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いぶくろの記。

「近々、腹を召されると伺いました」
「その通りです」

      胃ノ記…それは、いぶくろが開腹手術を受けた記録である。


入院までのこと

二〇一四年九月二十六日、金曜日。 十六年ぶりの入院。高校三年の夏に盲腸になって以来。あの時は救急外来にかかり、即手術だったので、入院を意識することなく入院し退院した。入院を意識して入院するのは初めて。八月の中旬に手術が必要だと診断されたが、その結論に至るまでに、三ヶ月半もかかっていた。

不調を意識し始めたのは五月のゴールデンウイーク中。静岡の祖父母の家に遊びに行って、どうも背中がおかしい、痛い…と思いはじめる。 ライブもあるし、このままではいけない…と整骨院に通い始める。元々、姿勢が悪く体も固いので、どこも悪くないと思っていても治療対象になる。しばらく整骨院に通って様子を見ることにしてしまった(後悔)六月中旬、一ヶ月もマメに通っているのに一向に痛みは収まらない。背筋は伸びはじめたし柔軟性もあがっているのに痛い。この頃から鎮痛剤を毎日飲むようになる。さすがにおかしいと思い 六月下旬、病院でレントゲンとCTを撮る。しかし、異常なし。 どこかに
見えないくらい小さい尿管結石でもできてるんじゃない?と言われた。尿管結石は基本自然排出を待つしかない。丁度その時、尿管結石と戦っていた方が三名も居たので、自分も仲間入りしてしまった?!痛いってこういう痛みなの?くらいにしか思っていなかった。

七月上旬、石が出るまで耐えるしかないならと鎮痛剤をもらいに病院へ行くと
「ちょっとエコーやってみようか?ここ、腫れてる」と、医師がCT画像を見せ指を差す。 しかし、何がどう腫れているのか自分の体内のことなのに、私は知らなかった。

胃「この間は、何も異常ないって言われたんですけど…」 
医師「ココ左右対称になってるはずなのに、明らかに左が大きいでしょ?」 
胃「元々の大きさがどれくらいか知らないのでわからないんですけど…」 
医師「本当は親指くらいしかないんですよ。
   とりあえずエコーで、しっかり見てみましょう」 
胃「いくらですか?
  薬もらうだけだと思って、お金、全然持ってきてないんですけど(笑)」 
医師「保険使って、二千円もあればお釣りがくるから」 
CTと違って安かったので、受けることにした。 
医師「やっぱり左は六センチくらいになってるねー右も腫れてる」 
医師「紹介状出すから、大きな病院に行って」

この二週間、石じゃね?と言われて、耐えていたのに何故…と思いつつ放置するわけにもいかないので、言われるがまま大学病院に行くことになった。看護師さんが電話して、大学病院の予約を取ってくれた。三日後の午前中と言われた。エコーは安かったが、紹介状が三千円くらいしたので、結局、手持ちでは足りず、後日、紹介状だけを受取りに行った(笑)

大学病院でも「やっぱり腫れてるねー」と言われた。
「来週来た時にしっかり説明があるよ。今日は血液検査を受けて帰ってね」
 しょんぼりしながらも、健康診断のアンコールだと思って血液検査を受ける。この日のお会計は七千円くらい。しびれる。小さい病院で、レントゲン+CTとエコーで八千円くらいかかってるのに。なんだかんだ収入が上向き傾向にあったので、出費が痛いと思いつつも難なく通院できたが、極貧時代だったら…と思うと胸がひんやり。この時は、入院・手術が必要になるなど全く想像もしていないし、手術が終わってから始まる何年続くのかわからない予防的な治療のことも、遠い世界の謎の話でしかなかった。

結果発表。鎮痛剤を毎日飲むようになって一ヶ月が経過していた。
医師「左側、六センチ半くらいかなー右も腫れてるね。予約がいっぱいで、
   すぐに手術できないから様子見ながら待つことになるかな」
胃「え…手術しなきゃいけないんですか?」 
医師「これだけ腫れてるとねーこれ以上、大きくなったら大変だよ」 
胃「い、いくらくらいお金がかかるんですか…」
医師達は困惑しザワついた 。
医師「え?…ちょっと待って…(看護師さんと調べ始める)
…二十五万くらいかな」 
胃「今ここで即決はできないので、次回までに決めます!」 
医師「腫れの内容を確認したいからMRIの予約するね…九月じゃ遅いなぁ」
胃「痛いのに、九月まで何もできないんですか?!」 
医師「痛いもんねぇ…無理矢理八月六日に予約入れたから、
   八月十三日に結果聞きに来て」 

