紫がたり 令和源氏物語 第百五十五話 絵合(一)
絵合(一)
藤壺の女院は正式に故六条御息所の姫・先の斎宮に入内されるよう申し込まれました。
遣いとなって六条邸を訪れたのは源氏の君です。
「源氏の大臣、わたくしを主上(おかみ=帝)の女御にと仰せになりましたか?」
姫はとても驚かれました。
帝とはいえ、御年十三歳。
姫宮は二十二歳でいらっしゃるので、年齢差からいってもよもや入内はないと考えておられましたが、母を亡くし心細くあったので、いずれ宮仕えかどれかの縁談を受けるものと思っていたものの、女院からじきじきの申し入れがある