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幸せな子育て 小学校受験で先伸びする子どもを育てるには

 全国に約22,000校ある小学校のうち、私立小学校の割合は約1.2%。その多くが首都圏をはじめとした一部地域に集中しているので、全国的に見れば小学校受験というのは、かなりレアな経験です。中学受験も含め、義務教育の「受験」というと、「詰め込み」「子どもがかわいそう」という印象を持つ方もいらっしゃるかもしれません。かつての私もそう思っていました。

 そんな私が、一男一女の小学校受験、中学受験、大学受験を通じて、今、思うことは、受験は子ども、そして家族の成長のよい機会であるということ。決して、子どもはかわいそうではないし、詰め込みにするかどうかはやり方次第。親次第。

 世の中が大きく変わり、正解のない時代を生きる子どもたちが身に着けたい「主体性」「考える力」「あきらめない、強い心」を育てるには、受験はいい機会になりうるということです。

クローバー

 小学校受験は、原則、文字のない世界です。一部の学校で、ひらがなの読み方を出題することはありますが、ペーパーテストと呼ばれるものでも、問題はすべて耳で聞いて、紙に印や線を書いて答えます。多くの学校は発問は1回のみ。出題範囲は、数量、図形、推理、言語、常識、巧緻性、模写、記憶など、幅広く、例えば、数量であれば、四則演算、それも四則混合、さらに割合まで扱います。また、図形であれば、線対称や立体構成、空間知覚、推理であれば、規則性、言語であれば、助数詞や擬態語まで扱います。常識に至っては、植物や生き物の育つ場所や育ち方、マナー、道徳的なルール、昔の道具や昔話、季節の行事、童謡、いろいろな音などなど、非常に幅広い範囲で出題されるので、実は子どもの受験といいながら、親も非常に多方面のことを学びなおすきっかけになります。これが小学校受験が親の受験でもると言われる一つの理由でしょう。お教室で行うペーパーや宿題をただこなすだけではなく、そこから親自身が興味関心をもって、わからないことは一緒に調べたり、周辺知識を教えること、これこそが親子で楽しむ受験ではないでしょうか。

 小学校受験の倍率は高いところでは10倍を超えます。大学受験でも高倍率のところも多くありますが、大学受験の場合、受ける人数も多ければ、取る人数も多いものです。それに比べると小学校受験は募集人数が非常に少ない…。例えば、1クラス36人で2クラス、系列の幼稚園からの内部進学の人を除くと、小学校受験で入学できるのは、男女合わせても30人ほど。男子女子でわければ、それぞれ15人くらいしか入れないということになります。倍率が5倍、10倍ということになれば、5人のうちの1人に選べれなければなりません。では、どのようなお子様、ご家庭が選ばれるのでしょうか。

親子のイラスト

 例えば、今日、私がお教室の夏期講習で出した宿題の中に、断面図と花の茎と葉があります。ペーパーの問題としては、円柱や直方体を斜めにいろいろな角度で切ったら、その切り口はどのような形になるのかを選ぶ問題。花にあう茎や葉を選ぶ問題です。お子様がやった後、〇や✕をつけて、「これは、こう」「この花の茎と葉はこれ」と言っただけだと、なんとも残念な感じです。

 「今から人参を切るから、見ていてね。包丁を使って切るので、危ないから、今から言うお約束を守ってね…」と言って、危ない道具を使う時に気を付けることを教えたり、お約束を守る機会を与えたり、また、実際に人参を円柱に切ったり、立方体に切ってから、縦や横に切りながら、「どんな形になると思う?」といったクイズをお子様に出しながら、実験してみる親子の楽しい時間を過ごせたら、どんなに素敵でしょう!そんな風にして切った野菜を入れたお料理はきっと食卓でのご家族の会話も楽しいものになるでしょう。さらに、ついでに冷蔵庫にあるキウィやメロンといった果物や、玉ねぎ、キュウリ、ナスなどのお野菜を縦や横に切って、その断面図を色鉛筆で絵にかいてみたりしても楽しいですね。

菜の花

 花と茎、葉はなかなかすぐに本物をそろえるのは難しいので、まずはインターネットや図鑑で十分です。カラーのきれいな実物の写真を見て、親子で楽しくお話ししてみると、実は大人も知らなかったこと、たくさんあることに気づくことでしょう。「へ~そうなのね。ママも知らなかったわ。一つ新しいことを知って、嬉しいわ!」ということも、お子様にとっては、何でも知っているスーパーママにも知らないことがあるんだ、知らないことを知るって楽しいことなんだという思いを抱くこともあるのではないでしょうか。

 実物を見たり、体験すること、それも大好きなおうちの方と一緒にするという経験は、お子様にとってかけがえのない経験です。ペーパーのお勉強はこのようなお子様の経験の上に成り立っている、そんな風に考えて、毎日のお勉強に取り組むと、きっとお子様は「もっとやりたい、もっと知りたい」という気持ちが育っていくことでしょう。この気持ちが、これから育ちゆくお子様の原動力となり、お子様は自分の力でどんどん伸びていきます。受験という機会を上手に使いながら、親子の楽しい時間を過ごしていけたらいいですね。


 


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