この日は七月十六日である。結果が出るまでに、また一ヶ月かかることになった。二十五万なんて買い物は生まれてから今日までしたことがない。手術を受けなければならない体や精神的なショックの波と、高額医療費を支払えるのかどうかの金銭的不安の渦に飲まれながらも、冷静に今の状況を把握せねばならない。入院保険に加入していたので、電話で給付について問い合わせたり、国の高額医療限度額認定証のことを聞いて調べたりした。保険と限度額を認定してもらえればお金の面は何とかなりそうだと判明し、安堵。

MRI撮影、小さいトンネルに二十分くらい重しを乗せられ閉じ込められる。 電子的な音がずっと鳴っていた。曲を作る時に使う音色みたいで面白かった。 お会計は七千円くらい。噂より安くてよかった。 この頃には、痛すぎて鎮痛剤のみまくり。自分がこの先どうなってしまうのか不安だった。 激しい痛みに心は折れて、手術!受けます!切腹万歳!早く切って!てな感じで、かなり積極的に手術を受ける気になっていた。

手術は、早くて十二月と言われた。薬の副作用が酷いといけないからと、九月上旬に病院に行くことになった。五月頭から不調を感じたのに、治療らしい治療が始まったのは八月中旬。2ヶ月半、ただ鎮痛剤を飲んで、苦しみながら過ごしただけである。八月中は本当に辛くて、このまま十二月まで待つのは不可能だと思った。働きながら欠勤しないで過ごせる自信がなかった。ライブは?アルバムはどうなってしまうの?キャンセルや延期はしたくなかった。 

九月、必死の訴えが効いたのか「九月二十九日なら手術できるかもしれない、一応予約しておく?」と提案があり即決。手術前の検査を一通り受け、次週その結果を聞くことになった。入院、手術の時には、色んな書類にサインをしなくてはならない。そこで初めて自分がどんな名前の手術を受けるのか知る。口頭で言われても覚えられないし、脳内で正しい漢字に変換できる人は稀だと思う。


腹式卵巣嚢腫摘出術(両側)

腹式とは、開腹、つまりお腹をあけて手術を行うこと。卵巣嚢腫とは、卵巣に液状成分が溜まって腫れている状態のこと。嚢腫には色々種類があるそうだ。子宮内膜症性卵巣嚢腫は、卵巣の内部で子宮内膜が増殖し、 月経周期に一致して出血を繰り返し、卵巣の中に月経血が毎月たまることで発生。この嚢腫を摘出する手術をする。卵巣を摘出するわけではない。(盲腸の次に、よくある手術らしい)卵巣は本来二〜三センチ(親指くらい)らしい。それが今回、六・五センチ(握り拳くらい)ということで手術となった。 原因は不明。女性であれば誰でもかかる可能性のある病気。症状の出にくい臓器なので気づいた時には大きくなっていることが多い。卵巣は体の中で一番腫瘍が出来やすい
臓器であること。良性の腫瘍であっても五〜七センチくらいの大きさになると摘出手術が一般的。(宇多田ヒカルさんや大黒摩季さんも同じ病気のよう)

命に関わるものでもなく、子供が産めなくなるわけでもないですが、婦人科の病気を公表するのは、勇気がいるもの。誤解されたり、変なことを言われたりするのかなとも思いましたが、現実は「あー私も同じ病気になったことあるよ」など経験者のみなさんから励ましていただいたり、友人からは「何か困ったことがあったら言ってね!」と暖かい声をかけてもらえたので、ひとりで鬱々と抱え込まなくてよかったと思いました。

この病気の特に嫌な所は、効くかどうかわからない副作用のたんまりある薬を飲んだり注射をしたりして、腫瘍を小さくしたり、術後であれば再発予防をするんですけど、一ヶ月の薬代が約一万円もかかるので、体にもお財布にもダメージがあってなんだかなーって気分にはなります(笑)

どんな病気でも早く発見すれば、手術しなくて済む可能性が高いので、定期的な検査をおすすめ致します。男女問わず、健康診断には行きましょう。

掛け捨ての安い保険は、健康診断を受ける前に入っておいた方がいいです。月三〜四千円で、入院や手術の時に条件を満たしていれば、三十万前後もらえたりします。結構もらえるなと思った貴方、病名確定までの検査費用と治療費、入院・手術費用、術後一ヶ月の休職中にかかる生活費をまとめると、一瞬で無くなってしまいます。

