今年の目標が増えました。
正直なところ、心から乗り気なわけではなかった。
sumikaのライブツアー『Ten to Ten』のチケットをとったのは去年の初夏。
その頃フェスで初めてライブを観て射抜かれたこと、ボーカルの片岡さんの外見があまりにもタイプであると改めて気づいたことが申し込んだ理由だった。軽率にも程がある。また、個人的バンドブームが来ていたせいもある。
とはいえ、去年の冬ごろからそのブームも落ち着きはじめ、少し前にはやっぱりリセールに出そうかなとすら思っていた。
でもまあせっかくだしと、昨日そのライブに足を運んだ。すると、中盤ごろには「わたしはこれからもsumikaを応援しつづける、ライブにも絶対にまた行く……」という強い気持ちが芽生えていたのだった。
退屈する瞬間がいっときもなかった。
楽曲の良さや演奏技術の高さはもちろん、ライブの運びもMCも演出もセトリも何もかもが非常に良くて、ずっとずっと「た、楽しい……!」と思いながらマスクの下でにこにこしていた。あっという間に終わってしまった、けれどももっとたくさんの時間をあの場所で過ごしていたような、ものすごく濃密な2時間半だった。
MCのときはメンバーの方全員がたくさんお話ししていたのも良かった。終始なごやかな空気感なのにツッコミが秀逸だったりしておもしろい。
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1曲目が始まるや否や、全身にびりびり伝わってくる生の音と、楽曲の魅力を際立たせる照明の演出に鳥肌が立った。
sumikaの良さはこのあと散々噛みしめることになるのだけども、ただただ音響と照明に圧倒されたこの瞬間にはもう「来てよかった!!」という気持ちでいっぱいだった。
視覚にも聴覚にも触覚にも訴えかけてくるこの空間で、同じように音楽を愛する人たちと一緒に生の時間を過ごせること、なんてスペシャルなんだろうと思った。
ガイドラインが変わって、今日のライブから観客の声出しがOKになったそうだ。
「みんなの声を聞かせて!」という片岡さんの言葉で、ひさしぶりに、本当にひさしぶりに客席が沸くのを目の当たりにして胸がいっぱいになった。
無言ライブが当たり前になって約3年、ここまで長かったよなあ。そのままの勢いで3曲目の「ふっかつのじゅもん」に入り、楽しいのと感激するのとで涙が止まらなかった。
あんまり楽しいと涙が出る。sumikaもお客さんもきらきらの笑顔で楽しそうにしているのを見ると、どうしようもなく心を揺さぶられて泣けてきた。
これはsumikaに限らずなのだけども、みんなで盛り上がる楽しい曲なのに、ひとりウッウッとやっていることがよくある。綿々と続く生活の中、その楽しい時間がいかに刹那的であるかを突きつけられるからかもしれない。
sumikaは今年で結成10周年を迎える。
片岡さんがMCで「大の大人が夢を追いつづけるのは本当に難しい。それでも10周年を迎えられるのは、メンバーやスタッフが同じ気持ちでいてくれたからこそだと思う」というようなことを言っていて、本当にそうだなと思った。
「夢を追う」という表現は、音楽や芸能や文学など芸術的な分野において使われがちだけれども、実際のところ、決してそうとは限らないのではないか。と、夢と掲げていた職に就いて4ヶ月が経過した今、そう思う。
入社前に抱いていた、なんだってやってみせるという熱意やこうありたいと強く願った憧れは、忙しない日々に流されて、改めて向き合おうとしなければつい忘れてしまう。毎分毎秒意識するのは現実的ではないかもしれないけれど、完全に忘れてしまったらなんのために働いているのかわからなくなってしまうし何よりも自分に不誠実だと思うから、時々はちゃんと思い出させて気持ちを立て直さなければ。
そうやって何度も取り出して自分に思い出させてきたから今のsumikaがあるんだろうな。しかも自分ひとりではなく、周りの人間も巻き込んで続けていくなんて本当にすごいことだ。
「今日は来るという選択肢をしてくれてありがとう」と片岡さんが何度かMCで言っていたけれど、こちらこそこんな素晴らしいライブに参加させてくださってありがとうございますと伝えたい。
本当に来てよかった。楽しくて楽しくて心を動かされっぱなしで、ああ音楽を好きでいてよかった!とすら思った。
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そして、今年はライブにたくさん行こうと心に決めたのだった。
noteにも何度か書いてきたけれども、わたしは10年くらい前からaikoが大好きで、ライブにも20回以上足を運んでいる。
新しいCDが出たらフラゲ日に入手し、アルバム曲やカップリングはもちろんインディーズ時代の楽曲にも精通し、歌詞の隅々まで舐め回すように読み込み考察し……みたいなファンをやってきた。そのせいで、アーティストのライブに行くにはそのくらいマニアックな知識と深い愛がなければならないのだと思い込んでいた。
だから、「ちょっと好きやな」「全曲じゃないけど何年も聴いてるな」レベルのアーティストのファンを名乗るのはおこがましいと思っており、ライブに行くという選択肢がそもそも生まれなかったのだった。
という話を以前、音楽好きでライブにもたくさん行っている友人にしたところ、その子は「ぜんぜん軽い気持ちでええんやで!わたしもミーハーやし!」と言ってくれた。
今年こそはそれを行動に移したい。音源で聴くのとはまったく違うライブの力を享受して、軽率にいろんな音楽を好きになりたい。
心を動かすには身体も動かさなければ。出不精なわたしの、今年の目標がひとつ増えた。
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最後にわたしの好きなsumikaの曲を紹介して終わります。
もう何回観たかわからん、大好きなライブ映像。2:58の「歌うまいね!」にズキュンとなり何度も瀕死の傷を負った。
このMVを見せた友人からことごとく「うわ優香ちゃん好きそう〜〜!(片岡さんのこと)」と言われてきた。新卒の春、この曲を目覚ましにしてたから、未だに聴くと当時を思い出す。
最新アルバム『For.』の中でいちばん好きな曲。
片岡さんが「高校時代に軽音部でやってたような空気感を出したい曲」と言ってたんやけど、突き抜けるような爽快感がザ・バンド!って感じで大好き。結局こういうど真ん中な曲が好きやなと思う。
昨日のアンコールの最後の曲。ライブの定番曲だそうな。
サビの「伝えたい 全部あなたに 全部伝えてこの言葉よ 迷わないように」をみんなで歌うんやけど、もう、会場の一体感にわたしゃ泣いたよ。ほんまに良い曲やね。
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