父の他界から8年後。今度は父が他界し、それを機に実家の米づくりを継いで行ってきたわけですが、米づくりの作業と並行して、祖父の作業場の整理も行ってきていたのでした。 大工であり、木材の卸しも営んでいたらしい祖父の作業場は木材や工具で溢れていまし

ゼロから始める伊賀の米づくり14:春が来る前に石拾い

2021年、2月某日。今回は、田んぼの石拾いをすることにしました。 昨年の収穫が終わったあと、トラクターに乗って「秋起こし」をしたわけですが、 トラクターに乗って田んぼの中を走っていると、土の中にある石が顔をのぞかせている様子がよく見えます。 田んぼの中に石があるとどうなるか? トラクターに乗れば、耕している際にその爪が傷つきやすくなり、 田植えをするために田植え機に乗れば、苗が石に引っ掛かり、根を張りにくくなります。 基本的に良いことがありません。 そのため、