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なぜ日本人が英語に挫折し続けるか。そして、これからどう英語を学んでいくか。

「古く、変わらない」英語教育

こんにちは。金沢優と申します。

今回「日本の英語教育の問題点」と、それに対して「大人と子供はどう立ち向かえばいいか」を、改めて文章にまとめることにしました。

内容は「もしも高校四年生があったら、英語を話せるようになるか」「もしも高校四年生があったら、英語を話せるようになるか2」に書きましたが、小説が苦手な方はこちらでお願いします。

さて、まず皆さんは今、「何歳」でしょうか。そして、英語は皆さんにとって、「何」でしょうか。

「え?」となられる方もいらっしゃるかもしれませんが、これはとても大事なことです。

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例えば、もしもあなたが中学3年生さんなら、英語学習は「受験のため」でしょう。もしもあなたが大学3年生さんなら、英語学習は「資格のため」でしょう。もしもあなたが社会人なら、英語学習は「ビジネス英語のため」かもしれません。そしてもしもあなたが定年を過ぎてしまっていたら、英語学習は「英会話のため」でしょう。

これはどんなハウツー本を読んでも、どんな英語コーチングサービスを申し込んでも、「まず明らかにしておくべきこと」となっています。

そう、「英語の目的」によって、「取るべきやり方、使う教材、かける時間、使うサービス」などが異なってくるのです。

受験のためであれば、学校の先生や塾の先生に言われた通りにしましょう。

問題集や過去問などに当たれば、段々とスコアは上がっていきます。これは、TOEICなどの資格試験も同じです。

しかし、残念なことですが、それをしても「話せる」には、繋がっていきません。

「えー?」となられる方は、受験勉強のことを思い出してみましょう。勉強すればするほど、英語が話せるようになっていく実感があったでしょうか。

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もしも「受験勉強」と「話せる」が「比例関係」であるならば、受験期にはピークに話せないといけなくなります。

しかし、そんな実感は全くなかったはずです。

「受験」は「受験」であり、「話す」は「話す」です。両者は完全に「別個な存在」だった。

そのため、受験の後に「話す」を新たにし始めないといけないことは、当然のことです。教材もサービスも全部「英会話」のためのものに、ごっそり変えないといけません。

「えええ・・・じゃあ、受験は意味がないじゃん」

そうなりますが、もちろんそんなことはありません。受験で習った単語や文法知識は、後々英会話でも役に立ちます。

相手が言っていることが日本語で分かる、英作文をして、言いたいことが英語に変換できる。

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全く無駄ではないでしょう。私も受験英語は、今の役に立っています。

しかしながら、私たちの「受験英語」には「大きな欠陥がある」のです。「忘れ物」と言ってもいい。

そして、この「忘れ物」は極めて大きく、それを取りに帰るのに、数年、いや数十年はかかります。

加えて、大きな「副作用」もあります。それは「英会話」の段階になって、むくりと姿を表します。だから、「聞けない、話せない」という大人が大量に溢れてしまっている。

塾や予備校の先生は、学校英語の「いい部分だけ」を伝えています。「日本の英語教育の問題点」を語りません。

そして、大人が英会話で挫折していっている姿を、「対岸の火事」のように見ている節があります。自分の仕事は「英語を成績を上げること、志望校に合格させること」だと、割り切ってしまっている。

しかし、それも当然です。卒業したら、もう「赤の他人」になるわけですから。私も、長年塾講師をしてきたので、その気持ちがよく分かります。「まずは受験だ」となる。

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しかし私はその後、英会話スクールで働き、挫折していっている多くの日本人の姿も同時に沢山見てきました。つまり、受験後の「日本人の末路」です。

この一連の流れを、教育業界の中から覗いてきた人間も、そこまで多くはないと思っています。

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こうして、日本の英語教育は今でも多くの「英語挫折者」を産んでいます。書店に行けば、多くの人が学校英語の批判をしています。「やり直し教材」も山のように積まれています。Youtubeなどでも、苦言を呈している人は、沢山います。

