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真鶴ひとり旅

6月14日、金曜日。
東京ゆきの新幹線にとびのった。

その日はある作家さんの個展がはじまる日だった。

場所は真鶴というところで、神奈川の西のほう。
名古屋からは2時間半ほどかかるのだけれど、
その日はなんだか、真鶴に呼ばれた気がして。

その作家さんは、わたしの高校のひとつ上の先輩で
5年ほど前から彼のイラストレーションや文章が
気になっていた。

最初にみたイラストはたしか
彼の友人がみせてくれた、ノートのはしっこに
描かれたウンチ。だったような気がする。

展示で感じたことは、
わたしだけの宝ものとしてしまっておきたいので、
ここでは

  「行って本当によかったなあ」

とだけ書いておこう。

わたしが書きたかったのは、真鶴のまちのこと。

真鶴はしずかな海まちで、
小さなお店がポツポツとある。

道草書店、あけび屋珈琲、パン屋秋日和、
みちのぱん、おむすびこめっと…

気づいただろうか。すてきな名前のお店ばかり。
ぽかぽかの陽だまりのなか、
ちいさな草花たちがすくすくと育っていそうな。

あけび屋珈琲で食べたハンバーグが
とてもとてもおいしかった。

まだぜんぜん行けていないお店ばかりなので、
また行こうとおもう。

砂浜にも行った。岩海水浴場。

そこではひたすらに、
ガラスや陶器のかけらを探した。

誰もいなかったので
「これはなんだあ?」とか
「乾いた海ぶどうか?」とか
ぶつぶつとひとりごとを言っていた気がする。

わたしがガラスや陶器のかけらを探すのには、
とくに意味はない。

ただたのしいから、なんとなく。

この、「意味のないことすること」についても
いつか書きたいなあ。

漂着物調査は本当にたのしいので、あっというま。
気がつくと夕方になっていた。
そろそろ帰ろう、とおもって、真鶴駅に向かう。

駅のホームで、明日が期日のしごとを
思い出して、冷や汗をかきながら
新大阪ゆきの新幹線にのる。

真鶴ひとり旅。

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