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今日も夜が来た。静かでよどみなく、しんとした空気が体をすり抜けていく。冷ややかな風にゆらゆらとそよぎながら、そのまま体を横たえてしまいたい。そんな夜。 すぐそばの草叢から小さく虫の声がする。明るいうちに鳴いているのはあまり聞かない……否、日に当てられていささか賑やかになりすぎる日常のざわめきの中に、溶けて消えているだけかもしれないけれど。 一人でいる。話す相手はいない。電話の相手くらいは、探せばいないではない。といえ、こんな時間に呼び出すのは迷惑だろう。寝静まるというに
涼やかな風が吹き抜け、陽射しが円みをおび、彼岸花の花弁がしおれはじめて、季節はもうすっかり秋になりました。 わたしは今、本を読んでいます。ひとりでのスポーツは張り合いがないですし、食欲もそれほど……普段と同じくらいにしか、ありません。ゆったりと心を落ち着けるように読書にふけるのが、いちばん合っているように思います。 音のない空間で物語を読み進めていると、本の中に入り込んで、余計なことを考えず、日常や現実というものを忘れられるように思いませんか。暑すぎても寒すぎても気が散