高額医療限度額認定証は、一ヶ月ごとにリセットされるので、緊急性がない場合は、月をまたがない方がいいです。いぶくろは、入院前半5日間は九月、後半5日間は十月という一番自己負担額が多い損なパターンにはまってしまいました。かなしみ。お会計する時に、受付のおねーさんが、何でこんなに高いの?!って衝撃を受けて、奥まで引っ込んで再確認してましたが、正しい金額でした (´・ω・)キョムーン


はじめての入院準備

入院のご案内のパンプレットには、歯ブラシ/歯磨き粉/コップ/石けん/シャンプー/くし/タオル/室内履き/湯のみ/ティッシュ/箸/イヤホン/パジャマ/下着/バスタオル/羽織もの/処方されている薬…を持ってくるようにと書いてある。 しかし、ネットでググりまくった上で、その他にも準備したものがある。

体を拭くシート(夏のコミケでコンビニに大量に売っている商品の女性用)
制汗スプレー/消毒液/ハンドクリーム/鏡/綿棒/爪切り/化粧水/コットン/
シュシュ/毛抜き/S字フック/洗面用具入れ/割り箸/ハンガー/蓋付きのコップ/マスク/時計/クリアファイル/筆記用具/小銭入れ/小銭入れと携帯を入れられるポーチ/ビニール袋/洗濯物入れる用の袋/iPhoneとMBA充電器/延長たこ足タップ/ノート

体を拭くシート、制汗スプレー、消毒液は、自分の匂い対策。盲腸の時は、入院中1度もシャワーすら浴びれなかったので、 自分の臭いに耐えられなくて発狂した。お見舞いに来たクラスメイトに、必要以上近づかないでほしい、一刻も早く帰ってほしいと思っていたくらい自分の臭いが強烈だったので鬼のように準備。まず殺菌して臭い菌を退治して、その後シートで拭いてスプレーをすればそんなに臭くないと思う。しかし、術後二日目からシャワーを浴びれたので、今回は殆ど活躍しなかった(笑)小さい携帯用がおすすめ。 

蓋付きのコップ…ホコリが入ると嫌だから。ストローが刺せると良し。
割り箸…お箸を洗いに行く元気がない時に活躍。 
延長たこ足タップ…主に充電用。色々使い道はある。ないと不便。 
クリアファイル…なんだかんだ入院中は書類をもらうことが多い。 
筆記用具…書類が多いということは書くこともある。 
小銭入れ&iPhone用ポーチ…普段の鞄持って歩くのは大げさ&重い。パジャマ姿で普段使っている鞄を持って歩いてると、洋服を着忘れた変態さんの気分になって、とても恥ずかしかったのですが、こんな気持ちになるのは、いぶくろだけでしょうか。

一度も洗濯しないで乗り越える勢いだったので、着替えとタオルが大量。パジャマは病院で一日 三百円くらいでレンタルできる。知るのが遅かった。合掌。硬膜外麻酔を使う場合パジャマにはポケットがあった方が便利です。硬膜外麻酔のスイッチを手に持って、点滴を引き連れてトイレに行くのは、結構つらい。ポケットにスイッチを入れておけると片手が空くので快適です。スイッチを点滴の棒に引っ掛けておいても、落ちやすいし何より屈んで物を取るのが苦行。ポケットがついているパジャマを、ひとつしか持っていなかったので、麻酔を抜くまで二日間、同じパジャマ着てました…。

ストローは一本二本あると便利。術後一日目に、飲み物飲んだりする時に使用。後は、三百円均一にある蓋付きの収納ケースがあると便利。その中に色々すぐ使うものを入れておける。備え付けの棚は使いにくい。棚の上にごちゃごちゃ置いておくと見た目がよくないし、うっかり落とすと取るのが大変。

自分が入院する時は勿論、家族・友人・知人の時にも使えるマメ知識です。

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これは使える?!入院準備チェックリスト

歯ブラシ・歯磨き粉
コップ(フタ付き)
石けん
シャンプー&リンス
くし
バスタオル
タオル
洗面用具入れ
室内履き
湯のみ
箸 / 割り箸(10本くらい)
イヤホン
パジャマ
下着
羽織もの
処方されている薬
ティッシュ
体を拭くシート
制汗スプレー
消毒液
ハンドクリーム

