交通事故に遭いたくない

スーパーからの帰り道は特に、ぜったい事故に遭いたくないと思っている。買い物袋の中身を見られたくないからだ。

わたしはあまり無駄遣いをしないたちなのだけれど、食費にかんしてだけは別。
外食はたいてい誰かと一緒だから交際費みたいなものだしまあ良いとして、問題はスーパーでの買い出しだ。
だいたい週2～3回出向くのだけれど、毎回お会計は1,500円、多いときは2,000円を超えてしまう。ひとり暮らしなのに！！

ごくまれに、誰かに見せたくなってしまうほど上手に買い物できることがあって、たとえばそれはこんな感じ。

白菜、長ねぎ、刻みねぎ、しめじ、えのき、豚肉切り落とし500グラム、卵、牛乳、ヨーグルト、鍋の素

鍋の素が決定打となって献立ばればれなのが恥ずかしいけれど、無駄がなくバランスよく、おおむね胸を張れるラインナップではなかろうか。
これで多分2,000円くらいなのだけれど、この2,000円は実にまっとうな使い方だと思う。

ちなみに、今日のラインナップはこうだ。

ぶりのお刺身、刻みねぎ、アボカド、卵、ヨーグルト、バニラアイス、カラフルチョコスプレー、合鴨スモークパストラミ

ほらこんなんもう、ぜったい事故に遭いたくない。
「アボカド、卵、ヨーグルト」あたりでかろうじて理性が見えるものの、残りすべて欲望がむき出しになっていて恥ずかしい。レジに向かう途中、目に飛び込んできて手に取らざるを得なかった、合鴨スモークパストラミの存在感よ。
もしだれかに見られようものなら「ぜったいアイスにスプレーかけて食べる気やん(笑)」って思われそうで恥ずかしい。その通りなんやけど。

これで、しめて約1,500円。
さっきと500円しか違わないとは思えないほど、なんというか、中身が薄い。ラテマネーどころの騒ぎじゃないほど我慢できるちりつもだらけ。

とはいえ、実は今日なんてましなほうで、もっとも見られたくないときはこんなもんじゃない。

ポテトチップス、チョコレート、クッキー、いかの塩辛、冷凍餃子、こてっちゃん、ホイップクリーム、プリン、ミルクレープ、バター etc……

これの何が恥ずかしいかって、お菓子の中にしれっとしょっぱいつまみが入っているところ。
しかも「ちくわ」「ちーたら」みたいなかわいいやつじゃなくて（かわいいのか？）、「いかの塩辛、冷凍餃子、こてっちゃん」。
塩分もカロリーも無視をして、人間の欲望てんこもり詰め込みましたセット。

見ず知らずの他人どころか、友達や恋人にだって知られたくない。
何度も言うが、塩辛やこてっちゃんそのものではなくて、ジャンルを無視して欲望に走っているのが恥ずかしいのだ。

でも、これらを全部一緒くたに並べて、お行儀わるく食べ散らかす至福たるや、本当に何物にも代えがたい。やめられない。
そんなわけで、うんと欲望に走った買い物の帰り道は、いつもより周囲に目を配りながら慎重に自転車を漕いでいる。