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それでもペンは手の中にある

風向きがどんどん変わっていくのを感じる。天候だけでなく社会の状況もまた。ひとときのあいだだけでも風をしのげる場所のない砂漠で、風に耐えながら進んでいくのは、想像するよりも苦しい。

安心できる場所であったあの小屋はもう朽ち始め、つよい風が吹くたびにほろほろと崩れ落ちていく。抗いがたい疲労感が砂漠のなかに点々と存在するのを感じながら、新しい木の枝を見つけて立ち上がり、ふたたび進むべき方向を見つめながら進んでいくしかないのだ。

どこへ行っても、感受性が豊かでとても繊細なひとだと言われる。その自分の特性を愛しているけれど、誰にとってもつよい風が吹き荒れるときにわたしは途方に暮れてしまう。持てる力が自分の生活を維持するために注がれて、渇いていってしまうから。

けれど、それでもペンはわたしの手のなかにあり、わたしはつねにペンとともに可能性を握りしめている。

夏が過ぎたら混乱は収束するのだろうか。自分にできることは何か、考えることはむずかしいけれど、どうか、荒れ狂う風のなかにわずかでも平穏が訪れますように。

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