綿棒
爪切り
コットン
毛抜き

※入院中は暇なので無性に爪が切りたくなったり無性に耳かきしたくなったり無性にささくれが気になったり…するので、持っていった方が快適です。売店は高い…。100円均一で揃えておきましょう

S字フック…手すりに色々掛けられます。オススメ!
ハンガー3本…洋服用。濡れたタオルを干したり、手を拭くタオルをかけておいても良し。

マスク
時計
クリアファイル
筆記用具
小銭入れ
小銭入れと携帯を入れるポーチ
ビニール袋
洗濯物入れる用の袋
iPhoneとMBAなどの充電器
延長たこ足タップ(オススメ)コンセント足りない&変なとこにあったりする
メモ帳 or ノート

荷物にならない暇つぶしは電子書籍がベスト!
でも病院に Wi-Fiないかも…



入院日記


 入院一日目。

「一時半に入院受付に来てください。お昼ご飯は出ませんので、済ませてきてくださいね」と言われたので、ゴーヤチャンプルとラフテーと沖縄そばのセットを食べてから病院へ。

大荷物の一部を会社に置かせてもらっていたので、トートバッグとトランク1つで出発。病室までは畑さんが付き添ってくださいました。看護師さんに、完全にお姉さんだと思われていました。

トランク、大きなトートバッグ、トートバッグ、もうひとつ大きめのバッグ。家出でもするのかって量の荷物を運びました。でも、ひとりで持てる程度の重さ。入院受付で待っている間、畑さんは、入院のご案内のビデオを一生懸命見てしまったそう。受付は済ませたけれども、まだ病室の番号はわからない。

とりあえず病棟へ。入り口が自動ドアになってるんだけど、何故か昼間でも薄暗く、非常口の緑の光が効いていてこわい。ハロウィンの飾り付けが怖さを倍増させている。ナースステーションに書類を渡し、いよいよ病室へ。病室の入り口あたりのドア部分が木造で、なんか怖い。小学校とか中学校の下駄箱とか鞄入れとく場所を思い出す感じ。とても昭和。「こちらです」と案内されたのは窓側。よかった!真ん中は落ち着かないもんね。ロッカーは入り口側にありますのでお使いくださいと言われたけど、木製のロッカーで、鍵がないというので、貴重品は自分のベッドの周りに。どうも古い木製に恐怖を感じるようです。なんだろうこの小学校感。

一通り説明を受け、2リットルのお水を買ってくるよう言われたので、畑さんと一緒に売店へ。2リットルのどうでもいい水が二百三十円。こないだ同じ水を箱買いして1本七十四円とかだったんですけど。高い!家から持ってくればよかった…と思ったけど、重いから現実的じゃなかった。水のついでに、手術時に着る浴衣みたいなパジャマをレンタルして畑さんとお別れ。がっつり付き添っていただいて大丈夫だったんだろうか…小さくなる畑さんの姿に感謝の念を飛ばす。

ひとり病室に戻り、部屋着に着替えて、持って来た荷物を整理。ペットボトルは看護師さんに預ける。二時半から病棟の説明があるというので、デイルームへ。デイルームに行ってびっくり。なんと男性がいるのである。病院のレンタルパジャマを着た男性が。病室は男女別だけど、フロアには区切りもなく男女一緒だそうで。おじいさんと、おじさん&おくさん、いぶくろよりちょっと上くらいの女性、胃の4人で説明を受ける。デイルームと体を拭くタオルとか氷枕のある場所を教えてもらった後「こちらが男子トイレです、ちょっときてください」といわれ、うっかり女性陣も男子トイレに入って行くところで「あ!」と気づき「きてくださいって言われたら、ついていっちゃうよねえ」と3人で談笑。男女混合フロアは珍しいと思うけど、どうなんだろう?ちょっとノーブラで歩き回るのに抵抗が(笑) ざっと説明を受け解散し、戻ると
「これを2時間くらいで全部飲んでください♡」
と下剤入りの2リットルのペットボトルが帰ってきた(笑) 今日の仕事は、この下剤を2リットル飲むこと。味はアクエリアスっぽくて、まずくはない。でも美味しくもない(笑)飲み始めて1時間くらいは平和で、2時間後もそんなに大変ではなかった。輸血の検査用の採血とか、LANケーブルを忘れてたから借りにいったり、手術の担当医がやってきたり、薬剤師がやってきたり、看護師がやってきたりして、あっと言う間に時はすぎ、結局2リットル飲みきるのに2時間半くらいかかる。

