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超ワタクシゴトな話、からの猫話。

夫が前妻と別れるとき、双方弁護士を立て痛みのあるキリキリとした離婚となった。離婚成立後は二度と会いたくない、許さない、と互いに誓っていたほどに。

その後、私と結婚して10年。

夫はおだやかな、本当におだやかな昔の姿を取り戻した。元奥さんに対する怨恨は新しい生活という時間をかけて消えた。一方の元奥さんは私たちから数年遅れて再婚。夫曰く、結婚していた頃の元奥さんは「世界で一番不幸なのは自分」だと常々語るほどだったらしい。

いまはどうなんだろうとたまに思っていたのだけれど、すでに独立している息子・娘から「この頃、ママ(元奥さん)が幸せだって言ってるよ。驚いた!」という話をきいた。さらに「あの人は元気でやっているのかな」と夫を気遣う言葉が出たと。

こころがまぁるくなるような喜びを感じた。思ったとおり、視点と視座を変えるとひとの世界は音を立てるようにその姿を変えていく。

とぉいむかし、いつかの私も両親と環境に対して強烈なNGを出していた。なにがあっても両親のような人間になったり、生き方はするまいと。いまだからわかるけれど、これは他人に対してのNGなようで、実は自分に対する呪いと同質だ。

誰かを恨むとこころが固くなる。そのかたさは自分の余裕と喜びを小さくする。怒りと嫌悪は、否応なくその感情のみに意識を集中させてしまう。これは立派な呪いだと思う。

「誰か」は、自分に対しても同じ。自分を許せない、好きになれない、能力が足りない…この世に唯一の自分に対して矢を放ち続けてしまうこと。これも呪い。

感受性のアンテナにはプラスとマイナスがある。妬み、嫉み、嫌悪、怒り、寂しさというマイナスの思いはプラスの感受性アンテナを鈍くするけれど、マイナスの感情には鋭敏に反応する。逆に、喜び、愛、感謝、感動はマイナスのアンテナを鈍くし、プラスのアンテナを鋭くする。

自分の目の前にある世界が何色なのか。その色はどれほど嫌でも自分自身の投影なんだよね。

夫と元奥さんが結婚していた頃、ふたりともに世界の色が暗色だったのだと思う。マイナスのアンテナがばんばん立っていたのだろうし。勇気を出して、別々の道を進むことによって人生そのものの色が変わった。

一歩が踏み出せないひとはたくさんいる。結局、真面目なんだよね、多くのひとが。現状変更より楽な、我慢すること、あきらめることが大人のたしなみであるかのように生きていけるのだから。

   ✳︎

だからね、うちのニャンズのように生きたらいい。

「お腹すいた!」
「トイレするよ!」
「なでて、なでて!」
「すき・すき・だいすき」
「もっと一緒にいてー!」

誰も恨まない。忖度もない。
自分の弱点なんて考えたこともない。
我慢はほぼしないし、嘘のない本心だけ。
プラスの感受性アンテナをぴーんと立ててそばにいてくれる奇跡のような存在。

大人のふりしているひとは、猫と一緒に暮らしたらいいね。マイナスのアンテナを引っ込めて、無くしてくれる。しかめっつらさえ甘々になるんだから。

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