紫がたり 令和源氏物語 第二百八十九話 真木柱(二十)
真木柱(二十)
その年の十一月、玉鬘は美しい若君を産みました。
右大将も大喜びで、玉鬘を以前にもまして大切にするもので、夫婦仲はことさら良好のようです。右大将の若君たちもすっかり玉鬘になつき、愛情を受けてすくすくと成長しております。
その噂を聞くにつけても式部卿宮は面白くありません。
娘は物の怪に苛まれて、手に負えなくなるばかりです。
しかし右大将は北の方に経済的な援助を施し、定期的に若君たちをあちらの邸に行かせるようにして、完全には縁を切っておりません。
真木柱の姫君