夕方六時。晩ご飯。なんと下剤を飲んでいるのに御飯が出るという。ちょっとだけおなかもすいた気もするし食べてみようと、かぼちゃの煮物とお魚と御飯を三分の一ほど食べたところで体内に暗雲と雷がどっかんどっかん。これは罠だ!下剤が効いているかどうかの人体実験だ!と思った。てなわけで、食べるのをやめ体内の雷を戦った。味は普通。まずくはない。とてもおいしいわけでもない。

七時半、お風呂。お風呂に浸かれるのは一ヶ月後?と思って入っておいた。当然、家より広い。病院の決まりで、お風呂の鍵は閉めてはいけない。患者同士のルールで、使用中の札がかかっていたら、扉には触らないことになっていた。このフロア、男女混合なので、うっかり開けたら大変なので。つーか、貴重品ボックスがお財布しか入らないような小ささで不便。木製ロッカーは鍵がないし、基本、無防備。MacBook Airは、布団の下に隠し、貴重品ボックスの鍵と小銭入れはお風呂まで持っていった。鍵付きロッカーは欲しいところ。三十分以内に出て来ないといけないルールなので、ゆっくりできないけど、さっぱり。もっと肩までつかりたかったなー。

戻って来て、アルバムのジャケットデータ確認。メールする。九時消灯。音楽がレトロで、音質の悪さが恐怖を2割増しにしてる。こわいよー。

九時すぎ、これ明日の朝八時までの水分です。経口補水液を1リットル渡される。2リットル飲んだ後に、更に1リットル。しかも似たような味 (笑) 今度は全部飲まなくてもいいんだけど、担当医より全部飲んでおくと術後の副作用が楽になるらしいと言われたので、俄然飲む気に。「まだデータ集めてる段階なので絶対じゃないんだけどね」と医師は言うが、副作用が軽くなるなら、効果があってもなくても飲むよ! 

眠れないので、三十分くらい友達と電話で話す。 更に眠れないので、この記を書く。いつも二時~四時に寝てるからね…退院する頃には健康的な朝型になるのかなあ…。



 入院二日目、手術当日。


朝五時四十五分。六時以降、水も飲めなくなるので、ちょっと早く起きて飲む。寝起きは何か飲みたい派なので。普段こんな時間に目が覚めることはないから緊張してるのかな。

六時。朝の放送もレトロで怖い(笑) ゆっくりと音量があがっていき、五分くらい流れっぱなしなので起きる。絶飲食開始。今日は、まるっと飲み食い禁止かあ…。

九時半頃、妹が病院最寄駅に到着。十時には病院に到着。妹に入院の書類と手術の書類をお願いし、自分は点滴スタート。血管が細すぎて左から取りたかったのに、右手首から取ることになりました。痛い。 

看護師さんから、なんも付けずに手術着だけ着てねって言われたから、パンツも脱いだのに、パンツは履いて!と言われ慌てて履く(笑) 手術前の緊張からか三十七・五度以上あってびっくり。熱っぽい自覚なし。
胃「えっ!手術前ハイ?」 
看護師「妹の前だからヘラヘラしてるけど大丈夫?過呼吸とかにならない?」と心配される。わからないけど、たぶん大丈夫と返す(笑)

十時五十分、呼ばれる。手術室へ歩いて出発。 点滴が邪魔なだけで、至って通常モード。そりゃそうだ。 看護師さんと雑談しながらエレベーターに乗り手術室のある棟の該当階へ。妹も一緒。ドラマみたいに部屋からベッドではないのだ。

ここから手術室だよーという大きな自動ドアの中に入ると、受付があり椅子に腰掛けて、自分の名前を名乗り、リストバンドも確認される。 切腹担当の主治医と麻酔担当の皆様が一人一人名前を名乗る。 よろしくお願いしますとお互い頭を下げ、妹に「行ってくるね〜!」と手を振り、いざ手術室へ。今の手術の制服?は、南国でゆったりしてそうなハッピーな感じ。 スパにありそうな雰囲気(笑)お子様に怖がられない為の配慮かな。

