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地産外招のコツ

10月4日に私が住んでいる長野県東御市で「くるみの収穫祭」が開催されました。東御市は国産くるみの産出量が日本一と言われ、あちこちにくるみの木が植えられています。上の写真はくるみの実を割ったところで、この緑色の実を割ると殻付きの状態のくるみがあります。

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くるみの収穫祭では、木の上にこんな風になっているくるみの実を竿で叩き落して実を割って「殻付きのくるみ」を取り出すというのがくるみの収穫祭です。参加費は1200円で約1kgのくるみを持ち帰ることができます。今年は約160名の参加があり、東御市内からの参加は10名でそれ以外はすべて市外の方で、首都圏の方も多かったのですが、中には鹿児島県から来た方もいらっしゃったそうです。

どうしてこんなに外からの参加者が多かったのか、東御市観光協会の方に伺うと新聞やテレビ局など様々なメディアにプレスリリースをしたが、その際の一言がおそらく多くの人を引き付けたのではないかとのことです。その一言とは、

「農家しか味わえない『生クルミ』を試食できます!」

ということだそうです。『生くるみ』というのはくるみを収穫して乾燥する前のくるみのことで、殻付きで売っているくるみはすでに乾燥したクルミです。収穫したての『生くるみ』は、クリーミーな味わいで乾燥したくるみとはまた違う美味しさです。この『生くるみ』を一度食べてみたいということで外からたくさんのお客様が東御市にいらしてくれたようです。

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私が5月に出版した「衰退産業でも稼げます」という本のキーコンセプトのひとつに「地産外招」(私の造語)があります。ローカルな商品をローカルで消費する「地産地消」は地方経済にとっては重要な考え方ですが、人口が減少している地方経済にとってはこれだけではやっていけないのが明白です。次にローカルな商品を外に売りに行く「地産外商」は、コストがかかりまた時間も取られるため、余裕があるとき以外は難しくなります。

そこでローカルな商品の魅力を磨き上げて外から人を招く「地産外招」という概念が重要になってきます。「そんなこと当然やっている」という方もいらっしゃるかと思いますが、ポイントは「ローカルな商品の魅力を磨き上げて」というところです。

東御市のくるみの収穫祭も「東御市は日本一のくるみの産地」とか「おいしい新鮮なくるみが収穫できます」というキャッチフレーズだったらそれほど人は来なかったと思います。

「農家しか味わえない『生クルミ』を試食できます!」

という特別感があるキャッチフレーズが人々の心に刺さったのだと思います。遠くても東御市に行ってみようという気にさせる一言です。このことが「ローカルな商品の魅力を磨き上げて」ということなのです。

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くるみの収穫祭では、地元のお菓子屋さんが作りたてのくるみおはぎも提供してくれて、それも絶品でした。

さて地元情報ばかりで恐縮ですが、10月12日土曜日から長野県東御市では「天空の芸術祭」が開催されています。ご縁があって私も「創造となりわい 経営におけるアートとサイエンス」というトークイベントを素敵なアトリエで10月13日日曜日14時から行います。(参加無料、要予約)もしご都合つきましたら、ぜひご参加ください。

#経営とアート #地方創生 #事業承継 #地産