見出し画像

折り重なってできている

大切にするというのは、大切にされることと同じような気がする、うまく言えないけど、「大切」は折り重なってできている。

わたしがひとの手に手を重ねると、それはひとの手がわたしの手に重ねられているということでもあって、「大切にする」はそんな行為だと感じる。

わたしが装画を描いた本が、一冊ずつ袋に包まれて実家の本棚に収められていた。はじめは絵の仕事で暮らしていくなんて内心半信半疑だったところもあるだろうけど、いまは仕事のことをよく聞いて、一番喜んでくれる。

わたしには親にしてあげられなかったことがある。そして10年近くそれを悔いている。でも、それをいつまでもくよくよと考えていることはきっと彼らにとって意味のないことなのだと思った。自分のためだけに悔い、自分を責め続けるようなことは、きっともうわたしにとっても本当は心に刻んでおくような理由はないのだ。

なぜいまこれを書くのか、自分でもよくわからないことがある。降り始めの雨のように始まって、群れになって降って過ぎていくのをただ眺めているような気がする。

いつもお読みいただきありがとうございます。いただいたサポートは、これからの作品作りに使いたいと思います。