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たぶんわたしはひじきが嫌い

野菜が足りていない感じがしたので、ひじきの煮物を作ることにした。
袋の中には、ひじき・人参・しいたけと味付け用のたれが入っており、それらを煮込むだけで完成するのだという。以前、母が宅配便で送ってくれたものだ。

まずは具材を水で戻すと書いてあったので、裏面の作り方を律儀に守って10分間待つ。
洗い物が増えるのがめんどうだったので、ボウルのまま水を流そうとすると、ひじきがぽろぽろとシンクに落ちた。ああー、こういうところなんだよな。横着な自分に心の中で舌打ちをして、結局ざるを取り出して水を切る。

鍋に移すとき、あまりにもひじきが右手に貼りつくのでちょっとうんざりしてしまう。ボウルにもざるにもシンクにもたくさん散らばったそれは、どきっとするほど鮮やかな黒色をしていた。
あとはたれと水を投入して火にかけ、沸騰したら弱火でくつくつ煮る。水気が飛んだらできあがりらしい。

しかしながら、きちんと分量どおりに水を入れ、作り方どおりの時間火にかけたはずなのに、できあがったのはスープよろしくびしゃびしゃの煮物だった。

味も薄くて、ただぼんやりとうす甘いだけ。どことなく、なまぐさいような感じもした。
欠片ばかりのしいたけは風味も何もあったものじゃなく、黒々としたひじきの食感は頼りなく、それでいてざらりとした舌ざわりが妙に残って不快だった。

はて、いったい何が悪くてこうなってしまったのか。
おそらく水加減がまずかったのだろうけれど、というかそもそも、そういえばわたしはひじきが好きじゃなかったのだった。

汁気を切ってタッパーに詰め替えたひじきの煮物は、まだ優に3~4日ぶんもある。
冷蔵庫を開けて、それが目に入るたびに気が重い。味だけは少しでもましになればと、とりあえずしょうゆを強めに回しかけておいた。

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