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いつかまた思い出す

今日のお弁当

二色そぼろ丼
かぼちゃの甘煮
たたきごぼう
きゅうりの梅あえ

青菜も緑野菜もないので二色

そぼろ丼のお弁当は、結構ノスタルジックだ。
私は中学生の頃から自分でお弁当を作っていて、ほぼ母に作ってもらったことがない。そりゃ小学生の頃とかあっただろうけれど、覚えていない。
でも、三色そぼろ丼の記憶はある。もしかしたらお弁当ではなくて、ある日のお昼ご飯だったかもしれないけれど。

母の三色そぼろ丼は、鶏そぼろに錦糸卵に絹さやの千切り、紅生姜。
絹さやと錦糸卵の千切りが、とてもきれいだ。
几帳面に切り揃えられていて、とても細く刻んでいるので、口の中でそぼろとうまく混ざり合って、おいしい。母は数学科出身だからこんなに等間隔なのかな、などとよく思った。

先日、コロナ流行以来、約4年ぶりに実家に帰った。
もう1/4ぐらいしか使っていないシステムキッチンの上棚を(母は小柄で上の段は全く使わないから、要らないものだけが入っているはず)と、片っ端から開けてみた。予想に反して、古い安いプラスチックの重箱がいくつかあるだけだったが、そこにかつて誰かが使っていたお弁当箱があった。
私だろうか、妹だろうか。妹のお弁当もつくっていたから、どちらのものだったか定かではないけれど、見覚えはあったからきっと私たちが使っていたのだと思う。

キッチンでバタバタしていると、廊下を挟んで向かい側のリビングで、父と母と、一緒に実家に来た夫が話していた。つい1ヶ月前、私たちと別に、長女と次女が二人で実家にワーケーションに来ていた時のことを話しているらしい。

「お義父さんもお義母さんも、懐かしかったんじゃないですか?ユコ(と夫は私のことを呼ぶ)たちと暮らした頃みたいな感じで」

と夫が聞くと、父は

「孫と娘は、全然違うんだよなあ。」

と言うのが聞こえてきた。へー、そんなもんか。

「孫はただひたすらかわいいんだよ。とにかくかわいい。
娘は、なんていうんだろうなあ、愛おしい、というのかなあ。なあお母さん」

と母に問いかけ、母も、本当にそうなのよねえ、やっぱり全然違うものでねえ、とうなづいた。そんなもんなのか。

私も妹も、もういい大人で、親元を離れて30年以上経つ。
愛おしい、と思われていたなんて、寝耳に水で、思わず涙が出た。
この言葉を、きっといつか、父も母もいなくなったら思い出して、この話を妹と二人でしながら、泣くんだろうと思う。

レシピメモ

鶏そぼろをつくるのは、結構腕力がいると思っている。
最初に鍋に鶏ひき肉400g、酒・みりん大さじ3、しょうゆ大さじ2、生姜のみじん切りを入れて全体を箸でよく混ぜる。
それから鍋を中火にかけて、箸で鍋の中をぐるぐるかき混ぜながら加熱する。
しばらくするとやっと肉に火が入り始めて色が白くなり、肉がほぐれてくる。
肉全体に火が通ったと思っても、もうひと頑張り。肉から出た水気を飛ばすようにして、今度は木ベラに持ち替えて、煮汁の汁気をよくよく飛ばすまで根気強く。
片手鍋の取手を片方で持ち、もう片方で箸やら木ベラやらで混ぜ続けるから、腕力がいる。そしてその分、ちゃんとおいしいそぼろになる。
子供用には、少しだけ煮汁を残して、そこに水溶き片栗粉を溶いてとろみをつけてあげると、食べた時にポロポロせずに食べやすくなる。




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