手術室が並ぶ通路は、ベッドが3台並んで通っても平気なくらい広い。
プーさんやアンパンマンの大きなぬいぐるみが置かれている。
「ぬいぐるみいっぱいあるんですね(笑)」「持ってく?」という気楽な
やり取りをしつつ、いよいよ切腹会場。ドラマで見たのと変わらない印象の部屋。 広いなーと思ったので十畳以上はあったと思います。 そのセンターに、ベッドがあり、横になってくださいと言われる。ああ…いよいよ切られてしまうのねと観念して台へ。 まずは麻酔。
「ちょっとぼんやりする薬を点滴で入れます。 効果のある人とない人がいるので、効果がなかったら、諦めて頑張ってください(笑)」 
数秒後「わー目がまわってる!まわってる!なんかポカポカする!」 
「皮下注射をします」「ピカチュウ?ピカチュウ(笑)」
「はい、こっちを背中にしてー」
「だめだ、もう力が入らないやばい(笑)」
横を向くのを手伝ってもらう。「痛いと思うけど頑張ってねー」背中を丸めて、第一難関。 たしかに、痛いけど、耐えられないほどでも泣くほどでもない(笑)普通の注射っぽい痛いの1回の後、トンカチで釘でも刺してるの?っていうような コンコンコンっていうのが2回あって、麻酔は完了した模様。 
「大丈夫?しびれたりしてない?」
「はいーもう眠いぃ…もう起きてられないぃ…」 
「あれ?このコもう寝ちゃってるー(笑)」予定より早く意識を失いました。


 手術終了。


「肩が痛い!肩が痛い!トイレ行きたい!」目覚めてすぐの発言(笑)
「終わりましたよー肩が痛いのは手術の時の姿勢かな?そのうちよくなるよ」
右肩の激痛で目が覚める。攣った状態から戻らなくなっていたらしく 土、日、月と耐えたけど、激痛は激しさを増し、火曜日に整形外科に行きトリガーなんちゃら注射によって治るのだが、基本的に、そのうち治るとしか言われない。あまりにも酷い場合は、激しく訴えよう。 手術当日は、寝返りまでしか許されないので、どれだけ肩が痛いのか、まだわからなかったけど、動けるようになればなるほど痛い。最後には、寝転がると20分痛みで呼吸すら困難なくらい激痛になるので寝転がりたくないと泣いていました(笑)なので、その翌日、整形外科に行けました。さっさとトリガーなんちゃら打ってもらえば、とても快適に暮らせたのに!!!みなさん、柔軟性は大事です。ストレッチは欠かさない方がいいですよ。手術から目覚めた時に地獄です…。

意識もハッキリしていて、肩が痛いだけで、切腹したところは何も痛くない。あと、辛かったのは、ガスが出すぎたこと(笑)十分おきに腸を通過していく。内臓の傷にガス通過のダメージがくるんですよ。手術終わってすぐにガスが出て、もうそこからは3日間ガス製造機の気分でした。ガスが出なくて困るブログは見ましたが、ガスが出過ぎて困るなんて見たことないよ!ちなみにガスがでないと水が飲めません。もしかしてガスが出たから飲める?と期待しましたが「明日の午前中まで、絶飲食だからね!だめだよ、飲んじゃ!」と釘を刺される。術後数時間は、マメに看護師さんが検温と血圧と痛い?って聞きにきました。熱は、三十八・九度と高いんだけど風邪をひいてる時と全然違って
え?そんなにあるの?って感じでしたね。頭もぼーっとしないし、暑さもないし。 手術室から戻って来て、面会時間が終わるまで、ひたすら喋りまくり
「今なら歩ける気がする!肩しか痛くない!」と調子に乗っていました。
今日は痛い肩も、明日には少しよくなってるかなーと淡い期待を抱きながら就寝。 そういや、血栓症予防の注射を打ったんだけど、これも麻酔が残ってるのか 全然痛くない(笑)点滴や麻酔のハードな痛みに耐えたからか、え?こんなもん?って、びっくりしましたね。注射を痛いと思わないことがあるんだなって。 術後3時間は酸素マスクしてなきゃいけないのに、気づくとはずしてたなー。邪魔なんだよね。喋りにくいし。


 入院三日目。


翌日、朝6時に起きるのよーという音楽が流れ、朝8時に朝ごはんよーという
音楽が流れ、絶飲食の胃には関係ないわと寝倒していたのですが、秋の花粉症で鼻が詰まっていたので、御飯のにおいがわからなくてよかったです。
絶食には、錠剤などの薬も含まれるので、手術前の絶食時間前に飲んでおきましょう。丸一日飲めません。7時くらいに調子に乗って、座った姿勢までベッドの頭をあげてみたら気持ち悪くなったので、四十五度くらいでやめときました。

