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文京区・印刷博物館「地図と印刷」展をみてきた!

 先日、印刷博物館の企画展「地図と印刷」展をみてきました。今回は、そのときのことを書きます。


 印刷博物館の企画展「地図と印刷」展は、基本的に近世の地図を中心にした展示です。世界地図に、日本諸国の地図、江戸の地図など、見ていて楽しいものばかりでした。見ているとキリがないので、とりあえず自分に縁のある土地の名前などを探して、次に進むといった感じで見てまわりました。こういう地図を見ていてると、日本のあちらこちらを旅したくなるし、異国の地にあこがれや興味がわいてくるようになるよなぁと思ったりしました。複製だったとはいえ、「大輿地球儀」とその版木も面白かったです。昔の地球儀って、紙風船みたいだったのですね。残念ながら、企画展は写真撮影が禁止だったので、写真がないのですが。その他、ルイス・ティシェイラ、モレイラ、ブラウ、ケンペル、レーラント、シーボルトら外国人による日本図や中国図も、ありました。地図は、歴史が下るごとに、どんどん精緻になっていって、技術の進歩って凄いなぁと思うと同時に、新しいものほど、現代の地図と似てくるので、見ていて有難さも感じなくなってきて、人間(というか私だけかも?)って勝手だなぁと思いました。

 さて、今回の展示で、個人的に一番胸熱だったのは、木版印刷として日本で初めて印刷された世界地図だという「万国総図」です。この地図は、長崎の測量家・天文学者である小林謙貞によると考えられているそうです。生で見た「万国総図」は、地名が手書きでかかれているのと、「エゾ」がすでに描かれていることが印象に残りました。ところで、この「万国総図」は、「世界人物図」とセットになっているそうなのですが、「世界人物図」のほうは、この企画展の前期に展示されたようで、わたしは「万国総図」しか見られませんでした。ただ、以下のサイトで両方みられるので、貼っておきますね。宜しければご覧ください。今回、印刷博物館で展示されているのも、この広島県立歴史博物館(守屋壽コレクション)のものです。↓

「世界人物図」には、日本、明、高麗、ポルトトガル、オランダ、イギリス、ロシア、ドイツその他40か国の人々が描かれているのですが、これは小林謙貞が門下生に教えた内容を盛り込ませる卒業試験のために製作されたと考えられているそうです。こんな講義を受けたら、楽しそうですね。さて、小林謙貞といえば、以前の記事でも書いたのですが、師である林吉右衛門がキリシタンだということで捕縛・処刑されてしまって、小林謙貞自身も師に連座して逮捕され、21年間も投獄された人物です。彼らが捕縛されたのが1646年、上の「万国総図」「世界人物図」は1645年のものなので、逮捕直前の、ある意味、一番充実していた時期のものなのかもしれません。

 この「地図と印刷」展、会期は2022年12月11日(日)までとなります。閉会が近いので、興味はあるけど、まだ行ってないよとか、もう一度見に行きたいなとか思われている方は、どうぞお急ぎください。今回は、企画展についてだけ書きましたが、印刷博物館は、常設展示も面白いので、次回は、その常設展示もご紹介したいと思います。

(参考文献
☆展覧会カタログ『地図と印刷』2022年)

[標題の写真は、印刷博物館内、プロローグのフロアです]

21年間 投獄された小林謙貞は、それからどうなったの?と気になった方は、こちらをご覧ください。↓

 

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