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中村文則について

中村文則の『なにもかも憂鬱な夜に』を読んでいます。
まさに、憂鬱でしかない内容だけど、読ませる。刑務官が死刑執行に携わる心理や、死刑の是非を問う作品になっている。

『掏摸』『教団X』と短編集『A』を読んだのですが、重苦しい作風の中に、読者に意見をものごとの是非を、問われているような感覚に落ちます。

これはコミュニケーションだろうか?と思う…。
作者から投げられたボールを、わたしたちはどのように打ち返す?どこへ打ち返す?

わたしたちは何故に、あえてこの重苦しい空気を味わうんだろう。本を開くことで、重苦しい、でもしかし、最後まで読まなければならない。

ふだん目を逸らしている世界を、文章で立体的にして、わたしたちの傍にそっと、置く作業を続ける作家。

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