午前中に、お水からはじめてジュースまで飲んでもいいよと言われました。
看護師さんに、水道水でいいから飲んでみたいと頼んで、ちょっと飲んでみる(笑) 午後に妹がやってきて、談話室みたいなところで緑茶をもらってきてもらうが何故か麦茶の味としか思えなかった不思議。肩が痛いので、ふた付コップにストロー刺して寝たまま飲みました。ストローを使ったのはこれ1度きり。2~3本あれば十分でしょう。 肩が痛いから無理ーと寝たままでいましたが 夕方五時までに立ってトイレに行けないと夜勤帯は尿管を抜けないと言われるので頑張って立ち上がり、トイレに行く。そして、足のマッサージ機と尿管よサラバ。 しかし、肩がいたすぎて、肩をかばうように歩くので
「そんなにお腹いたい?もっと普通の姿勢で歩けない?」と言われるが
「お腹は重いだけで痛くない。痛いのは肩。肩が痛すぎて無理」と返す。 
肩が痛いことにたいしては、看護師さんは完全スルーしてくるので辛かった(笑)

尿管&尿袋よりも、足のマッサージ機のが邪魔で嫌でしたね。血栓ができないように、ずーっと揉まれてる。寝てようがお構いなしに…。 この2つから解放されて少し身軽になりました(笑) 痛すぎるので友達に肩を揉ませたりする(笑)妹が帰る頃には、妹が買って来てくれた桃ジュースを飲んでご満悦。
「おねーちゃん寝てる時に、(硬膜外麻酔の)スイッチ押しまくってたよ」と
言っていてビビる。痛いのは肩だったから押しても意味ないんだけどね。
(背中に管が入ってて、痛くなると自分でスイッチ押して麻酔を入れられるのだ) 食事が許されるようになるまでは、ジュースが心の支えでした。

夜中に、お腹が急に痛くなってきたので、硬膜外麻酔追加。
ナースコールしてから、麻酔が届くまで1時間でした。
痛いなと思ったら早めに頼んだ方がいいです。できれば昼間のうちに。

手術の傷の痛みは、傷口が発光してるような感じでした。妹に、ピカーって光ってる感じがする痛さ!と熱弁してましたが「えー?なにー?」って相手にされませんでした。ものすごく熱を持ってるような感じがしたのに…。人生で一番盛大に切ったので、私の体内が怒っていたのかもしれない。高エネルギー反応が手術した部分から出てる感。発電されているような痛さ。痛いっていうより熱い不思議。傷口が高エネルギー反応状態になると、脳内でエヴァの妄想して気を紛らわせてました。内部に高エネルギー反応!…シンクロ率上昇!ミサトさん、いぶくろを助けてよ!


 入院四日目。

肩が痛いので、寝転がる事を最小限にする生活3日目(笑)寝て起きると一切寝返りを打っていないので、肩以外が痛い。 お腹の傷に響きそうで伸びができない。変にのびたら、また攣りそうで怖い。 肩だけでも大変なのに、もう1箇所攣ったら、もう身動きできないよ(笑)

畑さんに差し入れてもらった「プライド」という一条ゆかり先生の漫画を読む。面白かったけど、緑川さんの母は最悪だな(笑)胃なら許さないね。あらゆる手を尽くして絶縁するね。許さないね。

二十七日からイビキ族のおばあちゃんが入院。今日が手術みたい。 どうやら手術前で緊張していたらしく、眠れていない模様(だから煩くなかった) 手術の2日前に入院するなんて大変だなぁ、自分は気楽だなーと思っていたら
隣の人は、2泊3日で帰って行く人ばかりでした。せつない。

昼から待望の流動食のはじまり。 重湯、野菜スープ(もちろん具無し)、ヤクルト、ブルガリアの飲むヨーグルト。 妹に「流動食はじまったよ!」と連絡したら、「食だと思う事が大切ね(笑)」と返ってきた(笑) 部屋では、どうも食べづらいので談話室的な所で取りました。

音楽活動以前からの友達が千葉からお見舞いに来てくれました。病院周辺に温泉だか銭湯だかが割とあるので、そこに寄ってきたそうだ。お見舞いだけじゃなくて他にも楽しめることがあると、 こちらもお見舞いに来てもらいやすいですな。 流石に、お見舞いだけに来いやーとは言えない(笑)友達と3時間くらい喋り、友達と一緒に術後はじめて売店に行ってみたり。

