見出し画像

20.09.13 WeekendBrewを思考する

ご覧くださってありがとうございます。
この記事は、Standart JapanからリリースされているWeekend Brew
(毎週日曜日に届く、コーヒーやそれに関連したュースレター)から
個人的に気になった何点かのトピックについて、
Twitter140文字では表現しきれない感想やさらに深掘りしたことをアウトプットしていきます。

本日のWeekend Brewも興味深い話題がたくさんでした。

コーヒー業界全体として、BIPOC、LGBTQIA+、女性、障がい者などを意識した取り組みが様々行われているな、という印象を受けました。
一人一人がそれぞれのできることや好きなことを活かして、自分や周りがそれを尊重して働ける環境がある。コーヒー業界を発端にそんな環境がどんどん広がっていって欲しいなと思います。

さて、今回私が特に気になったものを2点取り上げたいと思います。

・より安定したコーヒー業界を作っていくためには、生産国でのコーヒー消費量を増加させることが重要となる。それはなぜか?
・Inspiration(おすすめの本、映画、音楽、アート)より Delayed Gratification - The Slow Journalism Company
(Weekend Brewニュースレターより引用)
(詳細は是非、アーカイブをご覧ください)

安定したコーヒー業界のための生産国でのコーヒー消費量増加について

インタビューによると、ズバリ簡単な理由は

・『コーヒー原産国内のコーヒー消費量を増やすことで、輸出先の需要に完全依存しない安定したコーヒー産業が形成できる』 (=国内に市場ができる)
・『コーヒー原産国内のコーヒー消費量を増やすことで、生産者の農業能力とコーヒーの品質への信頼性を高めることができる』
   (=これまで海外のバイヤーやロースターと直接・間接的に異言語でコミュニケーションしていたが、国内市場なら共通の言語で話せるのでフィードバックが円滑)

ことだと思います。もっと詳しい内容はこちらの記事(The Importance of Growing Consumption in Producing Countries)に書かれていますのでご覧ください。

では、現在のコーヒー生産国の自国でのコーヒー消費量はどのくらいかご存知でしょうか?

下の図のようになります(2018年時点)

スクリーンショット 2020-09-14 6.49.56

(全日本コーヒー協会HP, ICO(International Coffee Organization) HPの統計資料をもとに作成)

これはあくまで一例として、7つの国・地域を挙げて見たのですが、
全体量として、ブラジルを除くコロンビア、エチオピア、ベトナムの輸出国は、自国でコーヒーを生産しているにも関わらず、自国ではあまり飲まれていないことがわかります。

私が考えるに、おそらく植民地時代にヨーロッパをはじめとする国々への輸出を目的として栽培され始めた(エチオピアは除く)ので、もともとコーヒー文化というのが根付いていなかった(コーヒー以外の嗜好品文化があった)からというのが一員としてあるのではないでしょうか?

ブラジルを見てみると、コーヒーがよく飲まれる国(ノルウェー、EU)と同等レベルの消費量であることがわかります。
1日に一人当たり何杯飲むのか換算してみたものがグラフの上の数字なのですが、単純計算で1.73杯☕️。
これは、全人口で割っているものなので、赤ちゃんや子供を考慮すると一人一日2~3杯程度でしょうか?
国全体としてこれだけ消費するってことは、かなり強固な国内市場もあって、コーヒー業界として安定的何だろうなということが伺えます。

しかし、ブラジルも昔はこのような状況ではありませんでした。
15年前(2003年)のコーヒー消費量と比較したものがこちらになります。

スクリーンショット 2020-09-14 6.52.55

(ICO(International Coffee Organization) HPの統計資料をもとに作成)

およそ1.57倍に増加しているんです。
一人当たり年間杯数換算でおよそ170杯増やす。
数字で見ると結構大変そうだなと私は思います。
考えてみても、現段階から人々の意識をコーヒーを飲み始める or もっと飲む方向に持っていく、これを国全体として行うのはかなり大変だと思います。

これにはブラジルは、国内消費量を増やすためのABIC(Associação Brasileira da Indústria de Café)という取り組みを15年もかけてやってきたそうです。

具体的取り組みは、本インタビューやABIC HP(ポルトガル語ですが…)をご覧いただきたいのですが、
簡単にいうと、当初は消費者と非消費者を対象にした調査、コーヒーの「純度」や品質のラベルやキャンペーンの調査、コーヒーを飲むことによる健康効果についての啓蒙活動などから始まり、現在は協賛企業の独自のキャンペーンを補助するといった形になっているようです。

この取り組みは、スペシャルティコーヒーの国内消費を増やすことに貢献したわけですが、さらに国内消費を増やすには、コモディティコーヒー(=大量消費される)の消費も重要な鍵となる。そのことを見据えた戦略も必要ですよね。とVera氏は語っています。
(具体的取り組みは是非記事を読んでみてください!)

