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親が子どもに勉強を教えてはいけない5つの理由

私自身は、親に勉強を教わったことがありません。また、教える側になった時に、親が子どもに勉強を教えている家庭で様々なトラブルになっていることが分かりました。私自身も子供に勉強を教えていた時代があったのですが、これは成果がないどころか、親子関係が悪くなると分かり、やめました。
教師歴30年超の私が、教育相談などを通じて考えたことを踏まえ、親が子どもに勉強を教えてはいけない理由を5つ書いてみます。

1 感情的になってしまう

親が子どもに勉強を教えている時、親が感情的になる場合が多いです。これ、よく考えるととても怖いことです。学校で勉強が分からなくなってしまった生徒に、「なんでこんなことも分からないの!?」と感情的になっている先生がいたら、どう思いますか? 教えることに向いていない人だと思いませんか? 親も同じです。では、感情をコントロールする方法を学ぶ? それも違います。そもそも親が子どもに勉強を教えない方がいいってことです。時々感情的になることもある、そんな人に教わることは、学習の効果を減少させるだけでなく、親子関係にも悪影響を及ぼすことがあります。子どもにとって親はかけがえのない存在です。そういう存在の人から叱られるという状態は、子どもは精神的にもつらいものです。

2 教育の専門知識がない

小学生の算数くらいは分かる。そういう話じゃないんです。人に物を教えることは、教えることの専門家に任せた方がいいってことです。プロ野球選手が全員コーチに向いているわけではないことからも分かる通り、できることと教えられることは少し違うんですね。適切な教え方を知らない場合、子どもがむしろ理解しにくかったり、誤った知識、古い方法を学んでしまう可能性があります。特に国語。日本語だからと親が教えたがりますが、そういう親ほど、子どもはそこから何も学べません。

3 親はどうしても期待してしまう

親は子供に対し、どうしても「こうあってほしい」と願うもの。最初は「元気ならなんでもいい」だったのが「せめて平均以上は」「できれば上位にくいこんで」願わくば「上位10位以内に」とどんどんエスカレートしていきます。親が教えること以外、例えばお稽古事などで、勝手に願いを持つのも良くありませんが、自分が教えている状態で、なおかつその願いをかなえるなんて、子どもにとってはプレッシャーでしかありません。学習に対するモチベーションが下がるし、うまくいかなかった場合、親のことを好きな分、願いをかなえてあげられなかったと、自分を責めてしまい、自信が低下することがあります。

4 学習スタイルが古い

お母さんは、こういう時、何回も書いて覚えた。
お父さんは、こんな時は、寝ずにがんばった。
確かに、そういう時代もありましたね。
例えば、私は高校時代、新体操部だったのですが、部活中は体にラップを巻き、水を1口も飲みませんでした。痩せるためと、根性を鍛えるためです。今だったら、それを推奨する顧問がいたら、教育委員会直行クレームですよね(笑)
書いて覚えることも、何日おきにやるといいとか、何分休んで何分続けるといいとか、新しいエビデンスがそろいつつあります。
また、寝ずに頑張ることは、睡眠時間を削ることになります。睡眠不足の頭では、IQ のポイントが下がることが実験で分かっています。
新しい勉強スタイルが増えてきていますし、何より、子ども一人ひとりにはそれぞれにふさわしい学習スタイルがあります。親が自分の学習スタイルを押し付けると、むしろ、子どもの学習効果が下がることがあるのです。

5 不完全なサポート

親が仕事や家事で忙しい場合、十分な時間とエネルギーを持って子どもの勉強をサポートすることが難しいことがあります。しかも、毎回同じトーンでできない場合がほとんどです。そこがプロとは違うところ。その結果、不完全なサポートになることがあります。また、子供に勉強を教えて生じたストレスで、逆に仕事や家事の効率が悪くなることもあります。プロはそこを割り切って考えられます。私も、教えることが仕事なので、家庭のことと切り分け、授業に注力できますが、親が教える場合は、その点でかなり難しく、結果、全部が不完全になるのです。

では、親にできることは?

保護者会や教育相談などでは、親にできることとして「環境整備」と「応援」を挙げています。環境整備としては、食事と清潔な寝具の準備ぐらい。
自分自身の経験でも、教え子の経験でも同じです。
では、食事は手作り? いえ、そこはどうでもいいです。
一緒に食卓を囲み、お子さんの体調や気持ちを聞いてあげてください。
その時「勉強はどうなの?」は禁句です。何を今頑張っているのか、聞くのはOK。聞いたことを応援してあげて。
また、部屋は散らかっててもOKただ、不潔にしていると病気になってしまうので、そこだけ。
あとは、信頼して放置ですよ。親にできるのはそれだけ。というか、それは親にしかできないことです。

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