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何を基準とするか、常に確認し変えていく

私は決断が早い方だ

もちろん
即決できるものとできないものもある。

決めてから
一晩寝かして
最終的な決断を下すこともある。

好きなものと
嫌いなもの

センスを感じるものと
センスを感じないもの

どちらでも良いという選択

いろいろな場面で
私たちは決断をして生きている。


決断したいけど
決断できない人と話をした。

私より少し年上だけれど
今時の40代にしては
お世辞にも若々しいとは言えない。

話をし始める時は
視点が若干泳ぐ。

顔色が悪いのは
持病のせいかもしれないが。

あえて何故かを私が聞かないのは、
彼女が発するであろう答えが
わかっているからだ。

「自分のことなんて、かまってられないのよ」

結婚して間もなく
義理の両親と同居を始めた彼女は
数えきれないくらいの「本心」を
押し殺して生きていたのだ。

自分を押し殺す

ひどく辛い言葉だ。

彼女はとても優しい人で、
周りとの調和を大切にする人だ。
決して自らいちばん前には行かないが
行くことのできる資質もある。

けれど、
彼女にとっての二十数年は
そういった彼女自身を閉じ込めることで
「幸せのカタチ」を
作り上げてきたのだ。

それを、
私のような人が
否定してはいけないと思っている。

その時、
その瞬間で

彼女なりの決断をしてきた。

その決断の選択肢の中に
悲しいかな「自分を押し殺す」という項目があったのだ。

話を聞き出しながら
私が核心を突いていくと、

目を潤ませながら
「仕方がなかったのよ」
と口にする。

口にしながら
「やっと言えたよ。やっと言葉にできたよ」
「ずっと誰にも言えなかったんだよ」
そんな別の言葉が続いているような気がした。

「もっと自由でいいんだよ」

真っ直ぐ見据えて、
彼女に言った。

この音を言葉として認識すると同時に
彼女の頰に涙が伝うのを見た。

もっと早く
話を聞いてあげればよかったという
少しの後悔を抱えつつ、

これからの未来を
どうやって伝えたら良いか迷う。

「何を基準とするか、常に確認し変えていく」

彼女にとっての基準は
まだ変えられないのだ。

そう、
まだ変えられないだけで

これから変えていけばいいのだ。

今その時の基準を
彼女自身が、言葉にできるように支えてあげよう。

秋晴れの空気を感じながら
上り電車と下り電車にそれぞれ乗った。

またね。
また会おう。

会って、未来の話をしよう。


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