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知恩院

祇園は八坂神社の面する東大路通を北に登るとすぐに見えてくる知恩院という石碑と門。普段なんとなく前を通り過ぎるだけであったが、もっと早く来ればよかったと悔やむほど立派な寺院であった。

三門の構え

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三門を階段の下から見上げた時、大きなスケール感でどっしりとした構えと詰組・瓦屋根による装飾にまず圧倒された。積み上げられた土台の上に、柱によって向こう側が伺える抜け間を作りつつ、またその上にびっしりと重みのある屋根が乗せられている。こうしてみると、下から見上げた時のー階段ー柱ー屋根ーのバランス・比率が重要視されていたのではないかと思う。古代ギリシャ建築で言うところのオーダーに当たるのではないか。(1621建立)

装飾性

日本建築史では禅宗様の特徴として装飾性の高さを覚えるが、この三門を見て改めてそのことを実感した。軒丸瓦はぽこぽことしたスカイラインを形作り、一層と二層の間にステッチを入れているようである。下から見上げられるために軒裏がよく見え、そこにある詰組や化粧垂木は白く塗装されることでされにリズム感を生んでいる。

異世界へのアプローチ

知恩院はまず東大路通に面した新門から三門まで300m強の山道が伸びる。階段を上り三門をくぐるとまたすぐに男坂と呼ばれる階段を上りきり、すると御影堂をみることができる。そこからさらに方丈、お墓、勢至堂など奥に行くに従って少しづつ山を登っていくように展開していく。私が訪れた時は人も多くなく自然環境と調和した建築に身を置いていると、日常生活では感じられない異世界に来たような感覚になった。と言ってもここは京都の繁華街である祇園四条や四条河原町とそう遠くない。知恩院の立地やアプローチから、市街地(人間の世界)ー山(人間でないものの世界)をつなぐ緩衝帯としてあるように感じた。市街地にこのような空間が存在していることが古都京都の特徴であるのかもしれない。

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画像引用:Google マップ

余談になるが、電脳コイル、ブレイブストーリー、天気の子など都市の中において異世界へとつながるようなアニメをふと思い出した。天気の子は都市の中のビルの屋上にある鳥居、ブレイブストーリーでは都市の中のビル取り壊し中の工事現場、電脳コイルはメガネをかけた子だけがわかる街のあらゆる場所、が日常と異世界が関わりを持つ重要な場面だったと思う。。。

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