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人工ダイヤモンドの躍進

みなさん、こんにちは。
本日は本職のジュエラーとして、人工ダイヤモンドのお話を。
次回、紫がたり 第九十四話 須磨(一)は8月7日(日)に掲載いたします。
まずは人とダイヤモンドの出会いについて・・・
以前書いたコラムと若干重複するかと思いますが。。。

宝石は地球の内部、核の近くのマントルで生成されます。
それがマグマによって地表にまでに押し上げられ、人間の近くにやってきます。
大地の隆起で山ができ、雨によって河川が形作られ、宝石の原石を含む大地を河川が削り、人の住むほとりまで運んだことによって人は宝石と出会いました。
真っ赤なルビー、静謐なサファイア、癒しのエメラルド。
ダイヤモンドは無色透明(カラーダイヤもありますが)。
唯一輝きを楽しむ宝石です。
時の権力者や支配者がダイヤモンドを好んで身に着けたのは、その輝きで神々しさ、人とは一線を画した存在であるという演出であったという説もあります。
輝きに魅せられた人間たちはダイヤモンドを求めるようになりました。

さて、それではここで天然ダイヤモンドの採掘についてお話を致しましょう。
河川によって宝石の原石を含んだ大地が削られ、海に注がれます。こうして海に眠るものを採る方法があります。
これは二次鉱床と呼ばれますが、長い間河川によって運ばれた原石は、形を損なうものも多くありましたが、損なわずに発見されたものは大きく、きれいな原石が多くでると言われています。

また、ダイヤモンド鉱床を発見し、大地を掘って採掘する方法が一般的ですが、この行為が昨今環境破壊などの点で問題視されるようになりました。
ダイヤモンド鉱山を採掘する方法は『露天掘り』という方法が取られております。
これは坑道を作らずに地下に向かって渦を巻くように大規模に掘ってゆくことです。
ほんの数百メートル掘る、というレベルではありません。
この巨大な穴は宇宙からも観測できる地球の大きな傷跡となっております。

0805ブログ②

また、ダイヤモンドはアフリカなどで採掘されることが多く、子供を低賃金で働かせるなどの人道的な問題も孕んでおります。
そして貧しい国から産出されるダイヤモンドには、テロ組織を支える闇資金などの問題も危ぶまれております。
俳優のレオナルド・ディカプリオさんが主役を務めた『ブラッド・ダイヤモンド』はまさにこの闇の資金をテーマにした映画でした。
この頃からトレーサビリティやエシカル(倫理的)などが意識され始めましたが、ディカプリオさんはこの映画に出演したことで、人工ダイヤモンドを推進する運動や応援を始められました。

アメリカでのこうした機運は持続可能でエシカルなダイヤモンドへの関心が高まり、広く認知されるようになりました。
人工ダイヤモンドは一般的に『ラボグロウン・ダイヤモンド』と呼ばれております。
アメリカではすでにこのラボグロウン・ダイヤモンドを大々的に謳ったブランドが数々誕生しており、専門的に扱う店舗も200を超えているということです。
このコロナ禍で色々と環境は変わりましたが、日本にも今改めてラボグロウン・ダイヤモンドの波が訪れようとしています。

明日は『ラボグロウン・ダイヤモンドとSDGs』というコラムを掲載いたします。

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