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出力50%くらいで暮らす

3年ほど前から持病の副鼻腔炎が悪くなり、絶えず顔面が痛い、いつも鼻が出るという症状に悩まされてきた。薬で良くならないので、2年前に手術に向けて準備を整えてきたのだけど、新型コロナウィルス感染拡大の為に延期してきたものが、やっと実現した。

近しい人が「ずっと言ってたあれね」というくらい計画的な手術と入院だったのだけど、入院していることをつぶやいたら「過労で倒れて緊急入院した」と勘違いされてしまった。思えば、ずっと私は忙しすぎだと思われていたのかもしれない。自分でも自覚はあったけれど、それが私の生きざまだと捉えていたところはある。自分の事業とNPO、市の仕事やマンションの理事、イベントの実行委員長やサイトの運営、おまけにロックバンドも組んでいる(笑)家事は手を抜きたくない性格も。毎日5時半起きで朝活2本、ミーティングから始まる生活は、耳読と同じ、2倍速で動いていた。

睡眠を削るような無茶な働き方はしていない。むしろ睡眠は大事な仕事の一つだと考えてきた。しっかり寝ないと日中のパフォーマンスが落ちる。何かしたいことがある時は、そのために寝る。眠い目をこすって頑張る夜の1時間の仕事は、しっかり寝た翌朝なら半分の時間で済む。単純だ。思えば私の睡眠は日中の為だったと言える。ちょっとかっこいいでしょう?と私も思っていた。そして起きている時間は隙間なく仕事をしていた。フリーランスなので、自己管理しないと、寝るまで仕事をしてしまう。だから昼休みやコーヒーブレイクも取っていたけど、それ以外の時間は、ぱっつんぱっつんに詰めていた。家事の時間でさえ耳で本や資料を読んでいた。しかも2倍速で(笑)

入院初日も特にすることがないので、事前の予定通り、3日分のSNS予約投稿をした。メルマガも書いて予約送信した。万が一、私が術後寝込んでも、NPOのSNSとメルマガは自動的にアップされるように。入院中でも仕事のメールには返信をしたし、イベントもあったのでご案内もしていた。あと、これは仕事ではないけど、その日の夜、好きなバンドが久しぶりに地上波に登場したので、そのトゥギャッターも作った(笑)そこまでする?と思うかもしれないけれど、これが私のやり方だった。

でも今回、生まれて初めての手術、入院という体験を通じて、体が睡眠を欲していたのだと分かった。全身麻酔の影響で、とにかく体中が悲鳴を上げた。手術をした鼻より全身が痛かった。薬と時間が効いて、次第に良くなり「体が普通に戻っていくー」としみじみ感じた。部屋から満月を見て、脳のどこかが「十五夜のコラム書こう」とか「ススキとおだんご用意しなくちゃ」とか「満月の占いの動画見なくちゃ」とかせわしなくぐるぐる動いているのを感じながら「そんなことしなくていい」とお月さまが言っている気がして、ただ何もせず、横になりながら月を見た。あれ?十五夜って昨日だっけ?(笑)すごく綺麗。

体は元に戻るけど、生活を変えよう

そんな時、ちきりんさんのVoicyの中でこんなセリフが耳に残った。「日本は基本的に豊かな国。こういう国では、私(ちきりん)みたいにオワコンなんだけどそこそこお金を持ってますーというやる気のないおばさん、おじさんには本当に住みやすい国なんですよ」

注意:この放送の主旨は全く違うので、興味のある人はどうぞ。

オワコンなんだけどそこそこお金を持ってますーというやる気のないおばさん
アタシみたいに本当に終わっている人

ちきりんが自分をこう表現していて、すごく驚いたのと同時に、あ、私も早くそっちに行きたいとふと思ってしまったんです(笑)

そこはどこなの?老後?それともある程度若いうちに何かを成し遂げた人が、あとは楽に暮らす世界? ところがちきりんは「あたしは何かを成し遂げようと思ったことなんかない」と言い張る。なんだこのゆるさと幸せ感は。すげー。そこ、行きたい(笑)

多分、そこに行くには、何かを全速力で、倍速でやらないと「やった」気がしなかった私を、まず、止めなくちゃいけないのかもしれない。今までの私は、これでもか、これでもかと、自分を追い立てて、「私はこれだけやったんだ!」と自分に披露したかっただけなのかもしれない。誰もどうやったかなんて気にしないのに

止められない人は止められないんだよね

で、退院後はのんびりしようかなと話したら、NPOの相方がこうぽつり。彼女は脳損傷患者の病前と病後をよく知っているので、忙しいのが好きだった人が、たとえそれが原因で病気になっても、忙しいのはなかなかやめられないのだという。

う。そうなのかもしれないけど、私はちょっと出力を押さえてみようかと企んでいる。50%くらいの出力で。それでもなんか今までのことできそうな気がするんだよね。自分次第で。勝手に2倍速でやってただけなんだもの。

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