「好きそう」って褒め言葉?
好きそうだね、と言われるのがうれしい。
自分の好きなもの(人)あるいは好みのものに対して、親しい人やすきな人に「これ、あなたが好きそうやな」と言われるのが、すごくうれしいのである。
これって誰しもに共通してある感情なんだろうか。
わたしは気づけばずっと、そうだった。
それだけ自分のことを知ってくれている、分かってくれていると感じるからなのかなあ。
決して褒められたわけではないのに、ついにやにやしてしまうため怪訝な目をされることもしばしばである。
お店で見ている雑貨や服、食べ物屋さんのメニューなんかに対して言われるのもうれしいのだが、別格で極上ハッピーになれる言葉がある。
「aiko、好きそうだよね」
わーーーーー!うれしい!!!
もうね、これに勝るものは今のところ多分ない。
この台詞に関しては、正直親しくなくても誰でもいい。
初対面だろうがちょっと苦手なタイプだろうが、誰に言われたって等しくにやけられる自信がある。
これはちょっと、自慢みたいになっちゃうかもしれないんだけど…。
(と遠慮がちに切り出してみたが、多くの人にとっては恐らく、自慢すべきことにすら当てはまらないような気もする)
自己紹介などをする時、わたしは大抵aikoが好きであることを織り交ぜる。
それに対して「あ、確かに好きそう!」「aiko似合いますね」なんて言われちゃうことが結構多いのだ。むふ。
それだけでも超絶ハッピーなのに、中にはわたしがそれを告げないうちから「中原さんって、aiko好きそう」なんて言われちゃったことも!あるんです!
こんなに嬉しいことがありますか、と言わんばかりにわたしのテンションは急上昇する。
もう無条件にその人のことが(男女問わず)好きになってしまうのは、まず間違いないだろう。
「ええー!ほんまに好きやねん!」
これだけで止めておけばよいものを、
「ほんまに…!?ありがとうありがとう…!」
と、にまにまして言わずにはいられなくなってしまう。
それゆえ「え、褒めてないけど…?」という、困惑の渦に相手を巻き込みがちなのだ。
客観的な事実として、そらこんだけの数の人が生きているわけだから、その、aikoをあんまり良く思っていない人も、まあ存在するわけである。
24時間一緒にいたい
あなたに出逢えた事があたしの終わり
などの歌詞からも薄々わかるし、実際彼女はライブで
「もう、みんな帰ったらどうせback numberとか聴くんやろ…。
そんなんやめてー。aikoだけ聴いて!」
なんて言っちゃう(愛しい…)くらいのメンヘラぶりである(でもわたしはそこが好きだ)。
主観の混入ゆえちょっと話が逸れたけど、まあaikoのそういうとこを「あんまし…」って思う人もいるわけである。
そんな人がわたしに言う「aiko好きそうだね」という台詞は、ほぼ100パー、褒め言葉ではない。
それくらい、わかっている。
わかっているのである。しかしながら残念ながら、わたしの意思とは無関係に、表情筋は弛緩する。
たとえば、軽薄でちゃらちゃらしてて、四股くらい平気でかけるような男(※イメージです)が、わたしにこう言ってきたとしよう。
「ユウカってさー…(小馬鹿にするような笑みを浮かべて)、めっちゃaiko好きそうだよね」
言動と表情の不一致に、わたしは一瞬むかっとするに違いない。
しかしながら次の瞬間にはきっと、
「(んふーっとにやけて)えーっ、そうかなあ…ありがとう!」
って、言うんだろうな。
情けないやらおめでたいやら。
そんなわたしもさすがに学習を重ねたので、「好きそう!」と言われてもしれっと「あ、そうかな?」なんて言えることが増えた。
(内心「そうめっちゃ好き!わかってくれるの、ありがとう!!!」って思ってはいるのだけど)
でもね、うれしいことには全く変わりがないのである。特な性分だなあ。
さらに、自分が好きなものや人を誰かに褒められるのも、とってもうれしい。
この気持ちをわかってもらえる人は多いんじゃないだろうか。
例がくり返しになって申し訳ないのだけれど、わたしは特にaikoである。
目の前で彼女が褒められようもんなら、話に首を突っ込んで「ありがとう……!(わかってくれて!)」と言いたくなってしまう。というか、大抵言っちゃう。
そこでまた向けられるのが怪訝な目、そして「いや、あなたを褒めてるわけじゃないんやで?」という台詞。もう慣れたもんね(あかんやろ)。
なんなんだろうな、この気持ち。
どのチャンネルを回しても政治家の不倫騒動ばっかりやっていてげんなりすることもあるけれど、みんないくつになっても恋愛したいもんなんだなあ、と逆にちょっと感心してしまったり。
もちろん浮気や不倫は否認派だけど、というか断固ぜったい反対だけれども、何かや誰かを好きになるってそれ自体は間違いなく素晴らしいことである。
それに付随して生まれるよろこびもまた、ちょっと素晴らしいものだったりするんだな。
そとから見れば、なんてことはないけどね。
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