介護のつらさを知らない人からの言葉は、善意だから余計しんどい。介護以上にしんどい。
ショートステイ、どうだった?
何人からも聞かれた。
何気ない一言。
でもなんて返せばいいんだろう。
うん。父も気に入ってくれて、また行きたいって。
私たちも楽になったわ。
とでも言えばいいのだろうか。
でも父は、自分がどこに預けられたのか知らない。
迎えに行った当日でさえ覚えていない。
そして
なぜ預けられたのか知らない。
お父さんさ、認知症じゃなくても、きっと
「3人で行っておいでよ」って言ってくれるよ。
妹のその言葉が、母も私も、そして妹自身も救った。
家族だけで抱えちゃだめだよ。
人は簡単に言う。
では、家族だけで抱えないために、
私たち家族が何を乗り越えてきたのか
どんな手続きを取り
誰に頭を下げ
何を手配し
どれだけの葛藤をかいくぐり
お金を工面し
罪悪感と闘い
涙を流してきたか
それらを全部ギューッと丸めて、その人にぶつけてやりたい!
そんな衝動を抑え
「気を遣ってくれてありがとう」と言ってみる。
これが、
私、両方の親の介護したんだけどね
って人の話なら、全然違う。もう、たとえ状況は違っても参考にしたい。情報だけでなく、つらさも共有できる。
ショートの前から、この悩みはずいぶん長く続いて、しばらく介護について書けなかった。
でもようやく、なんか、それでも善意からなんだろうと思えるようになってきた。やっと。
妹は「認知症の親がいない人とは、介護の話はしない」と腹をくくったみたい。賢いな。自分を守らないと、介護をする気力が減るものね。
介護のつらさを知らない人からの言葉は、善意だから余計しんどい。介護以上にしんどい。