ここで、個人的な疑問点

インタビューの趣旨とは全く関係ないことなのですが、
一点、何故だろうな?と引っかかったことがあります。

それは、エチオピアのコーヒー国内消費についてです。
エチオピアの国内消費は、この記事の先頭の図をご覧いただくとわかるのですが、他のコーヒー生産国と同程度と少ないように思います。

しかし、エチオピアといえばコーヒー発祥の地。
コーヒーセレモニーと呼ばれる来客にコーヒーを焙煎してもてなす習慣もあるくらい、十分にコーヒー文化が根付いていて、国民全体としてコーヒー消費量も多いのかな、と思っていたのですが、グラフをみるとそうでもない模様。

これ、私はすごく不思議に思います。

そこで、様々なインタビュー記事等を探して見たところ多くの記事では、エチオピアはコーヒー大国だ!という主張の裏付けとして、
『生産量に占める国内消費量の割合が高い(およそ50%)』ということが主張されています。

スクリーンショット 2020-09-14 6.58.22


(ICO(International Coffee Organization) HPの統計資料をもとに作成)

数字でみても確かに。といったところ

上記の結果が、一人当たりの消費量の高さに結びつくかといえば、そうではない模様です。

このデータの示すものがすごく気になるなー。と思いました。
というのも、私が日本から得られる情報って、あくまで一部を切り取った情報ではないかと思います。
(例えば、エチオピアにはコーヒーセレモニーという文化があってコーヒーがよく飲まれています、みたいな)
では、コーヒー生産地域周辺以外でもコーヒーを飲む文化は根付いているのかな、エチオピア全土にコーヒー文化があるのかな、ということが気になりました。
これを知るすべがあったら是非知りたいところです!!


・Inspiration(おすすめの本、映画、音楽、アート)より Delayed Gratification - The Slow Journalism Company

Delayed Gratificationというスロージャーナリズムをコンセプトに作られている雑誌の紹介がされています。

スロージャーナリズムとは?
・ニュース速報のようなローンチの速さを重視するよりも、正確さ、深さ、文脈、分析、専門家の意見に焦点を当てる
・場面を切り取ったものでなく、ニュースイベントの中長期的な影響について読むことができる
など…

こうしたスロージャーナリズムに基づいたメディアに触れることで、正確な情報やその背景、様々な専門家による見解を得ることができます。
最新の情報を得るという観点からは、ニュース速報のような伝達の速いメディアは必要なものですが、速いがゆえに情報の幅が狭く、その情報を受けた自分の解釈も狭くなってしまう危険性があるように思います。
洗練された情報を掘り下げて伝えてくれる情報媒体があると、ニュースの全体像を把握できるので、いざ伝達速度の速い情報を目にした時の反応も変わってくるなと思いました。

そして、WeekendBrewで触れられていたDelayed Gratificationのデザインやインフォグラフィックについて。HPで紹介されているのですが、確かに秀逸です。

全体像(俯瞰的にみた絵や色彩、レイアウト)がわかりやすく、観ていて心地の良いものです。
そして、その中に凝集された一つ一つの情報もわかりやすくまとまっています。
写真もインパクトがあり美しいです。

内容ももちろん大事ですが、こういったデザインとかグラフィックとか、紙の手触り、しおりや縫い目の工夫などなど、
内容以外の部分へのこだわりが私はものすごく好きで、気に入った雑誌や本は、たまに本棚から出して触って開いて愛でたりしています。

Standartも内容ももちろんですが、グラフフィック、デザインがすごく素敵です。
何度も読み返し見返したくなります。
(個人的には#1のポテト臭の原因となるアンテスティアという虫がチェリーにとまっている写真のページが好きです。(え、そこですか?って感じですが…)
著作権上グラフィックをお見せできないのが残念ですが、写真と内容とを合わせて観ると、想像が刺激されるというか深みが増すのです。)

こういった、何度もみ返したくなる雑誌ってありますよね。
私のお気に入りを2つほどご紹介させてください。

1.ヘルス・グラフィックマガジン

これは薬局が出しているフリーペーパーなのですが、私は行きつけの薬局なので頂いて読むと、すごく面白いなと感心してしまいました。

薬局から出版されていますので、内容は体の諸症状に特化したものです。
一つのテーマ、例えば『足の悩み』というテーマで、ページをめくるごとに様々な角度から『足の悩み』について掘っていきます。
1ページ1ページの写真のシュールさとか、グラフィックの面白さ・インパクト、内容の面白さ、そしてはっきりとした場面切り替えがクセになります。
ページをめくるたびに次は何だろう、とワクワクします。

バックナンバーがこちらから見られますので、是非ご覧いただきたいです!

2.National Geographic - 2020年4月号『傷つけられた地球/守られてきた地球』

National Geographicが素晴らしいのは何と言っても写真の美しさです。
そして、特にこの2020年4月号は、全体の構成がストーリー性があって読んでいるとゾクゾクします。
表紙を見るとわかるように、表から読むと”守られてきた地球”をテーマに印象的な写真から始まり→エピソードの数々が、
裏から読むと”傷つけられた地球”をテーマに印象的な写真→エピソードの数々が続きます。
そして、両者の合致点となる真ん中のページは、その両者がせめぎあってきたことが伺える、そんな構成になっています。

言葉にして伝えようとするとなかなか難しいですが、こんな工夫の仕方もあるんだ、面白いなと気づかされる一冊です。

まとめ

今回は、WeekendBrewより
・より安定したコーヒー業界を作っていくための生産国でのコーヒー消費量を増加
・Inspiration(おすすめの本、映画、音楽、アート)よりDelayed Gratification の紹介、スロージャーナリズムやデザイン、グラフィックについて
以上2点について語ってみました。

今週のWeekendBrew、たくさんの学びがあり、楽しませていただきました。
ありがとうございます🙏

うだる様な暑さから、徐々に涼しく秋らしくなってきました。
個人的には、いい感じに涼しく寒すぎないこれからの時期に、是非自然にふれあいに行きたいなと思っています。
山登りや釣りに行く計画を立てながら日々ワクワクしています。

大自然で飲むコーヒーって何であんなに美味しいのでしょうか。沁みるわ〜って感じしませんか。
私は大学生の時に行ったキャンプ場で焚き火しながら飲んだコーヒーが美味しかったのを忘れられません。
今年はまた、そういった美味しい出会いがあるといいなと思います。

季節の変わり目ですが、皆様風邪など引かれませんように。
例の第三波にもどうかお気をつけくださいませ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?