それでも、学校教育は何も変わろうとしません。

学校 授業 文法

だから、状況は全く変わらずに、今の「令和」の時代でも、「昭和・平成」とほぼ同じ英語の学び方が続いています

その結果として、世界の中での日本の英語力は、どんどん下がっています。

これは、文科省が発表した我が国の英語力の各国ランキング表ですが、「我が国の平均スコアは諸外国の中で最下位クラス」と明記しています。英会話スクールが営利のために日本人を煽っているのではなく、文科省自らが「自白」しているのです。

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これだけお金も、労力も、時間もかけて、です。「先進国」としてはありえない事態です。

別に後進国を差別しているわけではありません。ただ、どう考えても英語を学ぶ環境、ソフト、教材が充実しているのは、日本の方でしょう。そのため負けることは本来、あり得ないのです。

では、なぜ「世界」に太刀打ちできなくなってしまっているのか。

それは、日本人の英語の学び方が「国内の試験」対策に学ばれ、世界に向けた学び方になっていないから、で全ての説明がつきます。

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ちなみに、元Googl米国本社副社長の村上憲郎氏は、その著書『Googleが教えてくれた 英語が好きになる子の育てかた(CCCメディアハウス)』の中で、こんなことをおっしゃっています。

実際、南米人だろうが、アジア人だろうが、アメリカに移住した人たちは、最も簡単に英語が使えるようになっているのです。日本人も明治維新のころは、日本語を話せない先生を外国から招いていました。それでも日本人はすぐに彼らの講義が理解できるようになっています。

ところがその後、日本人は「日本語のみで英語を分析する」という独自の教科を生み出しました。そしてそれを「英語」と名づけ、以後150年間にわたり、「世界で話されている英語」とは別の基準で、その能力を測ってきました。

これでは東大や京大を出ても、グローバルスタンダードの英語ができるようにはなりません。世界と比較した大学ランキングの順位が落ちていくのも当然ではないでしょうか?

村上氏がおっしゃっていることは「真実」です。

教育現場からではなく、英語が使われている現場から「日本の英語教育」を俯瞰すると、その「歪み」がくっきりと見えてしまうのでしょう。

ちなみに、『1億人の英文法』を書かれた英語講師の大西泰斗氏も、このようなコメントを残しています。

「(日本人が英語を話せないのは)日本の教育の仕方が、英文読解を目指しているからだと思います。もちろん、大学受験をクリアするためならそれでも十分ですし、読解だけで用が足りる人はそれだけでもいいでしょう。でも、今は、英語がしゃべれないと苦労する時代になってしまったんです。それなのに、読解にしか役に立たないような英文法を勉強している。それがおそらく一番の元凶でしょうね」
(2022年8月18日 朝日新聞DIGITAL)

これについては「もしなる」の中にも書いていますが、私たちの英語の学び方は「間違っている」わけではないのです。ただ単に、「時代に合わなくなった」だけなのです。

それなのに、日本では「英語はこう学ばなければならない」という固定観念が邪魔をし、また「上や周りに倣わないといけない、違ったやり方をしてはいけない、和を乱してはいけない」などという同調圧力が、「次世代の英語力の首」を絞める形になっています。

そのため、日本の英語教育がフルモデルチェンジすることは、基本的に不可能なのかもしれません。可能だとしたら、家庭や個人などの「個々のユニット」のみ。一人一人自分や子供のために気付いて、学び方を変えていかないといけない。

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一体、私たちに何が起こってしまったのか。その「真実」を知りたい方。そして子や孫、生徒をお持ちで、子供が将来私たちのように英語で苦しんでほしくない、と心から願う方は、どうかこの続きをお読み下さい。

「私たちの英語の学び方」のどこに欠陥があったのか、今までどうしてやり直してきたのか、そしてやり直してもどうして上達しないのか、なぜ日本人が「聞く・話す」に障害を抱えてしまうのか、なぜ書店の英会話コーナーに「イメージ教材」が大量に売られているのか、なぜ英語話者は「独り言」を勧めているのか、なぜ学生時代に英語が得意だった人が苦しみ続けているのか、そのカラクリが全て「腑に落ちる」でしょう。この「根」はかなり深いです。

どうか心して、お読み下さい。私の「集大成」になります。

※ちなみにこちらには、『「Sesame Street Dictionary」の具体的な使い方』も入っております。ご検討の方は是非、こちらをお読みください。

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