【晩御飯】くず湯(とてつもなくまずい)ポタージュ ( 少し薄い) ぶどうのジュース。塩味の重湯のがよかったよ… 昼と同じく談話室的なとこで晩ご飯としました。

消灯後、肩が痛いので、寝なくてもいいですか?と看護師さんに訴える。 手術の後なので、なるべく休んだ方が…と言われ、強力な鎮痛剤&ぼんやりする筋肉注射を打つことに。打って数分で、起き上がっていられないほど目が回りまぶたを閉じると、ものすごいスピードで犬カレーさん的な世界が展開。(まどかマギカの魔女の結界の中みたいなやつです)録画できるものならしたかった。自分の脳内で起きてることなんだよね?なんかいぶくろまだまだやれる気がしました。あんなにネタがあるんだなと。考える前に、どんどんネタが溢れてくる感じ。人間の脳ってほとんど使ってないって言われてるのは本当なのかも。長い風船で、プードルとか作ったりするじゃないですか、それで人間を作って飾られていたのだけは覚えてました。低予算でもできるなと(笑) 翌日見たら、注射打った所が痣になってました。麻酔並みに痛かったもの(涙) 強制的に眠らされた感。トイレは、注射打つ前に行っておいた方がいいです。一時間半後に、少しふらふらしながら行きましたけど、注射おそろしい。麻薬ってこんな感じなのかなーって思いました。全然いいものじゃない。


 入院五日目。

【朝ご飯】 中粥200g(半分以上残す)/ 高野豆腐の煮物(これはうまい)
おひたし / どろどろの煮豆(あんこみたいだった)/ 麩のみそ汁

午前中のうちに整形外科に行くことに。 歩くのが遅いので、車いすで発進。外来と同じなので結構待たされる。待たされてるうちに、点滴が止まり血が逆流。痛い。たすけてと言うも「私らにはそんなのできないわよ」と外来のおばはんに言われ、某レコード会社 Uさん似の男性看護師が病棟からやってきて点滴を外してくれた。四十五分くらいは待ったと思う。肩も痛いし点滴痛いし良い事なし。整形外科の先生は、髪はゆるいパーマかかってて、黒縁のオシャレ眼鏡でなんかちゃらい感じだった。椅子の座り方もデスノートの人みたいだったし!レントゲン撮って異常ないし、腕をあげても痛くはないので筋肉が縮まったままになって、常時痛みを感じていたのではと言われた。 トリガーポイントブロック注射?とかいうのが正式名称みたいだけど 「はーい、トリガー持って来てートリガー」と言い、一番痛い固まってるとこに、ぐさーっと麻酔並みの注射を一発。手術直後から丸3日も耐えていたので、すぐに痛みがひいたわけではないけど打つ前に比べたら、天国でした。手首の点滴もはずれ、肩の痛みからも解放。病室に帰って、硬膜外麻酔も外しました。その後、丸3日の寝不足と疲労感を解消する為、ひたすら寝。

【お昼御飯】 中粥(200g)…ほとんど食べない / 若葉蒸し…白身魚の味噌だれ付き。美味しい! / そぼろ煮…かぼちゃのそぼろ煮 / 牛乳

夕方、肩も楽になってきたし、自力で体を拭いて着替える。今日は、Uさん似の男性看護師なので、手伝いましょうか?と聞かれても「大丈夫です!」と元気に答えました。お会いしたことのある異性に似ていると、どうも頼みにくいというか。恥ずかしいですね。

【晩ご飯】七分粥(350g) …ものすごく多い。ほとんど食べない。
小田巻蒸し…茶碗蒸しの仲間みたい。好きな味。
バンサンスー…中華風のサラダ。美味しかった。
中華スープ …ふつうの。 / りんご…術後はじめての果物!

晩御飯終了後、畑さんとざーみやさんに、元気になってきましたと報告。明日入稿〆切のアルバムのチェックを病室で行うことに。一時間半くらい頑張ったら、疲れて爆睡。やっぱりまだ体力は戻っていない様子。深夜に無事全てのチェックが終わり、翌朝入稿されました。ギリギリだなぁ。看護師さんに「消灯後に何してるの?」と聞かれ「仕事です」と答えるなど。病室にネットが出来る設備があってよかった。

どこか鬱々な僕たちのスケジュールを見ると、九月十二日レコーディング、二十六日〜マスタリングとなっている。このスケジュールを立てた時、二十六日から入院とは全く思っておらず、すごい神的タイミングだなーと自分で自分に拍手した。手術してくれ!と懇願して月末と言われたのが九月上旬だし、入院日が確定したのは、たぶん十五日くらいだったので、通院と入院準備とアルバム制作でバタバタの九月でした。

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