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紫がたり 令和源氏物語

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青木紫 が語る「令和源氏物語」。創作を盛り込んだ現代語意訳です。 千年前でも現代人でも変わらないのは人の心。 光る君の生涯「桐壺」から「雲隠」まで、449話にて完結です。
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次帖『蓬生』について

みなさん、こんにちは。 源氏物語にはとても印象に残る名場面が数々あると思います。 これまで…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第三百五十八話 若菜・下(二十四)

 若菜・下(二十四) 柏木はまどろむ中で夢を見ました。 あの宮の姿を垣間見せてくれた唐猫…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第百七十三話 薄雲(一)

 薄雲(一) 待ちわびた源氏との再会はほんのひととき、君の身分重きゆえにまた間遠になり、…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第百七十一話 松風(八)

 松風(八) 若い貴公子達はわいわいと源氏に屈託のない笑顔を向けてきます。 「源氏の大臣…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第百七十話 松風(七)

 松風(七) その日源氏は嵯峨野の御堂の方へ出向き、お勤めする者たちにさまざまな供養の…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第百六十九話 松風(六)

 松風(六) その宵は実に趣深いものでした。 明石の上は源氏に会えなかった三年近くを不安…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第百六十八話 松風(五)

 松風(五) 陽が高くなり、ゆるゆると進む牛車に揺られ、二条邸から離れるとすぐに明石の上を想われる君です。 「惟光、あちらの邸はどのような感じだ?」 「は、大井川に面しておりまして、どことのう明石の浜の御殿が思い出されます。しつらえも整いましたので、御方さまも姫さまも快適にお暮らしでいらっしゃいますよ」 明石の上と別れ三年近くの歳月が経っています。 それでも目を閉じればあの人の慎ましげで高貴な姿が脳裏に甦ります。  ああ、とうとう再会できるのだな。  小さな姫はどんな様子

紫がたり 令和源氏物語 第百六十七話 松風(四)

 松風(四) 源氏は明石の上と小さい姫がすぐそこの大井の山荘にいると思うだけで居てもたっ…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第百六十六話 松風(三)

 松風(三) 一行は源氏が定めた通りに順調に旅路を進み、人に知られぬようにと細心の注意を…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第百六十五話 松風(二)

 松風(二) 源氏は明石に側近を二、三人遣わして親子を迎えに行かせました。 この者達は共…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第百六十四話 松風(一)

 松風(一) 二条邸の東院が立派に完成し、源氏はまず最初に花散里の姫をここに移しました。…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第百六十三話 絵合(九)

 絵合(九)  辺りが薄闇に包まれた頃、とうとう残すところ一巻のみということになりました…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第百六十二話 絵合(八)

 絵合(八)  弥生月の中頃、御前にて絵合が行われました。 あくまで絵が主役であるのでそ…

YUKARI
1年前
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紫がたり 令和源氏物語 第百六十一話 絵合(七)

 絵合(七)  ここでこの帖のタイトルである『絵合(えあわせ)』についてちょっとお話し致しましょう。 平安時代において、「合わせる」とは「比べる」という意味でした。 ここで同じように「合わせ」で思い浮かばれる言葉といえば『貝合わせ』ではないでしょうか。 これはつまり、どちらが美しい貝かを競うということなのです。 現在とは意味合いが違いますね。 姫君の御輿入れの道具として「貝桶」というものがあります。 二枚貝はその形状から二つとしてぴったりと対になる物はなく、夫婦円満、貞淑の