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鹿苑寺金閣

中学の修学旅行でも訪れた記憶のある京都の中でも観光地として有名な金閣。院試で日本建築史を勉強した上で再び見ると、発見がたくさんあった。



環境の中の建築

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鏡湖池の畔に建つ金閣を見たとき、一目でこれは建物と周辺環境が調和した美しい光景であるとわかった。この地に金閣が建つことにより庭園の景観、遠景としての北山、それらを覆うような空など、ここにある全てのもののよさが引き出されており、かつ金閣自体もこの周辺環境があってこそ輝きを増しているのだろう。ここに来て、日本建築史で学んだ和様や禅宗様などといった建物単体の知識はどうでもよくなり、ただこの建築と環境が相互作用を持ち一体化した庭園を心地よく眺めていた。

正面を捕らえさせない

池をぐるっと巡って、金閣を真正面から見ることができないことに気づいた。神社やお寺では参道からお堂へと軸線を感じ、その正面の構えが写真に収められることも多い。しかしここでは池を南東から北西に半周する経路しかなく、その中で金閣を眺める際には必ず手前に松などの前景が入り、かつ建物の一面を全て捉えることができない構図になる。寺社とは異なり私的な建物ということもあり、あくまで周辺環境と共に在るというようなこの佇まいが好きだ。

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出典:Google マップ

借景

地図上で見ると借景として見える北山・周辺環境のスケールに対して金閣の小ささに驚く。

柿葺き屋根

金閣といえば二層・三層が金箔で覆われていてキラッとしているのをまず思い浮かべるが、今回の発見は柿葺き屋根の方が光を反射して眩しく見えたことである。丁度最近吹き替えたばかりだったということもあるかもしれないが、特に軒先の上に向かってカーブがつけられた部分など、白く光って見えた。経年変化と共にどのような姿になるのかが気になる。


概要 :足利義満が1397年に北山殿として造営した山荘。義満の死後鹿苑寺として現在に至る。舎利殿として建てられた金閣は1398年に竣工したが1950年に焼失しており、現存するのは1955年に再建されたものである。


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