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生還

今年も無事に誕生日を迎えられそうです。

10年以上前から書いていた文章を読み直す機会があったのだけど、そのときといまの文章がほとんど変わっていないことに驚いた。

うつくしい文章を書くひとたちに憧れて、来る日もくる日も長い文章を書いていたことを思い出す。
あのときから自分はずいぶん変わったと思っていたけれど、時間を経てもまったく変わらない、自分の軸のありかを再確認したように思う。ひとって思っているよりもそんなに変わらないものなのかもしれない。

せっかくなので、2013年の誕生日のことを書いた日記を転載しておく。

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思い立って電車を降りて、何駅か線路沿いを歩いた。

大きな地震のあったとき、着くあてもなく夢中で歩いたあの道を
いまは帰り道として家を目指して歩いている。
空は広く、川は凪いで広がっている。
守衛さんの小屋の青白いあかりがひときわ眩しく光っている。

新しい場所へ引っ越してきて三月ほど、
熱い心とはうらはらに、すっかり疲れきってしまった。
自分の力で自分が満足できるように生活するということが、
こんなふうに自分の心や身体に影響するということをわたしは知らなかった。
夏から冬にかけて大きな変化やジレンマはいくつかあったと自覚はしているけれど、
せめてもうすこしなあ、ほがらかに乗り切ってゆきたかったなあと
ちょっと自嘲気味に考えたりする。

ああでもね、11月の空はすがすがしくて
こんな気持ちのいい夜の月に恵まれたことに心が震える。
今年も無事に誕生日を迎えられました。

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この日記を書いたときからずいぶんたっているけど、あのときの自分のことがいとしい。心細そうなわたしに、よかったね、と送りたい。

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