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こんな時間のこと

こんな時間に甘いものを買いに行こうと誘われる。

行き先は3通りある。わたしたちはそのなかから一番新鮮な場所に決め、甘いものを目指して細い通りを歩いていく。

通りの脇の、荒々しく掘り返されたアスファルトは夜は静かに眠っているらしい。寝た子を起こさないようにわたしたちは音を立てず、慎重に一歩ずつ歩み、夜の道路に沈みながら溶けてゆく。

無事に目的を果たし、マンションのポーチまで戻ったとき、子どもの鳴き声が耳に飛び込んでくる。夜は、起きているひとも眠っているひとも、眠りたくないひともいるのだ。わたしは眠っているひとになるはずだったのに、いつの間にか眠りたくないひとになってしまった。

わたしは甘いものを買わなかったけれど、右手のビニール袋は洗剤や除菌剤で重く垂れ下がっている。

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