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あなたの知らないセルフポートレートの世界


2014年。
この一年私は「セルフポートレート」を撮り続けた。

今ではちょっと考えられないことだったりするのだけど私はその頃、今は亡き某SNSで毎週月曜日にセルフポートレートを公開していた。


月曜日に向けて自分を撮る


仕上げたものだけでも100枚くらいはある。


インスタなどが流行り始めて
誰でもが自撮りをするようになったけれど
スマホを伸ばしてパシャっと撮る自撮りは
なんとなく私が思う「セルフポートレート」とは違う気がする。

自分を見つめ表現すること、といえば聞こえはいいけどなんとなくそれともちょっと違う気がする。


私自身が優れたセルフポートレーター(そんな言葉があるのかどうかは知らない)だったかどうかはひとまず置いておいて、私自身もあまり深く考えたことなかった「セルフポートレート」について考えてみようと思う。


セルフポートレートを撮るということ


私は2013年くらいから写真をはじめたのだけれど、
その頃から自分を被写体にした写真を撮っていた。


私は当時おそらく
自分の姿を伝えるためにセルフポートレートを撮っていた。
他の人に撮ってもらうものではダメで
自分で撮る必要があった。

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この頃は気持ちの整理ができずに
日記を書くように、とにかく感情を吐き出すように
ただひたすら撮っていた気がする。


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写真に写すことで、一つ一つ感情を手放していくことができた。
やり場のない気持ちを写真に残すのに
「自分を撮る」という行為は適していたんだと思う。


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なぜ飽きもせず一年以上も撮り続けたのか?


何がきっかけだったかは忘れたけれど、
2014年に入った頃からセルフポートレートをSNSに投稿するようになった。

そこで月曜セルフポートレートというタグを使って何人かの方と毎週月曜日にセルポを投稿していた。

それこそ今考えると、四十路女のセルフポートレートなど誰がみるのか??と思うのだけど、嬉しいことに男女問わず楽しみにしてくださる方も多く、月曜セルフポートレートをきっかけに世界が広がった。


この頃からだんだん意識が変わってきた。
「自分の姿と伝えるため」という目的はなくなっていて、普通にポートレートを撮るという感覚に変わってきていた。

当時経験のない私にとって、モデルさんに遠慮せず撮れることは大きかった。もちろん私はモデルではないし、モデルとしても撮る方としても表現しきれない部分もたくさんあったけれど、セルポの気まま度は私を大いに助けてくれた。

自己完結するので、うまくいかなかったらどうしようという恐怖もない。そのことは発想を自由にしてくれたし、純粋に撮ること自体を楽しくしてくれた。


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だんだん外で撮るようになり、海で畑で旅先で...いろんなところで撮りまくっていたのもこの頃。

noteの自己紹介に使っているこの写真もその頃撮ったもの。足元に蛇がいそうなひまわり畑で汗だくで何度も何度も帽子を投げ続けた。真夏のひまわり畑で一人...確実にゾーンに入っていたと思う。今考えるとありえない集中力。


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そして慣れというのは怖いもので、旅先でも平気でカッコつけて撮っていた。これは神戸。


セルフポートレートの魅力って何だろう?


これまであまり考えたことがなかったのだけど
あらためてセルフポートレートの魅力って何だろう?と考えてみた。


・写るのが苦手でも大丈夫

男女問わず、写真を撮られるのが苦手...という人は思った以上に多い。
これだけ写真載せといて嘘だろ!と言われそうだけれど、私も例にもれずそうである。

その理由として、単にカメラを向けられるのが恥ずかしいというのもあるけれど、それ以上に撮ったボツ写真を他人に見られることが恥ずかしいというのがある。

スタジオで撮った記念写真などはせいぜい目をつぶっているくらいなものだからまだ良いけれど、自然に切り取ったポートレートなんかだと、きっとありえない変顔やあんなものもこんなものも写っているに違いない....と思ってしまうのだ。

そんなことを考え出すと、もう海底深くまで潜ってしまいたくなる。

少なくともセルフィの場合はそれがない。
気に食わなければ即刻消去だってできる。

それだけでも私にとっては十分すぎる魅力なんだと思う。


・新しい視点からの自分観察

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わざわざ自分を写真に残す必要なんかない、と言ってしまえばそれまでなのだけど、自分の姿を写真に残しておくというのは悪くないと思う。

手を伸ばしてとる「自撮り」も良いけど、もし少しでも興味があるならば、ちょっとだけ離れたところにカメラを置いて自分を撮ってみてほしい。


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そうすると、主観と客観の間から自分を見ているような新鮮な感覚に気がつく。

これこそがひょっとしたら私が一番感じるセルフポートレートの魅力なのかもしれない。


自分で自分を撮っていると、肉眼では認識できていなかったイヤな部分もリアルに突きつけられる一方で、それまで知らなかった自分の表情や感情にも気がつく。

そして「あ、ここ良いかもしれない」と思うところを必ずと言って良いほど見つけるのだ。

そんな時は自分を受け容れてくれる別の誰かに出会ったようで、少しだけ自己肯定感が上がる。


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ひょっとしたらそれは、思いを文字にすることどこか似ているのかもしれない。


セルフポートレートのススメ


2015年に入った頃から生活が変わり、
年に数回、プロフィールアイコン用に撮る程度で
すっかり自分を撮らなくなってしまった。


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実はこのことを少し後悔している。
今日、たくさんの自分を見返してみてあらためて思った。

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過去に残した写真はしっかりとその時を記憶してくれている。
どの一枚にもその時の思いや空気がその時のまま記録されている。


「過去の記録」という意味ではセルフポートレートに限ったことではないのだろうけど、ポートレートという形で残すことに意味があるのではないかと思っている。

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自分が見た自分自身の記録。
それが重なっていくことは歳を重ねるほどに
貴重で愛おしいものに変わっていくような気がするから。

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年に一度でも、「自分を写す」ことを続けていきたい。




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