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息子が小さい頃に受けた親切を、いま別の誰かに還す。心地よいペイ・フォワードのすすめ


息子と映画を観に行く電車の中で、起こったこと。

わたしたち親子が座った座席は、息子の横に1席だけ空いていた。そこに若い学生風のカップルが乗ってきた。周りをきょろきょろ見渡していたが、結局、息子の隣に空いた1席に女性が座り、男性はその前でつり革につかまって立っていた。

電車あるあるなのだが、二人一緒に座りたいのに、全部ひとりぶんずつしか座席が空いてないことは、めちゃくちゃ多い。ちょっとそこ、詰めてよ。と思うこともめちゃくちゃ多い。

そしてうちの息子が小さいころ、お出かけしたときにこの「離れて1席ずつしか空いてないあるある」に悩まされていた。

息子はめちゃくちゃ慎重な性格で、電車で隣に誰か座るのを極端に嫌がった。なので、わたしが必ず隣に居ないと座らなかった。

だからといって、小さい頃は体力がないので、たとえば上野の科学館まで行くにも、座れなくて立っていると、疲れたとむずがる。

だからってひとつだけ空いた席にすわらせようとすると断固拒否。

困り果ててしまって泣きそうなときが多くあったのだが、たまに、わたしたちが困っているのを察して、席を移動して2席並びの席を空けてくださる方がいた。本当にそういうときは地獄で仏、という気分。

本当にありがたかった。

座りたいけど1席しか空いてなくて座れない、もしくはそもそも席が空いてないので、ぐずぐずがひどい、など、何度もそういうことがあったので、都内へのお出かけはグリーン車を使っていた時期もあった。


息子は中2になり、身体も大きくなって、電車通学も慣れた。くだりの電車で通っているが、朝は学生さんたちで結構混み合う電車で通っている。なので、多少の混雑した電車も平気になった。

だから最近は、「グリーン車乗る?」と聞いたら「贅沢言ってんじゃねぇ」と答えられるようになった。息子、成長したなぁ。

そんな経緯があるので、もしお出かけで、「ふたり一緒に座りたいオーラ」が出ている人がいれば、できるだけ席を空けてあげようと思っている。昔してもらったことの恩返しだ。

若いカップルの女性が座った左端の座席の隣に息子、隣にわたし、そしてわたしの隣の席はちょうど空いていた。だから、息子がわたしの右隣に移動すれば、カップルは仲良く隣に座れる。

なんだか感じのよいカップルだったからか、息子の未来を彼らの姿に見たのか、どうしてもこのふたりを並んで座らせてあげたいと思った。

イヤホンをしてスマホで動画を見ている息子は、当然気づかない。なので、ツンツンとつついて、小声で「隣の人がふたりで並んで座りたいから、わたしの右に移動して」と息子に言った。

息子は面倒くさそうだったが、いちおうわたしの右隣に移動した。すると男性は会釈をして女性の隣に座って嬉しそう。なんか気分が良い。幸せになってくれ。

息子は基本、周りをあんまり見ないので、当然そういうことに気づかないし、気づけばいいってものでもないし、わたしだって気づいたところでそういうおせっかい的なことをする勇気がなかったので、それはそれでよい。

でも息子にも、こういう配慮が嬉しいということを知ってほしかったし、息子はもう覚えていないかもしれないけれど、わたしふたりで並んで座らないと嫌がっていた頃に、こうやって譲ってくれた人がいたんだよ、と伝えた。

聞こえが良さ過ぎてあんまり使いたくない言葉ではあるが、受けた親切を他の人に還す「ペイ・フォワード」の姿勢はとても気に入っている。

もらった人にお返しをするだけでは、その世代で止まってしまう。次につなげるって、大事だと思う。

わたしだって、息子が小さいころは席を譲るなんて余裕がなかった。けれど今は、そういう親切にも支えられながら、息子が大きくなったので、誰かに配慮をすることできる。

助けてもらうときはありがたく助けてもらい、自分が助けられるようになったら助ければいい。そのくらいの気楽さがいいんじゃないかな。

大きなことはできないけれど、こんな身近な、ちょっとしたことでも、未来への祈りのバトンを渡すことはできるんじゃないかな。と思う今日この頃だ。

今日もお読みくださりありがとうございました!

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