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ツイッターで大炎上した「海老蔵歌舞伎 KABUKU」を実際に観劇してわたしが思ったこと


観に行った舞台がツイッターで炎上していた

明治座に見に行った「海老蔵歌舞伎」のうち、新作歌舞伎の「KABUKU」の内容に差別的表現があったとして、炎上していると知った。

観劇後に感想を書いたが、そのことについては触れていない。
だが、炎上していると聞いて「うん、わかる」というのが正直なところ。


観劇直後の記事はこちら。

炎上ニュースはこちら。


炎上してるけど、実際に観ている人は少ないのではないか説

炎上はしているが、実際にこの舞台を観た人はとても少ないと思う。というのも、この舞台は東京の明治座で3回しか公演されていない。そして明治座の座席数は1368席。満席ではなかったので1300としても、3900人しか見ていないことになる。

現在南座で公演中だが、炎上し始めたのは6月あたまくらいで、そこからすでに演出を変更する検討がされたようなので、明治座の舞台を観た人から発火したのだろうと思う。

さらに明治座の客層はかなり高かったように感じた。ツイッターをやっている世代の人は案外少ないと思う。

となると、いったい誰が炎上元なのか?と少し不思議に思う。

よほど海老蔵やclubhouseに集まった企画者の面々が嫌いな人が観に行ったのかなと思うが、嫌いだったらお金を払ってまで見に行かない気もするし、ファンだったのに裏切られた!とかそんな感じだろうか。

ということは、わたしのようにブログやツイッターをやっていて、かつ、明治座の舞台を実際に見た人は結構少ないのではないか?と思い、無難な観劇記事を書いて、さらに再度の記事となるが、改めて
実際に海老蔵の舞台を観た者として感想記事を書いてみようと思った。

実際に差別的表現はあったのか?

さて、実際に「KABUKU」という新作歌舞伎について差別的表現はあったかどうか?というところだが

これは個人の感覚によるものも大きいが
わたし自身が舞台を見て・・・

残念ながら「差別的表現と受け取れる演出、セリフがあった」と感じた。

後だしジャンケンみたいになるので、あまり言いたくはないが、
正直なところ、炎上のニュースを目にした瞬間に「あ、あれね、やっぱり」とわかってしまった。

歌舞伎は「かぶく」が語源で、人と違うことをやること自体は悪いことではないと思うし、実際、歌舞伎の伝統的な演目でも、ちょっとした時流のアレンジみたいなものをぶっこんで爆笑を誘ったり、ということはよくある。

ちょうどドラマ「半沢直樹」をやっていたころ、市川猿之助や市川中車(香川照之)の舞台では半沢ネタなんかもやっていたし、敷居が高いと思われる歌舞伎の演目も結構自由なアドリブがある。

ただし、今回の新作に関しては、そういう問題ではない、このご時世にあまりにも稚拙な差別表現が入っていたなと思う。

しかもそこの演出部分は、わたしから見て、物語のストーリーに全く関係ない部分なので、余計に違和感があった。

このデリケートな時期に、あえて中国人とわかるいでたちで、舌足らずでへたくそな日本語を話させ、アメリカンな女性に中国のウィルスについて話させる必要があるか?という話だ。

しかもこのご時世、〇〇人というプロトタイプで人を見るのはご法度だ。戦後ではない。掲げるはダイバーシティでボーダレスな世界なのだ。

戦後しばらくは、欧米人が日本人を漫画に描くと、メガネをかけてて出っ歯でヘコヘコしているような絵を描かれたものだが、今回の舞台はそんなレベルの演出だった。数十年前か?という時代錯誤なものであったことは否めない。

いくらなんでも陳腐すぎるし、やり方に品がないな、というのはツイッターの炎上の主な内容に同意する。

たぶんないと思うが、もし、劇作家など、企画者側で、武漢のウィルスについて明確に伝えたいメッセージがあって作っているなら、それはそれで他に伝え方があるってものだ。

実際舞台を観ていて、その演出を見た瞬間「うえっ」と思った。
やっちまってるな、とも思った。

それでもわたしは全体的に海老蔵歌舞伎を楽しんだ

その「差別的表現」の演出の最中、「うえっ」という気分にはなったが、わたしは観劇後にはあえてそのことを描かなかった。


なぜならわたしは海老蔵の揚げ足を取りに行ったのではなく、歌舞伎を楽しむために観に行ったからだ。しかも初めての歌舞伎を体験する友人と一緒だ。

確かに陳腐でサムイ表現もあったが、海老蔵の華やかさは楽しめたし、そもそもこの歌舞伎を見ている客層は海老蔵とそのファミリー(堀越勸玄くん)が大好きなので、そこまで批判があがるものか?と少し不思議にもなる。


音声SNSの「clubhouse」というアプリ上で企画を起こして作った作品ということで、企画参加者に炎上系の編集者などが入っていたことが余計に炎上してしまった原因でもあると思うし、ぶっちゃけ私もいろいろと彼らの顔ぶれについて思うことはあるし、炎上しているのを見て改めて「うん、残念」と思う部分もある。

しかし、だ。

わたしは海老蔵推しではないが、久々に見る海老蔵を楽しみたいし、歌舞伎を楽しむために行っているのだ。

なんといっても一等席15000円払って観に行っているのだ。もう多少何かあっても、楽しみたいバイアスがかかっている。

残念な部分もあったけど、その分新しいものが見られたという得もある。人はそうやって「自分のとった行動が正しい」と思いこむ補正バイアスがある。だから私は楽しんだまで。

不快な表現は確かにあったし、わたしも「うえっ」と思ったし、作りとして雑だと思う部分もあった。

ただし、どこかの元オリンピック委員長のように、国の代表としてトンデモ発言をしちゃっているのを全国ネットで放映していることに比べれば、非常に限られた空間と時間、そして「海老蔵ファンがほとんど」という観客の中でやっているだけまだマシな気がする。

なので私の場合、その表現に関しては「うえっ」とは思ったが、それが全体の舞台の感想を追い越して「金返せ」とかは思うわけでもなく、それも含めて「海老蔵歌舞伎」としてまあ楽しめた、というのが本音だ。

ただし、一緒に行った友人には、もう少し手堅いものにお誘いすれば良かったかな、と多少の後悔はある。まぁでも今回の炎上で演出が変わるとなれば、今後はもう見られない「激レアな舞台」を観られたことになる。

幸い、一緒に行った友人も、そういうとらえ方ができる人なので、とてもありがたい。

しかしながら、歌舞伎の世界にご案内するという意味で、できれば歌舞伎を好きになってほしいと思うわたしからすると、彼女の歌舞伎デビューの演目選定を少ししくじったかな、できればまた違う舞台にお誘いしたい、という後悔も多少あるが。この場を借りて、ごめんね。と言いたい。


こんな感じで実際に海老蔵の舞台を見た私からの「炎上について」を書いてみた。南座でどのような表現に変わるのか気になるが、見に行った人がいたらぜひ教えていただきたい。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました!

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