見出し画像

奈良の個展で並んでいる作品のこと

こんにちは。柊です。
奈良の個展「Landmark」もいよいよ後半となりました。

会場に並んでいる作品をオンラインでも見ていただけるように、cojica booksitoitoさんが準備をしてくださいました。

普段、在廊中は、お越しになったお客さまに「これはこういうことを考えて作った作品で」など、作品の背景についてお話ししたりしています。べつにその内容が大事!というわけでもないのですが、そういうふうに話を聞いているうちに、見えてくる世界が変わってすこし絵との距離が近くなることもある、と思っています。

実際に、会話をしているなかで、迷われている気持ちがすこしずつ定まっていくような瞬間がよくあります。これはこんな花で、これはどんな季節で、これはこんな時間で、など、どんなことがその方の心に届くのかはわたしにはわかりません。けれどそういう会話をするなかで、その方の心に何かの風景がすこしずつはっきりと映し出されているのだろうと感じます。それはその方だけが見ることのできる風景です。

オンラインだと、そういう雑談めいたやりとりが削がれてしまうところがあります。こちらがそういう意図がなくとも、「買う?買わない?」というところにばかり、見てくださる方の意識を集中させてしまうところがあるなあと思ったり(いえ、もちろん、作品を見て「買う!」と思ってくださるのはなによりありがたく、うれしいいことです)。

ですのでほんとうにごくかんたんではありますが、作品を描いた背景のようなものを、いつでもご覧いただけるようにここに残しておければいいなあと思いました。

会場にお越しになったときのように、絵を眺めながらわたしのおしゃべりを聞いていただければうれしいです。

※ここではオンラインショップに掲載されている作品のみのご紹介になります。

額装作品のこと

今回の個展で展示しているのは、バリューブックスさんとのお仕事で毎月描いていたカレンダー用のイラストです。本をモチーフにした風景を、ということでしたので、本のあるシーンを毎月あれこれ描きました(それぞれの作品は実はゆるやかにつながっていたりするのです)。

湖畔にて

これは秋のあるシーン。
北海道の紅葉する湖畔の風景をもとに、空想をまじえながら描いていきました。湖のほとりで本を読んでいるひとの形はラフで描いたものをほとんどそのまま描き起こし、形のおもしろさや色の使い方、構図の気持ちよさなど、わたしにとって「新しいものが描けた!」と思えた作品です。木が、白+黄色の配色なのが個人的にとてもお気に入りです。

ひとりの時間

これは梅雨のある日の静かな時間。
犬を抱きながらあたたかいものを飲みつつ好きな本を読む。こんなふうに過ごせたらいいなあと思うワンシーンです。ピンクと紫がかった水色の組み合わせで描きたくて、そこから配色を決めていきました。テーブルの上の照明は、わたしが気に入って使っているナイトランプを参考に描きました。

新しい家

引っ越しでは本の片付けが大変。
わたしも今年引っ越しを経験し、大量の本を目の前にして絶望しました。このときに本をすこし整理して新しい家へ持っていったのですが、いまだに本棚を決めかねていて、本は段ボールのなかに入ったままという。そんなことを思い出させる作品です(早く本棚買わないと…)。

昼寝の友

こちらは、初夏のさわやかな風を感じながら過ごす、あるシーン。
小さい犬を抱きながら読書していたつもりが、いつの間にかうとうとしている。そしてそれを見ている一羽の鳥。木のあいだを涼しい風が吹き抜けていくーそんな気持ちのよい昼下がりを描きました。イラスト上部に咲いている花はエゴノキをモチーフにしています。

夢見るうさぎ

遊びつかれて眠るうさぎたちの夜のシーン。
ほかほか、きらきらのクリスマスではなく、どこかの山で思い思いに暮らすうさぎたちが、にぎやかに、そして静かに夜が明けるのを待っているような、そんな情景を思い浮かべながら描きました。

夜ふかしの星

こちらの作品だけ、カレンダーとは別にお仕事で描いた作品です。眠れない夜の読書をテーマに描いた作品だったので、今回の個展で展示することにしました。空にも布団にも星がまたたき、その境目がわからなくなってしまうようなイメージで描いていきました。大きなあひるのぬいぐるみは、わたしのベッドサイドでいつも眠りを見守ってくれているあひるです。


ごくごく小さな物語におつきあいくださりありがとうございます。

壁掛け作品についてはまたあらためてご紹介いたしますね。
すべての展示作品についてご覧になる方は下記のリンクからどうぞ。

いつもお読みいただきありがとうございます。いただいたサポートは、これからの作品作りに使いたいと思います。