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「ボーンズ アンド オール」を観ました

映画鑑賞備忘録です。

2023年9本目は「ボーンズ アンド オール」。

食人衝動を持つ、人ならざるもの(イーター)である少女・マレンと、偶然出会った同族のリーとの旅路を描いています。食人という題材で、映像はもうがっつりガツガツなため、文句なしのR18+です。描写は結構生々しいので苦手な方は目を背けつつ観ることになるかもしれません。

とはいえ、ゴア表現がみどころの映画かと言えばそうではないんですよね。作品が伝えたいことは「愛」であり、人間の世界から隔絶された寄る辺ない2人のロマンスが本旨。マイノリティの抱える孤独や葛藤をカニバリズムという形で表現した異色のラブストーリーです。タイトルの「骨ごと食べる」がまるごと愛することの比喩で終わらないのは、この題材ならではのオチでした。

そして、物語を大きく動かす重要なキャラクター・サリーの強烈な気味の悪さは特筆事項でしょう。父に捨てられた直後のマレンが出会うのが、1人でひっそりと生きるイーターのサリーです。サリーはマレンに友好的に接するも袖にされたことをきっかけに、終盤まで執拗につきまといます。その詰め寄り方が非常に不気味なんですよ。ホラー要素があるとすれば、そのサイコっぷりでしょうか。

年若い少年少女が新しい界隈に踏み込んだ時、親切そうに寄ってくる人間が果たして本当に信頼たるかという、現代のあるある(?)でもありますね。ただ、人が孤独に狂ったとき、誰しもサリーになり得る可能性があるということは忘れてはいけません。SNSやマッチングアプリで若い子に粘着するような大人になってはいけないということです。

まぁ、サリーの場合、かなり昔から狡猾で猟奇的な生き方をしている様子なので全然同情する気持ちになれないのですが……。

ちなみに、麗しのティモシー・シャラメ様を観るために劇場を訪れたであろう女性グループがいたのですが、上映終了後に「なんかめっちゃグロかったね……」とげっそりしていました。

(2023年3月中旬に鑑賞)

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