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小説「アウスリーベの調べ」

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小説「アウスリーベの調べ」の全話をまとめています。
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小説「アウスリーベの調べ」第1話

赤い夕陽が差し込む廊下は、どこまでも永遠に続いていた。誰もいない教室、誰もいない校舎、誰…

湯川 葉介
1年前
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小説「アウスリーベの調べ」第2話

 数枚の肖像画を手に、沙耶は美術準備室を後にした。気付けば遠くから管楽器の奏でるメロディ…

湯川 葉介
1年前
7

小説「アウスリーベの調べ」第3話

 翌日の昼休み。沙耶は美術準備室へ来るよう崎村から呼び出された。教室を出る折、他の女子達…

湯川 葉介
1年前
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小説「アウスリーベの調べ」第4話

 それからというもの、一体どれ程の間ぼんやりとした世界の中を彷徨い続けただろう。僕は自分…

湯川 葉介
1年前
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小説「アウスリーベの調べ」第5話

 金曜日の放課後。夕日が照らす西校舎三階の渡り廊下に設置されたベンチで、隣り合って座る僕…

湯川 葉介
1年前
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小説「アウスリーベの調べ」第6話

 画家は、街外れの住宅街から更に奥まった区画にある、小さな二階建ての木造家屋にひっそりと…

湯川 葉介
1年前
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小説「アウスリーベの調べ」第7話

 歌が聞こえた。誰かが遠くで歌っている。しかし言葉ではない。メロディーとしてしか僕には聞き取ることが出来ない。ハミングしているのだろうか、ともう一度耳を澄ませたが、次第にそれは誰かが口にする歌ではなく、何かの楽器で奏でられる曲であることに気が付いた。これは確か、ロベルト・シューマンの『トロイメライ』。演奏している楽器はピアノではなく、フルートだ。僕はピアノでの演奏しか聴いたことがなかったのでその新鮮さに頬が緩むのを感じた。誰が演奏しているのだろう。浮力を使ってゆっくりと体を起

小説「アウスリーベの調べ」第8話

 ゆっくり目蓋を開ける。そこは赤い夕陽が差し込む学校の廊下だった。 見覚えのある風景。長…

湯川 葉介
1年前
4

小説「アウスリーベの調べ」第9話

 高校へと続く通学路には朝の早い学生達の姿がちらほらと散見された。誰も急ぐ者はなく、手に…

湯川 葉介
1年前
6

小説「アウスリーベの調べ」第10話(最終話)

 モデルとなって立っている時間はそれほど長くない様に感じたが、気付けば時計の針は午後零時…

湯川 葉介
1年前
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