見出し画像

私が、子どもを叱るのは『1日1回まで』と決めた理由。

小さい時から、おとなしくてわがままを言わない、親に反抗することなどあまりなかった息子が、小学校5年生のある日、突然、キレました。
理由が何だったか、今となっては忘れてしまいましたが、暴力こそ振るわないものの、私に対してすごい形相で怒鳴ってきた光景は今でも脳裏に焼き付いています。

教育学科卒業で、幼稚園、小学校の教員免許も持ち、独身時代は子育て支援のボランティアをしていた私は、子どもが大好き。だから、自分の子どもに対しては一流の子育てをしたい、できる、そう信じて、長男の息子に対しては、それはそれは真面目に厳しく育ててきました。

3歳下の娘は天真爛漫、自由な娘だったので、思えば、いつも息子には厳しく、我慢ばかりさせていたのかもしれません。

保育園時代、ママ友からは、「ゆっくんママは”べき”が多すぎ!あれじゃ、ゆっくんがかわいそうだよ」とよく言われていましたが、自分の子育ては正しいと思っていた私は、まったく気にも留めることはありませんでした。
そして、私自身、夜8時から会議が始まるような会社での時短勤務生活で、心身ともにくったくた。まったく余裕がない中で、息子、娘に対して、常に「早く!早く!」とせかせるような日々が続いていました。

下の娘の育児休職時代に、息子はサッカーを習い始めました。8か月から保育園に通っていた息子にとって、母親と一緒に習い事に行って、その帰りに母親が見守る中、公園で友達と遊んだり、ご飯を食べたりできることは、新鮮で、私も専業主婦のママ友とたわいもない話をするのが楽しい時間でした。
そんなある日、「保育園に通っているのはかわいそうだと思っていたけど、ゆっくんは保育園なのに、よく育っているよ。幼稚園の子と変わらないよ」というママ友からかけられた一言に、「あれ?保育園児ってかわいそうとみられてしまうの?」と戸惑いを感じ、同じ頃、保育園の先生に、「ゆっくんは絵を全然描きません。この間はどうしてもといったら、白い画用紙に白いクレヨンで描いていました」という話しから、息子の学びの場を真剣に考えるようになりました。

そして目指したのが小学校受験。それまで以上に、私の息子や娘に対する「べき」「こうあってほしい」が増えていくのは必然でした。
当然、子どもたちは、私が思うようにはなりません。それでなくとも仕事と育児でいっぱいいっぱいだったところに、新たに受験というイベントを自ら加えてしまったことで、さらに精神的にも時間的にも余裕がなくなった私はどんどん鬼婆化していきました。

夫は小学校受験には反対だったので、全く協力は得られず、塾の費用も送迎もすべて自分一人でなんとかしなければという気負いもあり、夫に対してもイライラ、今思えば、地獄絵図の家庭だったなと思います。

そんなこんなで無事、第一志望の小学校へ合格。
しかし当時の私立小学校で働いている母はかなりの少数派。学校へ行く機会も多く、息子には寂しい思いをさせたくないという気持ち、でも仕事が面白くてしかたがないという気持ちから、やはり毎日余裕がなく、いつもイライラしている母親でした。

そんな10年間を過ごした息子の我慢の限界が、あの小学5年生の息子の大噴火だったというわけです。

当時、中学校受験へ向けて、親子でいろいろな中学を見学していた時期で、その中には、全寮制の学校もあり、「この先、いつまで息子と一緒に暮らすことができるのかな。これから思春期に入る息子とずっと怒鳴りあって暮らすことになるのは絶対嫌だ」という思いを強く持ちました。

思い返せば、私は息子をずっと怒り続けて育ててきたのではないか。このまま私が怒り続けていたら、思春期になる息子はどうなってしまうのか?
今、私が変わらなければ!!!!!!

怒りの感情コントロールであるアンガーマネジメントを学び、トレーニングを実践。一進一退を繰り返しながら、少しずつ少しずつ、コントロールができるようになっていきました。

そのトレーニングの中で、私が一番効いたなと思っているのが、「怒るのは1日1回まで」というスモールステップの目標。
意味もなく、感情をぶつける怒りは問題ですが、子どもを育てる時に、親が子どもを叱ったり、怒ったりしないことは必要なことだと思うのです。

怒りの感情は、「べき」「こうあってほしい」というコアビリーフが裏切られた時に生じるので、私のように「べき」「こうあってほしい」が多ければ、当然、怒る頻度は多くなるわけです。
だから回数制限を設けるのです。
1日10回くらい怒りたくなる気持ちを、怒っていいのは1回までとすることで、「今、これは本当に怒る必要のあることかな?」と怒りの感情の無駄遣いをしないように考えるようになるのです。
そして、叱られる子どもの方も、その1回の重みを感じるようになるので、こちらが伝えたいことが伝わりやすくなります。
結果、無駄な怒りをしないことで、体が「怒る」という状態を忘れていく=体質改善へとつながっていき、気づくと、本当に必要なこと以外は怒らなくなっていたのです。

「こうなってほしい」「こうであってほしい」
子どもに対して、親ならそんな思いが多くあるのは当たり前です。
その中で本当に本当に子どもへ伝える必要があることは何か?
息子の大噴火から10年、そんな風に考えながら、過ごしてきました。

おかげさまで思春期の間の息子とバトルこともほぼなく、
無事に成人となりました。

大切な子どもたちと良い関係でいるために、
私は怒るのは1日1回までをこれからも続けていきます。
(大人になった息子に対して、怒る必要のあることはほぼありませんが…)

★アンガーマネジメントの講座、コンサルティング、受験・子育てカウンセリングなどを行っています。





サポートいただけると励みになります!