「シアワセ」 第一話

 どこに惹かれたのだろう。明確には思い出せない。自分の好みだったわけでも、人気があったわけでもない。強いて言うなら目立たない存在だった。あれから3年半たった今、本当のことはわからない。しかし3年半前僕は彼女に一目惚れをした。それだけは紛れもない真実だ。

彼女との思い出を振り返ると彼女のいい面しか浮かんでこない。理由はわからない。しかし冷静になって考えると僕は彼女に3年半振り回されてばっかだった。僕に非がなかったわけではないが、誰が見ても彼女が僕を振り回している。しかし彼女とのことを思い出すと凄くいい思い出のように感じてしまう。記憶は美化されるものだとリアルに感じた瞬間だった。

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