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10月という季節

昔、ぼそっと母親が言った。
「10月は昔から気分が落ち込むのよね」
その時はあまり気に留めなかったが、ここ数年僕もそうかもしれないと思ってきた。

思い返すと10月は別れが多かった。
曽祖父と祖父は病に侵され、友人、いとこは自らの意思で旅立っていった。
8年付き合った彼女と別れたのも確か10月だった。
そういう運命を抱えた家系なのかもしれない

気にしすぎかなとも思ったが、どうやら東洋医学的にも秋に対する感情は「悲しい」「憂い」とされているらしい。
根拠としては、気温は下がり、風が吹き、木の葉は枯れて散り、日照時間も短くなっていく。こういった変化を、体は目や肌で敏感に感じ取るため らしい。

秋という季節のせいでみんな旅立ってしまったのかと思うと少し腹が立つ。
「秋のばかやろー!」と言ったところで誰も帰ってこず、ただただ虚しさだけが残るだけだ。

今は亡き人たちを思い、後悔と悲しみを抱く季節が僕にとっての秋なのかもしれない。
そう考えると、この半月何となく気分が落ち込んでいたのも納得する。

ただ、いつまでも落ち込んでいられないのも事実。
なるべく後悔しないように、周りの人たちとは沢山喋りたいし思い出を作りたい。
いつ別れが来るか分からないのだから。

10月という季節と別れ、気分が乗らない理由をぼんやりと考え、できるだけ長い時間みんなと一緒にいたいな と思う23時24分

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